Lie代数

嘘じゃないよ

定義

Lie代数と準同型

Lie代数

体 𝕂 を与える.

𝕂 上のLie代数(Lie algebra)とは,線型空間の圏のLie代数対象のこと.つまり,以下のデータからなる:

  • 𝕂-線型空間 𝔤
  • Lie括弧(Lie bracket)(または括弧積)と呼ばれる 𝐴 上の 𝕂-双線型写像 [ ⋅,⋅ ] : 𝔤Π𝔤 → 𝔤

これらは以下を満たす:

  • Lie括弧は交代性を満たす.つまり, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , [ 𝑥,𝑥 ] = 0
  • Lie括弧はJacobi恒等式を満たす.つまり, ∀ ⁡ 𝑥,𝑦,𝑧 ∈ 𝔤 , [ 𝑥 , [ 𝑦,𝑧 ] ] + [ 𝑦 , [ 𝑧,𝑥 ] ] + [ 𝑧 , [ 𝑥,𝑦 ] ] = 0

Lie括弧の反交換律

を与えると,以下を満たす. ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , [ 𝑥,𝑦 ] = − [ 𝑦,𝑥 ]

証明

0 = [ 𝑥+𝑦 , 𝑥+𝑦 ] = [ 𝑥,𝑥 ] + [ 𝑥,𝑦 ] + [ 𝑦,𝑥 ] + [ 𝑦 , 𝑦 ] = [ 𝑥,𝑦 ] + [ 𝑦,𝑥 ]

準同型

を与える.

以下の条件を満たす𝕂-線型写像 𝑓 : 𝔤→𝔥 を(Lie代数)準同型(homomorphism)と呼ぶ. ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , 𝑓 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] ) = [ 𝑓 ⁡ (𝑥) , 𝑓 ⁡ (𝑦) ]

証明

体 𝕂 上のLie代数 𝔤,𝔥 と同型 𝑓 : 𝔤→𝔥 に対し,逆写像 𝑓 −1 : 𝔥→𝔤 は線型写像の逆写像なので線型写像であり, ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔥 , 𝑓 −1 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] ) = 𝑓 −1 ⁡ ( [ 𝑓 ∘ 𝑓 −1 ⁡ (𝑥) , 𝑓 ∘ 𝑓 −1 ⁡ (𝑦) ] ) = 𝑓 −1 ∘ 𝑓 ⁡ ( [ 𝑓 −1 ⁡ (𝑥) , 𝑓 −1 ⁡ (𝑦) ] ) = [ 𝑓 −1 ⁡ (𝑥) , 𝑓 −1 ⁡ (𝑦) ] を満たすので準同型. 𝑓 −1 : 𝔥→𝔤 は全単射なので同型となる.

Lie代数の圏

とする圏をLie代数の圏と呼び,𝐋𝐢𝐞𝐀𝐥𝐠𝕂 と表す.

Lie代数の圏は亜代数

Lie代数の圏は𝕂-亜代数(𝕂-線型圏)をなす.

反対Lie代数

を与える.

  • 𝔤の反対Lie括弧(opposite Lie bracket)とは,以下で定義されるLie括弧のこと: [ 𝑥,𝑦 ] op ≔ [ 𝑦,𝑥 ] = − [ 𝑥,𝑦 ]
  • 𝔤の反対Lie代数(opposite Lie algebra) 𝔤op とは,Lie代数 ( 𝔤 , [ ⋅,⋅ ] op ) のこと.

反変準同型・同型

を与える.

写像 𝑓 : 𝔤op → 𝔥 が

  • 準同型となるとき,反変準同型や反準同型(antihomomorphism)と呼ぶ.
  • 同型となるとき,反変同型や反同型(antiisoomorphism)と呼ぶ.

包絡代数とPBW定理

交換子

を与える.

交換子(commutator)と呼ばれる𝐴 上の二項演算 [ 𝑥 , 𝑦 ] ≔ 𝑥 ⁢ 𝑦 − 𝑦 ⁢ 𝑥 を定義すると,𝐴は交換子をLie括弧とするLie代数をなす.

このとき,(結合)代数準同型はLie代数準同型に写るから,結合代数の圏からLie代数の圏への函手をなす.

同様にして,単位的(結合)代数準同型はLie代数準同型に写るから,単位的結合代数の圏からLie代数の圏への函手をなす.

特にこれらの函手は左随伴を持つ.これにより任意のLie代数に対し,結合代数的な積を(同型を除いて)一意的に定めることができる:

包絡代数

  • 体 𝕂
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤
  • 𝔤 上のテンソル代数 ( 𝑇 ⁡ (𝔤) , 𝑖𝑇 )
  • { 𝑥⊗𝑦 − 𝑦⊗𝑥 − [ 𝑥,𝑦 ] | 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 } で生成される 𝑇 ⁡ (𝔤) の両側イデアル 𝐽

を与える.

𝔤 上の(普遍)包絡代数((universal) enveloping algebra)とは,以下のデータの組のこと:

包絡代数の普遍性

を与えると,これらは以下を満たす:

  • 𝑈⁡(𝔤) を交換子をLie括弧とするLie代数とみなすと,𝑖 はLie代数準同型: ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , 𝑖 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑦 ] ) = 𝑖 ⁡ ( 𝑥 ) ⁢ 𝑖 ⁡ ( 𝑦 ) − 𝑖 ⁡ ( 𝑦 ) ⁢ 𝑖 ⁡ ( 𝑥 )
  • (包絡代数の普遍性) に対し,以下を満たす単位的代数準同型 𝑓‾ : 𝑈 ⁡ (𝔤) → 𝐴 が一意的に存在する: 𝑓 = 𝑓‾ ∘ 𝑖 つまり,以下の図式を可換にする: 図式

証明

  • 𝑝 : 𝑇 ⁡ (𝔤) → 𝑈 ⁡ (𝔤) を標準射影とすると, 𝑖 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] ) = 𝑝 ⁡ ( 𝑥⊗𝑦 ) − 𝑝 ⁡ ( 𝑦⊗𝑥 ) = 𝑝 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑝 ⁡ (𝑦) − 𝑝 ⁡ (𝑦) ⁢ 𝑝 ⁡ (𝑥) = 𝑖 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑖 ⁡ (𝑦) − 𝑖 ⁡ (𝑦) ⁢ 𝑖 ⁡ (𝑥)
  • テンソル代数の普遍性より,単位的代数準同型 𝑓′ : 𝑇 ⁡ (𝔤) → 𝐴 が一意的に存在し, 𝑓 = 𝑓′ ∘ 𝑖T を満たす.さらに商結合代数の普遍性より, 𝑓′ = 𝑓‾ ∘ 𝑝 と分解できる. 図式

テンソル代数はフィルター付き代数なので,包絡代数もフィルター付き代数.よってこれらは自然に次数付き代数を誘導する.

証明

そもそも標数 𝑝>0 のとき,ZFで証明可能かが分かっていなさそう?

𝑆 ⁡ (𝔤) , gr ⁡ 𝑈 ⁡ (𝔤) それぞれの次数付けを 𝑆 ⁡ (𝔤) = ⨁ 𝑛 ∈ ℕ0 ⁡ 𝑆𝑛 ⁡ (𝔤) , gr ⁡ 𝑈 ⁡ (𝔤) = ⨁ 𝑛 ∈ ℕ0 ⁡ ( gr ⁡ 𝑈 ⁡ (𝔤) ) 𝑛 とする.ここで,線型写像 𝜑𝑛 : 𝑆𝑛 ⁡ (𝔤) → ( gr ⁡ 𝑈 ⁡ (𝔤) ) 𝑛 を 𝑥1 ⁢ ⋯ ⁢ 𝑥𝑛 ↦ 𝑥1 ⁢ ⋯ ⁢ 𝑥𝑛 を線型に拡張したものとして定義する.この写像の全射性は自明.単射性が標数 𝑝>0 のときが微妙っぽい

PBW基底

を与えると,以下は 𝑈 ⁡ (𝔤) の基底をなす: { 𝑥1 ⁢ ⋯ ⁢ 𝑥𝑛 | 𝑥1 ≤ ⋯ ≤ 𝑥𝑛 ∈ 𝑋 } 𝑛 ∈ ℕ0

包絡代数は余可換三角Hopf代数

を与え,

  • 余双線型写像 𝛥 : 𝑈 ⁡ (𝔤) → 𝑈 ⁡ (𝔤) ⊗ 𝑈 ⁡ (𝔤) を 𝑥∈𝔤 に対し, 𝛥 ⁡ (𝑥) ≔ 𝑥⊗1 + 1⊗𝑥 を単位的結合代数的に拡張したものとして定義したもの
  • 𝜀 ≔ 0 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝕂 : 𝑈 ⁡ (𝔤) → 𝕂 , 𝑥↦0
  • 𝑆 : 𝑈 ⁡ (𝔤) → 𝑈 ⁡ (𝔤) を 𝑥∈𝔤 に対し, 𝑆 ⁡ (𝑥) ≔ −𝑥 反変単位的結合代数的に拡張したものとして定義したもの
  • 𝑅 ≔ 1⊗1 ∈ 𝑈 ⁡ (𝔤) ⊗ 𝑈 ⁡ (𝔤)

と定義すると, ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 , 𝑆 , 𝑅 ) は余可換三角Hopf代数

証明

  • 𝛥,𝜀 が単位的代数準同型になることは,定義より明らか.よって, ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 ) は双単位的双結合双代数
  • 余可換性は自明.
  • ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対し, ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 ⁡ (𝑥) = 𝑥⊗1 − 1⊗𝑥 ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 ⁡ (𝑥) = 1⊗𝑥 − 𝑥⊗1 となるから, 𝑚 ∘ ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 = 𝑚 ∘ ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 = 0 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑈 ⁡ (𝔤) = 𝜂∘𝜀 となる.つまり ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 ) はHopf代数
  • 𝑅 = 𝑅 −1 は単位的代数の単位元なので,余可換性と ( 𝛥 ⊗ id𝐴 ) ⁡ (𝑅) = ( id𝐴 ⊗ 𝛥 ) ⁡ (𝑅) = 1⊗1⊗1 より, ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 , 𝑅 ) は三角双代数.

Lie代数の演算

直積Lie代数

  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数の集合 { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬

を与える.

  • { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直積(direct product)とは,以下のデータのこと:
    • 線型空間の直積 ∏ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 に,Lie括弧を以下で定義することで得られるLie代数: [ ( 𝑥𝜆 ) 𝜆∈𝛬 , ( 𝑦𝜆 ) 𝜆∈𝛬 ] ≔ ( [ 𝑥𝜆 , 𝑦𝜆 ] ) 𝜆∈𝛬
    • Lie代数準同型 𝜋𝜆 : ∏ 𝜆′ ∈ 𝛬 𝔤 𝜆′ → 𝔤𝜆 , ( 𝑥 𝜆′ ) 𝜆′ ∈ 𝛬 ↦ 𝑥𝜆
  • Lie代数 𝔥 を始域とするLie代数準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔥 → 𝔤𝜆 } の直積(direct product)とは,Lie代数準同型 ∏ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 : 𝔥 → ∏ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 , 𝑥 ↦ ( 𝑓𝜆 ⁡ (𝑥) ) 𝜆∈𝛬 のこと.
直積の普遍性

を与えると,以下を満たすLie代数準同型 𝑓 : 𝔥 → ∏ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 は直積 ∏ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 に限られる: ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝜋𝜆 ∘ 𝑓 = 𝑓𝜆

直和Lie代数

  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数の集合 { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬

を与える.

  • { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直和(direct sum)とは,以下のデータのこと:
    • 線型空間の直和 ∐ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 に,Lie括弧を以下で定義することで得られるLie代数: [ ( 𝑥𝜆 ) 𝜆∈𝛬 , ( 𝑦𝜆 ) 𝜆∈𝛬 ] ≔ ( [ 𝑥𝜆 , 𝑦𝜆 ] ) 𝜆∈𝛬
    • Lie代数準同型 𝜄𝜆 : 𝔤𝜆 → ∐ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 , 𝑥 ↦ ( 𝑥 𝜆′ ≔ { 𝑥 𝜆′ = 𝜆 0 𝜆′ ≠ 𝜆 ) 𝜆′ ∈ 𝛬
  • Lie代数 𝔥 を終域とするLie代数準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔤𝜆 → 𝔥 } の直和(direct sum)とは,Lie代数準同型 ∐ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 : ∐ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 → 𝔥 , ( 𝑥𝜆 ) 𝜆∈𝛬 ↦ ∑ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 ⁡ ( 𝑥𝜆 ) のこと.
直和の普遍性

を与えると,以下を満たすLie代数準同型 𝑓 : ∐ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 → 𝔥 は直和 ∐ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 に限られる: ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝑓 ∘ 𝜄𝜆 = 𝑓𝜆

線型空間の場合と同様,添字集合 𝛬 が有限なら,直積と直和は線型同型である:

双積Lie代数

  • 体 𝕂
  • 有限集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数の集合 { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬

を与える.

{ 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の双積(biproduct)とは,以下のデータのこと:

  • { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直積Lie代数(同じことだが直和Lie代数) ⨁ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆
  • Lie代数準同型 𝜋𝜆 : ⨁ 𝜆′ ∈ 𝛬 𝔤 𝜆′ → 𝔤𝜆 , ( 𝑥 𝜆′ ) 𝜆′ ∈ 𝛬 ↦ 𝑥𝜆
  • Lie代数準同型 𝜄𝜆 : 𝔤𝜆 → ⨁ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 , 𝑥 ↦ ( 𝑥 𝜆′ ≔ { 𝑥 𝜆′ = 𝜆 0 𝜆′ ≠ 𝜆 ) 𝜆′ ∈ 𝛬

双積の基本性質
  • 体 𝕂
  • 有限集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数の集合 { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬
  • { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の双積 ( ⨁ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 , { 𝜋𝜆 } 𝜆∈𝛬 , { 𝜄𝜆 } 𝜆∈𝛬 )

を与えると,以下が成り立つ:

  • ( ⨁ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 , { 𝜋𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) は { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直積
  • ( ⨁ 𝜆∈𝛬 𝔤𝜆 , { 𝜄𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) は { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直和
  • ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝜋𝜆 ∘ 𝜄𝜆 = id 𝔤𝜆

等化子

  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤 , 𝔤′
  • 準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔤 → 𝔤′ } 𝜆∈𝛬

を与える.

{ 𝑓𝜆 : 𝔤 → 𝔤′ } 𝜆∈𝛬 の等化子(equalizer)とは,以下のデータのこと:

等化子の基本性質
  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤 , 𝔤′
  • 準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔤 → 𝔤′ } 𝜆∈𝛬

を与えると,等化子 ( eq ⁡ ( { 𝑓𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) , 𝑖 ) に対し,

等化子の普遍性
  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤 , 𝔤′
  • 準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔤 → 𝔤′ } 𝜆∈𝛬
  • 等化子 ( eq ⁡ ( { 𝑓𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) , 𝑖 )

を与えると,

  • eq ⁡ ( { 𝑓𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) の部分Lie代数 𝔥
  • 準同型 𝑔 : 𝔥→𝔤 で,以下を満たすもの: ∀ ⁡ 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝛬 , 𝑓𝜆 ∘ 𝑔 = 𝑓 𝜆′ ∘ 𝑔

に対し,以下を満たす Lie代数準同型 𝑓 : 𝔥 → eq ⁡ ( { 𝑓𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) は,自然な包含写像 𝜄′ : 𝔥 → eq ⁡ ( { 𝑓𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) に限られる: 𝜄∘𝑓 = 𝑔

余等化子

  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤 , 𝔤′
  • 準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔤 → 𝔤′ } 𝜆∈𝛬

を与える.

{ 𝑓𝜆 : 𝔤 → 𝔤′ } 𝜆∈𝛬 の余等化子(coequalizer)とは,以下のデータのこと:

余等化子の普遍性

引き戻し

  • 体 𝕂
  • 集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤 とLie代数の集合 { 𝔤𝜆 } 𝜆∈𝛬
  • 準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝔤𝜆 → 𝔤 } 𝜆∈𝛬

を与える.

{ 𝑓𝜆 : 𝔤𝜆 → 𝔤 } 𝜆∈𝛬 の引き戻し(pullback)とは,以下のデータのこと:

自己準同型

自己準同型・同型

を与える.

  • 𝔤 上の準同型のことを,自己準同型(endomorphism)と呼ぶ.自己準同型の集合をend⁡𝔤と書く.
  • 𝔤 上の同型のことを,自己同型(automorphism)と呼ぶ.自己同型の集合をaut⁡𝔤と書く.
  • 𝔤 上の反変準同型のことを,反変自己準同型(antiendomorphism)と呼ぶ.
  • 𝔤 上の反変同型のことを,反変自己同型(antiautomorphism)と呼ぶ.

内部微分

を与える.

𝑥∈𝔤 に対し, ad⁡𝑥 ≔ [ 𝑥,- ] : 𝔤→𝔤 を 𝔤 の内部微分(inner derivation)と呼ぶ.

証明

    • Jacobi恒等式とLie括弧の反交換律より, ∀ ⁡ 𝑥,𝑧,𝑤 ∈ 𝔤 に対して ad⁡𝑥 ⁡ ( [ 𝑧,𝑤 ] ) = − [ 𝑤 , [ 𝑥,𝑧 ] ] − [ 𝑧 , [ 𝑤,𝑥 ] ] = [ [ 𝑥,𝑧 ] , 𝑤 ] + [ 𝑧 , [ 𝑥,𝑤 ] ] = [ ad⁡𝑥 ⁡ (𝑧) , 𝑤 ] + [ 𝑧 , ad⁡𝑥 ⁡ (𝑤) ] を満たすから,内部微分は微分.
    • 微分は定義より線型変換.
    • ad⁡𝔤 が線型空間となるのは.Lie括弧の双線型性より明らか.また,Lie括弧の反交換律とJacobi恒等式より, ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 に対して, [ ad⁡𝑥 , ad⁡𝑦 ] = [ 𝑥 , [ 𝑦,- ] ] − [ 𝑦 , [ 𝑥,- ] ] = − [ - , [ 𝑥,𝑦 ] ] = ad ⁡ [ 𝑥,𝑦 ] を満たすから,内部微分の集合 ad⁡𝔤 はLie代数をなし,adはLie代数準同型となる.全射性は自明.
    • 一般に,微分代数 der⁡𝔤,一般線型代数 𝔤𝔩⁡𝔤 はLie代数である.
    • ∀ ⁡ 𝛿 ∈ der⁡𝔤 , ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , [ 𝛿 , ad⁡𝑥 ] ⁡ (𝑦) = 𝛿 ⁡ [ 𝑥,𝑦 ] − ad⁡𝑥 ⁡ ( 𝛿⁡𝑦 ) = [ 𝛿⁡𝑥 , 𝑦 ] + [ 𝑥 , 𝛿⁡𝑦 ] − [ 𝑥 , 𝛿⁡𝑦 ] = ad ⁡ 𝛿⁡𝑥 ⁡ (𝑦) より, [ der⁡𝔤 , ad⁡𝔤 ] ⊆ ad⁡𝔤

内部自己同型

を与える.

  • 𝑥∈𝔤 であって,ad⁡𝑥 が冪零変換となるものに対する内部自己同型(inner automorphism)とは,以下の形式和のこと: exp ⁡ ( ad⁡𝑥 ) ≔ ∑ 𝑛 ∈ ℕ0 ⁡ ( ad⁡𝑥 ) 𝑛 𝑛! 冪零性の定義よりこれは実際は有限和となり,𝔤 上の自己同型をなす.
  • 𝔤 の内部自己同型の集合を inn⁡𝔤 と表すと,これはaut⁡𝔤 の正規部分群となる
  • 商群 out⁡𝔤≔aut⁡𝔤∕inn⁡𝔤 の元のことを外部自己同型(outer automorphism)と呼ぶ.

正規部分群となることの証明

𝑥∈𝔤 であって ad⁡𝑥 が冪零変換となるものを任意に一つとる.つまり, ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, ( ad⁡𝑥 ) 𝑛 = 0 となる.すると自己同型 ∀⁡𝑓∈aut⁡𝔤 に対し,一般に ad ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) = 𝑓 ∘ ( ad⁡𝑥 ) ∘ 𝑓 −1 が成り立つから, ( ad ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) ) 𝑛 = 𝑓 ∘ ( ad⁡𝑥 ) 𝑛 ∘ 𝑓 −1 = 0 より,𝑓⁡(𝑥) も冪零変換となる.よって ∀⁡𝑦∈𝔤 に対し, 𝑓 ∘ exp ⁡ ( ad⁡𝑥 ) ∘ 𝑓 −1 ⁡ (𝑦) = 𝑓 ⁡ ( ∑ 𝑘=0 𝑛−1 ⁡ 1 𝑛! ⁢ ( ad⁡𝑥 ) 𝑛 ⁡ ( 𝑓 −1 ⁡ (𝑦) ) ) = ∑ 𝑘=0 𝑛−1 ⁡ 1 𝑛! ⁢ ( ad ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) ) 𝑛 ⁡ (𝑦) = exp ⁡ ( ad ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) ) ⁡ (𝑦) を満たすから,inn⁡𝔤 は aut⁡𝔤 の正規部分群となる.

内部微分による半単純性・冪零性・Jordan-Chevalley分解の保存

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝑥 が半単純変換で,その代数閉包上の固有値が有限個ならば,その内部微分 ad⁡𝑥 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) も半単純.
  • 𝑥 が冪零変換ならば,その内部微分 ad⁡𝑥 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) も冪零.
  • 𝑥 がJordan-Chevalley分解 𝑥 = 𝑥s + 𝑥n を持ち,𝑥s の代数閉包上の固有値が有限個ならば, ad⁡𝑥 ∈ end ⁡ ( end ⁡ (𝑉) ) において, ad⁡𝑥 = ad ⁡ 𝑥s + ad ⁡ 𝑥n はJordan-Chevalley分解となる.

証明

  • 𝕂 の代数閉包を 𝕂‾ とし, 𝑉‾ ≔ 𝑉 ⊗𝕂 𝕂‾ とすると,𝑥‾≔𝑥⊗1∈end⁡(𝑉‾) の固有値の集合 𝛬⊆𝕂‾ は仮定より有限.固有値 𝜆∈𝛬 の固有空間 を 𝑉‾𝜆 とすると, end ⁡ ( 𝑉‾ ) は双積分解を持つ : end ⁡ ( 𝑉‾ ) = ⨁ 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝕂‾ ⁡ hom 𝕂‾ ⁡ ( 𝑉‾ 𝜆 , 𝑉‾ 𝜆‾ ) ∀ ⁡ 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝛬 と ∀ ⁡ 𝑦 ∈ hom 𝕂‾ ⁡ ( 𝑉𝜆 , 𝑉 𝜆′ ) に対し, ad⁡𝑥 ⁡ (𝑦) = ( 𝜆′ − 𝜆 ) ⁢ 𝑦 を満たすから, hom 𝕂‾ ⁡ ( 𝑉𝜆 , 𝑉 𝜆′ ) は ad⁡𝑥 の固有値 𝜆′−𝜆 の固有空間となる.ゆえに, ad⁡𝑥 はその代数閉包上対角化可能.
  • 仮定より, ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 , 𝑥𝑛 = 0 を満たす.ここで,𝑥による左移動 𝑥∘- ∈ end ⁡ ( 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) ) と右移動 -∘𝑥 ∈ end ⁡ ( 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) ) は,結合則より可換.よって, ( ad⁡𝑥 ) 2⁢𝑛 − 1 = ( ( 𝑥∘- ) − ( -∘𝑥 ) ) 2⁢𝑛 − 1 = ∑ 𝑘=0 2⁢𝑛 − 1 ( −1 ) 𝑘 ⁢ ( 2⁢𝑛 − 1 𝑘 ) ⁢ ( 𝑥∘- ) 𝑘 ⁢ ( -∘𝑥 ) 2⁢𝑛 − 𝑘 − 1 = ∑ 𝑘=0 2⁢𝑛 − 1 ( −1 ) 𝑘 ⁢ ( 2⁢𝑛 − 1 𝑘 ) ⁢ ( 𝑥𝑘 ∘ - ) ⁢ ( - ∘ 𝑥 2⁢𝑛 − 𝑘 − 1 ) = ∑ 𝑘=0 𝑛−1 ( −1 ) 𝑘 ⁢ ( 2⁢𝑛 − 1 𝑘 ) ⁢ ( 𝑥𝑘 ∘ - ) ⁢ 0 + ∑ 𝑘=𝑛 2⁢𝑛 − 1 ( −1 ) 𝑘 ⁢ ( 2⁢𝑛 − 1 𝑘 ) ⁢ 0 ⁢ ( - ∘ 𝑥 2⁢𝑛 − 𝑘 − 1 ) = 0
  • 内部微分はLie代数準同型であったから, [ ad ⁡ 𝑥s , ad ⁡ 𝑥n ] = ad ⁡ [ 𝑥s , 𝑥n ] = 0 となる.以上と合わせてより ad⁡𝑥 = ad ⁡ 𝑥s + ad ⁡ 𝑥n はJordan-Chevalley分解となる.

同型定理

零Lie代数

体 𝕂 を与える.

零線型空間 {0} は,Lie括弧として唯一 [ 0,0 ] = 0 を持ち得る.これを定義とするLie代数 {0} を自明なLie代数(trivial Lie algebra)や零Lie代数(zero Lie algebra)と呼ぶ.

同型定理

Lie代数の圏の部分対象,正規対象,商対象を確認し,同型定理を示す.

部分Lie代数

を与える.

部分線型空間 𝔥⊆𝔤 で,𝔤と同じLie括弧に関してLie代数となるものを,𝔤の部分Lie代数(Lie subalgebra)と呼ぶ.つまり以下を満たす: 𝔥+𝔥 , 𝕂⁢𝔥 , [ 𝔥,𝔥 ] ⊆ 𝔥

生成系

を与える.

  • 𝑋 で生成される部分Lie代数とは,𝔤 の部分Lie代数であって,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすものを言う:
    • 𝑋 を含む 𝔤 の部分Lie代数のなかで最小のもの.
    • span ⁡ { ( ad⁡𝑋 ) 𝑛 ⁡ 𝑋 } 𝑛 ∈ ℕ0
  • 特に 𝔤 に一致するとき,𝑋 を 𝔤 の生成系(generator)と呼ぶ.
条件の同値性の証明

まず, 𝔥 ≔ span ⁡ { ( ad⁡𝑋 ) 𝑛 ⁡ 𝑋 } 𝑛 ∈ ℕ0 が 𝔤 の部分Lie代数となることを示す.部分線型空間となることは明らか.その任意の元は 𝑛∈ℕ と, { 𝑎𝑖 ∈ 𝑋 } 𝑖∈𝑛 に対する 𝑎 ≔ ( ∏ 𝑖=1 𝑛−1 ⁡ ad ⁡ 𝑎𝑖 ) ⁡ 𝑎0 の線型結合で表される. ∀ ⁡ 𝑏∈𝔥 に対し,Jacobi恒等式より [ 𝑎,𝑏 ] = − [ [ ( ∏ 𝑖=1 𝑛−2 ⁡ ad ⁡ 𝑎𝑖 ) ⁡ 𝑎0 , 𝑏 ] , 𝑎 𝑛−1 ] − [ [ 𝑏 , 𝑎 𝑛−1 ] , ( ∏ 𝑖=1 𝑛−2 ⁡ ad ⁡ 𝑎𝑖 ) ⁡ 𝑎0 ] となる.𝔥 の定義より [ 𝑋,𝔥 ] ⊆ 𝔥 は明らかだから,数学的帰納法より [ 𝑎,𝑏 ] ∈ 𝔥 となる.つまり,𝔥 は 𝔤 の部分Lie代数.

𝑋 で生成される部分Lie代数はLie代数なので,Lie括弧で閉じることが必要だから,𝔥 は明らかに 𝑋 を含む 𝔤 の任意の部分Lie代数の部分集合となる.よって,𝑋 を含む 部分Lie代数の中で最小.

イデアル

を与える.

𝔤のイデアル(ideal)とは,部分線型空間 𝔦⊆𝔤であって,以下を満たすものを言う: [ 𝔤,𝔦 ] ⊆ 𝔦

自明なイデアル

を与える.

  • {0} , 𝔤 ⊆ 𝔤 は𝔤のイデアルとなる.これらを𝔤の自明なイデアル(trivial ideal)と呼ぶ.
  • それ以外を非自明(nontrivial)と呼ぶ.
正規閉包

を与える.

𝑋 の正規閉包(normal closure)とは,𝔤 のイデアル ncl⁡(𝑋) であって,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすもののこと:

  • ncl⁡(𝑋) は 𝑋 を含む最小のイデアル
  • ncl ⁡ (𝑋) = span𝕂 ⁡ {𝑋} ∪ ⋃ 𝑛∈ℕ ⁡ ( ad⁡𝔤 ) 𝑛 ⁡ 𝑋
正規化Lie代数

を与える.

𝑋 の正規化Lie代数(normalizer)とは,𝔤 の部分Lie代数 𝑁𝔤 ⁡ (𝑋) であって,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすものを言う:

  • 𝑁𝔤 ⁡ (𝑋) は,𝔥 がイデアルとなるようなもののうち,最大なもの.
  • 𝑁𝔤 ⁡ (𝑋) = { 𝑥∈𝔤 | [ 𝑥,𝔥 ] ⊆ 𝔥 }
商Lie代数

を与える.

𝔤 の 𝔦 で割った商Lie代数(quotient Lie algebra)とは,商線型空間 𝔤∕𝔦に,以下でLie括弧を定義したLie代数のこと: ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , [ 𝑥+𝔦 , 𝑦+𝔦 ] ≔ [ 𝑥,𝑦 ] + 𝔦

同型定理

を与えると,以下が成り立つ.

  • に対し,
    • 𝑓の核 𝑓 − 1 ⁡ ( 0 𝔥 ) は𝔤のイデアル
    • 𝑓の像 𝑓 ⁡ ( 𝔤 ) は𝔥の部分Lie代数
    • 任意の𝔤のイデアル𝔦に対し, 𝔦 ⊆ ker ⁡ 𝑓 を満たすとき,以下を満たす: ∃! ⁡ 𝑓 ‾ : 𝔤 ∕ 𝔦 → 𝔥 , 𝑓 ‾ ∘ 𝑝 = 𝑓 つまり以下の図式を可換にする: 図式 特に,自然な同型 𝔤∕ ker⁡𝑓 ≅ 𝑓 ⁡ ( 𝔤 ) が存在する.
  • 任意の𝔤のイデアル 𝔦⊆𝔧 に対し,
    • 𝔧∕𝔦 は𝔤∕𝔦 のイデアル
    • 自然な同型 ( 𝔤∕𝔦 ) ∕ ( 𝔧∕𝔦 ) ≅ 𝔤∕𝔧 が成り立つ
  • 任意の𝔤のイデアル 𝔦,𝔧 に対し,
    • 𝔦+𝔧,𝔦∩𝔧 は𝔤のイデアル
    • 自然な同型 ( 𝔦+𝔧 ) ∕ 𝔧 ≅ 𝔦 ∕ ( 𝔦∩𝔧 ) が成り立つ

可換性

可換

を与える.

  • 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 が [ 𝑥,𝑦 ] = 0 を満たすとき,𝑥,𝑦は互いに可換(Abelian)と呼ぶ.
  • 以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすとき,𝔤 を可換(Abelian)と呼ぶ:
条件の同値性の証明

最初の2条件の同値性は明らか.さらにこのとき,最後の条件を満たすのも明らか.逆を示す.

𝑥∈𝔤 を任意に一つとり,ad⁡𝑥 の固有値 𝜇∈𝕂 の 非零な固有ベクトル 𝑦∈𝔤∖{0} を任意に一つとる.仮定より有限集合 𝛬⊆𝕂 が存在し,𝑥 は ad⁡𝑦 の固有ベクトルの有限和で 𝑥 = ∑ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑣𝜆 と書ける.すると, − 𝜇⁢𝑥 = ad⁡𝑦 ⁡ (𝑥) = ∑ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝜆 ⁢ 𝑣𝜆 となるから, 0 = ad⁡𝑥 ⁡ ( − 𝜇⁢𝑥 ) = ∑ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝜆2 ⁢ 𝑣𝜆 となる. { 𝑣𝜆 } 𝜆∈𝛬 は異なる固有値に属する固有ベクトルなので線型独立だから, ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 に対し, 𝜆2 ⁢ 𝑣𝜆 = 0 より, 𝜆 ⁢ 𝑣𝜆 = 0 となる.つまり 𝜇⁢𝑥=0 だが,𝑥=0 のときは明らかに固有値は 0 しか持ちえないから,𝜇=0 が言える.

自由可換Lie代数

体 𝕂 を与える.

𝕂-線型空間𝑉 上の可換Lie代数(commutative Lie algebra)とは,以下で定義されるLie代数のこと:

可換Lie代数準同型

を与えると,以下が成り立つ:

中心化Lie代数・中心

を与える.

  • 𝑋 の中心化Lie代数(centralizer)とは,以下の 𝔤 の部分Lie代数のこと: 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) ≔ { 𝑥∈𝔤 | [ 𝑥,𝑋 ] = {0} }
  • 𝔤の中心(center)とは,以下の𝔤のイデアルのこと: 𝑍 ⁡ (𝔤) ≔ 𝑍 𝔤 ⁡ ( 𝔤 ) = { 𝑧 ∈ 𝔤 | [ 𝑧 , 𝔤 ] = { 0 } }
  • 𝔤 が無中心(centerless)であるとは,中心が零Lie代数であることを言う: 𝑍 ⁡ (𝔤) = {0}
部分Lie代数,イデアルになることの証明,中心化Lie代数の性質の証明
    • 𝔤 の部分線型空間となることは明らか. ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) に対し,反交換律とJacobi恒等式より, [ [ 𝑥,𝑦 ] , 𝑋 ] ⊆ [ 𝑥 , [ 𝑦,𝑋 ] ] + [ 𝑦 , [ 𝑋,𝑥 ] ] = 0 より,部分Lie代数となる.
    • [ 𝔤 , 𝑍 ⁡ (𝔤) ] = 0 ⊆ 𝑍 ⁡ (𝔤)
    • 𝔥 は 𝑋 で生成される部分Lie代数だったから,𝑋⊆𝔥 なので, 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) ⊆ 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) は明らか.Jacobi恒等式より, ∀ ⁡ 𝑛 ∈ 𝑁0 に対し, [ 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) , ( ad⁡𝑋 ) 𝑛 ⁡ 𝑋 ] = 0 を満たすから, 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) ⊇ 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) も言える.
    • 𝔥 は 𝔤 の部分Lie代数なので, 𝑍 ⁡ (𝔥) = 𝑍𝔥 ⁡ (𝔥) ⊆ 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) = 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) となる.中心の定義より, 𝑍 ⁡ (𝔤) ⊆ 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) = 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) は明らか.最後に,中心化Lie代数の定義より [ 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) , 𝔥 ] = 0 ⊆ 𝔥 を満たすから, 𝑍𝔤 ⁡ (𝑋) ⊆ 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) ⊆ 𝑁𝔤 ⁡ (𝔥) = 𝑁𝔤 ⁡ (𝑋) となる.

単純性

単純Lie代数
  • Lie代数のうち,(自明な)イデアルをちょうど2つ持つものを,単純(simple)と呼ぶ.
  • 単純Lie代数の直和で表されるLie代数を,半単純(semisimple)(歴史的には簡約Lie代数(reductive Lie algebra))と呼ぶ.
証明

無中心単純Lie代数のことを単に単純Lie代数と呼ぶことが多いのだが,Lie代数の圏の単純対象を指す用語としては現代的ではないので,ここでは無中心と明記することにする.

証明

Lie代数の拡大

Lie代数の拡大

体 𝕂 を与える.

𝕂-Lie代数 𝔢 が 𝕂-Lie代数 𝔤 の 𝕂-Lie代数 𝔥 による拡大(extension)であるとは,以下の短完全列を持つことを言う: 0 ↪ 𝔥 ↪𝑖 𝔢 ↠𝑠 𝔤 ↠ 0

短完全列の定義より 𝔤 ≅ 𝔢 ∕ im⁡𝑖 = 𝔢 ∕ ker⁡𝑠

特別なLie代数の拡大

を与える.

  • 拡大が自明(trivial)であるとは,𝔤 のイデアル 𝔦 が存在し,以下を満たすことを言う: 𝔢 = 𝔦 + ker⁡𝑠
  • 拡大が分裂(split)するとは,𝔤 の部分Lie代数 𝔦 が存在し,以下を満たすことを言う: 𝔢 = 𝔦 + ker⁡𝑠
  • 拡大が中心的(central)であるとは, ker⁡𝑠 が 𝔢 の中心 𝑍 ⁡ (𝔢) に含まれることを言う: ker⁡𝑠 ⊆ 𝑍 ⁡ (𝔢)

普遍中心拡大

線型Lie代数

線型変換の集合 end⁡(𝑉) は単位的結合代数だったから,交換子をLie括弧とするLie代数をなす:

一般線型Lie代数・線型Lie代数

を与える.

  • 𝑉 上の一般線型代数(general linear algebra) 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) とは, の組によるLie代数のこと.
  • 一般線型代数の部分Lie代数のことを線型Lie代数(linear Lie algebra)と呼ぶ.
  • 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) ≔ 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝕂𝑛 ) とも表す.
  • 以下を 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) の標準基底(standard basis)と呼ぶ: { 𝑒 𝑖,𝑗 ≔ ( 𝛿 𝑖,𝑎 ⁢ 𝛿 𝑗,𝑏 ) 𝑎,𝑏 ∈ 𝑛 } 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛

特殊線型Lie代数

を与える.

  • 特殊線型Lie代数(special linear Lie algebra)とは,以下で定義される線型Lie代数のこと: 𝔰𝔩 ⁡ (𝑉) ≔ { 𝑥 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) | tr ⁡ (𝑥) = 0 }
  • 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝔰𝔩 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) ≔ 𝔰𝔩 ⁡ ( 𝕂𝑛 ) とも表す.
  • 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) の標準基底 { 𝑒 𝑖,𝑗 } 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 を用いて定義される以下の集合を 𝔰𝔩 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) の標準基底(standard basis)と呼ぶ: { 𝑒 𝑖,𝑗 } 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 ∪ { 𝑒 𝑖,𝑖 − 𝑒 𝑖+1 , 𝑖+1 } 𝑖 ∈ 𝑛−1

Lie代数となることの証明

跡の線型性と巡回性より直ちに成り立つ.

特殊直交Lie代数

  • 体 𝕂
  • 有限次元𝕂-線型空間 𝑉
  • 行列 ( 1 𝟙𝑛 𝟙𝑛 ) または ( 𝟙𝑛 𝟙𝑛 ) で定まる非退化双線型形式 𝑓

を与える.

  • 特殊直交Lie代数(special linear Lie algebra)とは,以下で定義される線型Lie代数のこと: 𝔰𝔬 ⁡ (𝑉) ≔ { 𝑥 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) | ∀ ⁡ 𝑣,𝑤 ∈ 𝑉 , 𝑓 ⁡ ( 𝑥 ⁡ (𝑣) , 𝑤 ) = − 𝑓 ⁡ ( 𝑣 , 𝑥 ⁡ (𝑤) ) }
  • 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝔰𝔬 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) ≔ 𝔰𝔬 ⁡ ( 𝕂𝑛 ) とも表す.

シンプレクティックLie代数

  • 体 𝕂
  • 有限次元𝕂-線型空間 𝑉
  • 行列 ( 𝟙𝑛 −𝟙𝑛 ) で定まる非退化双線型形式 𝑓

を与える.

  • シンプレクティックLie代数(symplectic Lie algebra)とは,以下で定義される線型Lie代数のこと: 𝔰𝔭 ⁡ (𝑉) ≔ { 𝑥 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) | ∀ ⁡ 𝑣,𝑤 ∈ 𝑉 , 𝑓 ⁡ ( 𝑥 ⁡ (𝑣) , 𝑤 ) = − 𝑓 ⁡ ( 𝑣 , 𝑥 ⁡ (𝑤) ) }
  • 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝔰𝔭 ⁡ ( 𝑛,𝕂 ) ≔ 𝔰𝔭 ⁡ ( 𝕂𝑛 ) とも表す.

可解・冪零

可解Lie代数

導来Lie代数

を与える.

  • 𝔤 の導来Lie代数(derived Lie algebra)とは,𝔤 のイデアル[𝔤,𝔤]のこと.
  • 𝐷 : 2𝔤 Π 2𝔤 → 2𝔤 , ( 𝑋,𝑌 ) ↦ [ 𝑋,𝑌 ] とすると,𝔤 の導来列(derived series)とは,以下の導来Lie代数の列のこと: 𝔤 = 𝐷0 ⁡ 𝔤 ⊃ 𝐷1 ⁡ 𝔤 ⊃ 𝐷2 ⁡ 𝔤 ⊃ ⋯
導来Lie代数の基本性質

を与えると,𝔤 の導来Lie代数 [ 𝔤,𝔤 ] の商Lie代数 𝔤 ∕ [ 𝔤,𝔤 ] は可換.

証明
  • まず,導来Lie代数がイデアルとなることは, [ 𝔤 , [ 𝔤,𝔤 ] ] ⊆ [ 𝔤,𝔤 ] より自明.
  • その商Lie代数は, [ 𝔤 + [ 𝔤,𝔤 ] , 𝔤 + [ 𝔤,𝔤 ] ] ⊆ [ 𝔤,𝔤 ] より可換.
可解
  • 体 𝕂
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤
  • 𝐷 : ( 2𝔤 ) Π2 → 2𝔤 , ( 𝑋,𝑌 ) ↦ [ 𝑋,𝑌 ]

を与える.

𝔤が可解(solvable)であるとは,導来列が有限で0になって止まること.つまり, ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 , 𝐷𝑛 ⁡ 𝔤 = {0} を満たす.

可解性の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

証明

𝐷 : ( 2𝔤 ) Π2 → 2𝔤 , ( 𝑋,𝑌 ) ↦ [ 𝑋,𝑌 ] とする.

    • 𝔤 の部分Lie代数 𝔥 に対し, 𝐷𝑛 ⁡ 𝔥 ⊆ 𝐷𝑛 ⁡ 𝔤 となることから明らか.
    • 𝑓 ⁡ ( 𝐷𝑛 ⁡ 𝔤 ) = [ 𝑓 ⁡ ( 𝐷 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ) , 𝑓 ⁡ ( 𝐷 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ) ] = 𝐷𝔥 ⁡ ( 𝑓 ⁡ ( 𝐷 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ) ) = 𝐷𝔥𝑛 ⁡ ( 𝑓 ⁡ (𝔤) ) より,𝔤が冪零ならば, 𝑓 ⁡ (𝔤) も冪零.
    • 商Lie代数への標準射影 𝔤 → 𝔤∕𝔦 は全射だから,𝔤が冪零なら𝔤∕𝔦も冪零.
  • 𝔤∕𝔦 が可解なので, ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 , 𝐷𝑛 ⁡ 𝔤 ⊆ 𝔦 となる.𝔦 も可解だから, ∃ ⁡ 𝑚 ∈ ℕ0 , 𝐷 𝑛+𝑚 ⁡ 𝔤 ⊆ 𝐷𝑚 ⁡ 𝔦 = {0} となり,𝔤も可解.
  • 定義より自明.
  • 最初の2条件の同値性は自明.上と合わせて,残りは可換イデアルは零のみのとき,可解イデアルも零のみであることを示せばよい.𝔤 の可解イデアルを 𝐼 とすると,定義より ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 , 𝐷𝑛 ⁡ 𝔤 = {0} となる.𝑛>0 と仮定すると, ∃ ⁡ 𝑚∈ℕ , 𝐷 𝑚−1 ⁡ 𝔤 ⊃ {0} , 𝐷𝑚 ⁡ 𝔤 = {0} を満たし,𝔤 が非零な可換イデアル 𝐷 𝑚−1 ⁡ 𝔤 を持つことになるので矛盾.よって,𝑛=0 より 𝐼={0}.

冪零Lie代数

冪零

を与える.

𝔤 の部分Lie代数 𝔥 が冪零(nilpotent)であるとは,イデアルの減少列 𝔥 = ( ad⁡𝔥 ) 0 ⊃ ( ad⁡𝔥 ) 1 ⊃ ( ad⁡𝔥 ) 2 ⊃ ⋯ が有限で0になって止まることを言う.つまり,以下を満たす: ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 , ( ad⁡𝔥 ) 𝑛 = {0}

冪零性の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

証明
  • 定義より自明.
    • 𝔤 の部分Lie代数 𝔥 に対し, ( ad⁡𝔥 ) 𝑛 ⁡ 𝔥 ⊆ ( ad⁡𝔤 ) 𝑛 ⁡ 𝔤 となることから明らか.
    • 𝑓 ⁡ ( ( ad⁡𝔤 ) 𝑛 ⁡ 𝔤 ) = [ 𝑓 ⁡ (𝔤) , 𝑓 ⁡ ( ( ad⁡𝔤 ) 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ) ] = ad ⁡ ( 𝑓 ⁡ (𝔤) ) ⁡ ( 𝑓 ⁡ ( ( ad⁡𝔤 ) 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ) ) = ( ad ⁡ ( 𝑓 ⁡ (𝔤) ) ) 𝑛 ⁡ ( 𝑓 ⁡ (𝔤) ) より,𝔤が冪零ならば, 𝑓 ⁡ (𝔤) も冪零.
    • 商Lie代数への標準射影 𝔤 → 𝔤∕𝔞 は全射だから,𝔤が冪零なら𝔤∕𝔞も冪零.
  • 定義より自明.
    • 定義より自明.
    • 仮定より, ∃ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 , ( ad⁡𝔤 ) 𝑛 ⁡ 𝔤 ⊆ 𝑍 ⁡ (𝔤) なので,中心の定義より ( ad⁡𝔤 ) 𝑛+1 ⁡ 𝔤 = [ 𝔤 , ( ad⁡𝔤 ) 𝑛 ⁡ 𝔤 ] ⊆ [ 𝔤 , 𝑍 ⁡ (𝔤) ] = {0} となるから冪零.
    • 仮定より, ∃ ⁡ 𝑛∈ℕ , ( ad⁡𝔤 ) 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ≠ {0} , ( ad⁡𝔤 ) 𝑛 ⁡ 𝔤 = [ 𝔤 , ( ad⁡𝔤 ) 𝑛−1 ⁡ 𝔤 ] = {0} となるから, {0} ≠ ( ad⁡𝔤 ) 𝑛−1 ⊆ 𝑍 ⁡ (𝔤) .

有限体で存在するかどうかは未解決っぽい.

自由・忘却随伴

自由Lie代数

体 𝕂 を与える.

  • 𝕂-線型空間 𝑉 上の自由Lie代数(free Lie algebra)とは,以下のデータのこと:
    • 𝕂-線型空間𝑉 ∐ 𝑛∈ℤ 𝑉 ⨿𝑛
    • を線型に拡張したもの.
  • 集合 𝑋 上の自由Lie代数(free Lie algebra)とは,𝑋 上の自由線型空間 𝕂𝑋 上の自由Lie代数のこと.
自由Lie代数の普遍性

を与えると,以下を満たす:

に対し,Lie代数準同型 𝑓‾ : 𝔙→𝔤 が一意的に存在し,以下を満たす: 𝑓‾ ∘ 𝑖 = 𝑓 つまり,以下の図式を可換にする: 図式

他にも𝕂-代数上の自由Lie代数など,様々あるが,流石に省略する.

基本関係式

を与える.

(𝑋 を生成系とし,)𝐴 を基本関係式(fundamental relation)とするLie代数とは,𝐴 の正規閉包 ncl ⁡ (𝐴) で割った商Lie代数 FreeLieAlg ⁡ (𝑋) ∕ ncl ⁡ (𝐴) のこと.

未整理

不変形式

を与える.

𝔤 上の対称双線型形式 (,) : 𝔤π𝔤 → 𝕂 が不変形式(invariant form)であるとは,以下を満たすことを言う: ∀ ⁡ 𝑥,𝑦,𝑧 ∈ 𝔤 , ( [ 𝑥,𝑦 ] , 𝑧 ) + ( 𝑦 , [ 𝑥,𝑧 ] ) = 0

不変形式の性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝜅 の根基 𝑆𝜅 は 𝔤 のイデアル.
  • 𝜅 が非退化ならば,𝔤 の任意のイデアル 𝔦 に対し,𝜅 に関する直交補空間 𝔦⊥ も 𝔤 のイデアル.

証明

  • 𝜅 ⁡ ( [ 𝔤 , 𝑆𝜅 ] , 𝔤 ) = 𝜅 ⁡ ( [ 𝔤,𝔤 ] , 𝑆𝜅 ) = {0} より, [ 𝔤 , 𝑆𝜅 ] ⊆ 𝑆𝜅
  • 𝜅 ⁡ ( [ 𝔤 , 𝔦⊥ ] , 𝔦 ) = 𝜅 ⁡ ( [ 𝔦⊥ , 𝔤 ] , 𝔦 ) = 𝜅 ⁡ ( 𝔦⊥ , [ 𝔤,𝔦 ] ) ⊆ 𝜅 ⁡ ( 𝔦⊥ , 𝔦 ) = {0} より, [ 𝔤 , 𝔦⊥ ] ⊆ 𝔦⊥

Lie代数上の加群・表現

𝔤-加群と準同型

Lie代数上の加群・表現

を与える.

  • 𝔤 上の加群(module over 𝔤),または𝔤-加群(𝔤-module)とは,以下の組のこと:
    • 𝕂-線型空間 𝑉
    • 双線型写像 : 𝔤Π𝑉 → 𝑉 であって,以下を満たすもの: ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 , [ 𝑥,𝑦 ] ⁡ 𝑣 = 𝑥 ⁡ ( 𝑦⁡𝑣 ) − 𝑦 ⁡ ( 𝑥⁡𝑣 )
  • 𝔤 の表現(representation)とは,以下の組のこと:

これらは以下の対応によって同じ構造を持つ:

  • 𝔤-加群 𝑉 に対し, 𝔤 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) , 𝑥 ↦ ( 𝑣 ↦ 𝑥⁡𝑣 ) は表現.
  • 表現 𝜌 に対し, 𝔤Π𝑉 → 𝑉 , ( 𝑥,𝑣 ) ↦ 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁡ 𝑣 は𝔤-加群.

証明

  • 包絡代数の普遍性より,任意の 𝔤 の表現 𝜌 : 𝔤 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) に対し,一意的な単位的代数準同型 𝜌‾ : 𝑈 ⁡ (𝔤) → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) = end ⁡ (𝑉) が存在し, 𝜌 = 𝜌‾ ∘ 𝑖 を満たす.
  • 逆に,任意の 𝑈 ⁡ (𝔤) の表現 𝜌‾ : 𝑈 ⁡ (𝔤) → end ⁡ (𝑉) に対し,これはLie代数準同型でもあるので, 𝜌‾ ∘ 𝑖 : 𝔤 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) は 𝔤 の表現.

以上の操作は, 𝜌 ↦ 𝜌‾ ↦ 𝜌‾ ∘ 𝑖 = 𝜌 となっているので全単射.

Lie代数上の加群の双対

を与える.

𝑉 の双対(dual)とは,𝑉 の双対線型空間 𝑉∗ に,以下で作用を定めた 𝔤-加群のこと: 𝔤 ⊗ 𝑉∗ → 𝑉∗ , ( 𝑥,𝑓 ) ↦ − 𝑓 ∘ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) )

Lie代数上の加群の間のhomの加群

を与える.

線型空間 hom𝕂 ⁡ ( 𝑉,𝑊 ) に,以下で 𝑥∈𝔤 の作用を定めた 𝔤-加群のこと: 𝑥⁡𝑓 ≔ − 𝑓 ∘ ( 𝜌𝑉 ⁡ (𝑥) ) + ( 𝜌𝑊 ⁡ (𝑥) ) ∘ 𝑓

抽象Jordan分解

を与える.

𝑥∈𝔤 の抽象Jordan分解(abstract Jordan decomposition)とは, 𝑠,𝑛 ∈ 𝔤 であって,𝑥=𝑠+𝑛 かつ ad⁡𝑠 , ad⁡𝑛 ∈ end⁡𝔤 がJordan-Chevalley分解となるものを言う.

忠実表現

単射な表現のことを忠実(faithful)と呼ぶ.

局所有限 𝔤-加群

を与える.

𝔤-加群 𝑉 が局所有限(locally finite)であるとは,∀⁡𝑣∈𝑉 に対し,𝑈⁡(𝔤)⁡𝑣 が有限次元となることを言う.

局所有限 𝔤-加群の性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝑉 が局所有限(特に,𝔤 または 𝑉 が有限次元のとき)ならば,∀⁡𝑥∈𝔤 に対する 𝜌⁡(𝑥) は局所有限.
  • 𝜌 ⁡ (𝔤) が有限次元ならば,以下は同値:

証明

  • 明らか.
  • 仮定より 𝔤 ∕ ker⁡𝜌 ≃ 𝜌 ⁡ (𝔤) は有限次元.その基底を { 𝑥𝑖 } 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 と取ると, ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 に対し, 𝑈 ⁡ (𝔤) ⁡ 𝑣 = 𝑈 ⁡ ( 𝔤 ∕ ker⁡𝜌 ) ⁡ 𝑣 = ∏ 𝑖=0 dim⁡𝔤 − 1 ⁡ 𝕂 ⁢ [ 𝜌 ⁡ ( 𝑥𝑖 ) ] ⁡ 𝑣 を満たす.仮定より 𝕂 ⁢ [ 𝜌 ⁡ ( 𝑥0 ) ] ⁡ 𝑣 は有限次元.よって, 𝕂 ⁢ [ 𝜌 ⁡ ( 𝑥1 ) ] ⁢ 𝕂 ⁢ [ 𝜌 ⁡ ( 𝑥0 ) ] ⁡ 𝑣 も有限次元.帰納的に 𝑈 ⁡ (𝔤) ⁡ 𝑣 は有限次元とわかる.つまり,𝑉 は局所有限 𝔤-加群.

𝔤-加群・表現準同型

を与える.

  • 線型写像 𝑓 : 𝑉→𝑊 が𝔤-加群の準同型(homomorphism of 𝔤-module)(または表現の準同型(homomorphism of representation))であるとは,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:
    • ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 , 𝑓 ⁡ ( 𝑥⁡𝑣 ) = 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑣)
    • ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝑓 ∘ 𝜌𝑉 ⁡ (𝑥) = 𝜌𝑊 ⁡ (𝑥) ∘ 𝑓
    • 𝔤-加群 hom𝕂⁡(𝑉,𝑊) に対し,𝔤 の作用が恒等的に零: 𝑥⁡𝑓 = 0
  • 全単射な準同型を同型(isomorphism)と呼ぶ.

部分Lie代数上の加群・商Lie代数上の加群

を与える.

  • 𝔤 の部分Lie代数 𝔥 が誘導する 𝔥-加群() とは,包含写像 𝑖 : 𝔥↪𝔤 に対する表現 𝜌∘𝑖 : 𝔥 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) のこと.
  • 𝔤 のイデアル 𝔦 であって, 𝔦 ⊆ ker⁡𝜌 を満たすものによる商Lie代数 𝔤∕𝔦 が誘導する 𝔤∕𝔦-加群() とは,商Lie代数の普遍性により定まる表現 𝜌‾ : 𝔤∕𝔦 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) のこと.

零加群

を与える.

  • 零加群(zero module)とは,𝕂-線型空間 𝑉 に,𝔤 の作用を恒等的に零として定めた 𝔤-加群のこと: 𝔤⁡𝑉 = {0}
  • 𝔤-加群 𝑉 から 𝑊 への加群零準同型(zero homomorphism of 𝔤-module)とは,零線型写像 𝑉→𝑊 のこと.

随伴表現の加群準同型

を与えると,以下が成り立つ:

加群の圏の極限とか

𝔤-加群の直積

を与える.

  • { 𝑉𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直積(direct product)とは,以下のデータのこと:
    • 以下で定まる 𝔤-加群:
      • 直積線型空間 ∏ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆
      • 左 𝔤-作用 : 𝔤 Π ∏ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 → ∏ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 , ( 𝑥 , ( 𝑣𝜆 ) 𝜆∈𝛬 ) ↦ ( 𝑥 ⁡ 𝑣𝜆 ) 𝜆∈𝛬
    • 𝔤-加群準同型 𝜋𝜆 : ∏ 𝜆′ ∈ 𝛬 𝑉 𝜆′ → 𝑉𝜆 , ( 𝑣 𝜆′ ) 𝜆′ ∈ 𝛬 ↦ 𝑣𝜆
  • 𝔤-加群 𝑊 を始域とする 𝔤-加群準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝑊 → 𝑉𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直積(direct product)とは,以下の𝔤-加群準同型のこと: ∏ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 : 𝑊 → ∏ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 , 𝑤 ↦ ( 𝑓𝜆 ⁡ (𝑤) ) 𝜆∈𝛬
直積の普遍性

を与えると,以下を満たす 𝔤-加群準同型 𝑓 : 𝑊 → ∏ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑉𝜆 は直積 ∏ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑓𝜆 に限られる: ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝑓 ∘ 𝜋,𝜆 = 𝑓𝜆

𝔤-加群の直和

を与える.

  • { 𝑉𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直和(direct sum)とは,以下のデータのこと:
    • 以下で定まる 𝔤-加群:
      • 直和線型空間 ∐ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆
      • 左 𝔤-作用 : 𝔤 Π ∐ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 → ∐ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 , ( 𝑥 , ( 𝑣𝜆 ) 𝜆∈𝛬 ) ↦ ( 𝑥 ⁡ 𝑣𝜆 ) 𝜆∈𝛬
    • 𝔤-加群準同型 𝜄𝜆 : 𝑉𝜆 → ∐ 𝜆′ ∈ 𝛬 𝑉 𝜆′ , 𝑣 ↦ ( 𝑣 𝜆′ ≔ { 𝑣 𝜆′ = 𝜆 0 𝜆′ ≠ 𝜆 ) 𝜆′ ∈ 𝛬
  • 𝔤-加群 𝑊 を終域とする 𝔤-加群準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝑉𝜆 → 𝑊 } 𝜆∈𝛬 の直和(direct sum)とは,以下の𝔤-加群準同型のこと: ∐ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 : ∐ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 → 𝑊 , ( 𝑣𝜆 ) 𝜆∈𝛬 ↦ ∑ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 ⁡ ( 𝑣𝜆 )
直和の普遍性

を与えると,以下を満たす 𝔤-加群準同型 𝑓 : ∐ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆 → 𝑊 は直和 ∐ 𝜆∈𝛬 𝑓𝜆 に限られる: ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝑓 ∘ 𝜄𝜆 = 𝑓𝜆

𝔤-加群の双積

を与える.

{ 𝑉𝜆 } 𝜆∈𝛬 の双積(biproduct)とは,以下のデータのこと:

  • { 𝑉𝜆 } 𝜆∈𝛬 の直積(同じことだが直和) ⨁ 𝜆∈𝛬 𝑉𝜆
  • 𝔤-加群準同型 𝜋𝜆 : ⨁ 𝜆′ ∈ 𝛬 𝑉 𝜆′ → 𝑉𝜆 , ( 𝑣 𝜆′ ) 𝜆′ ∈ 𝛬 ↦ 𝑣𝜆
  • 𝔤-加群準同型 𝜄𝜆 : 𝑉𝜆 → ⨁ 𝜆′ ∈ 𝛬 𝑉 𝜆′ , 𝑣 ↦ ( 𝑣 𝜆′ ≔ { 𝑣 𝜆′ = 𝜆 0 𝜆′ ≠ 𝜆 ) 𝜆′ ∈ 𝛬
加群の双積の基本性質
  • 体 𝕂
  • 有限集合 𝛬
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤
  • 𝔤-加群の集合 { 𝑉𝜆 } 𝜆∈𝛬 とその双積 ( ⨁ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑉𝜆 , { 𝜋𝜆 } 𝜆∈𝛬 , { 𝜄𝜆 } 𝜆∈𝛬 )
  • 𝔤-加群 𝑊 を終域とする𝔤-加群準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝑉𝜆 → 𝑊 } 𝜆∈𝛬

を与えると,以下が成り立つ:

  • ( ⨁ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑉𝜆 , { 𝜋𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) は直積
  • ( ⨁ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑉𝜆 , { 𝜄𝜆 } 𝜆∈𝛬 ) は直積
  • ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝜋𝜆 ∘ 𝜄𝜆 = id 𝑉𝜆

𝔤-加群のテンソル積

を与える.

𝔤-加群 𝑉1 , 𝑉2 のテンソル積(tensor product)とは,以下で定まる 𝔤-加群のこと:

  • 線型空間のテンソル積 𝑉1 ⊗ 𝑉2
  • 𝑈⁡(𝔤) の表現 ( 𝜌1 ⊗ 𝜌2 ) ∘ 𝛥 .つまり,𝑥∈𝔤 に対して以下で定める: ∀ ⁡ 𝑣1 ∈ 𝑉1 , ∀ ⁡ 𝑣2 ∈ 𝑉2 , 𝑥 ⁡ ( 𝑣1 ⊗ 𝑣2 ) ≔ ( 𝑥 ⁡ 𝑣1 ) ⊗ 𝑣2 + 𝑣1 ⊗ ( 𝑥 ⁡ 𝑣2 )

同型定理

同型定理

部分 𝔤-加群・部分表現

を与える.

部分線型空間 𝑊⊆𝑉 が部分 𝔤-加群(𝔤-submodule)(または部分表現(subrepresentation))であるとは,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:

  • 𝔤⁡𝑊 ⊆ 𝑊
  • 𝜌 ⁡ (𝔤) ⁡ (𝑊) ⊆ 𝑊

商 𝔤-加群・商表現

を与える.

商線型空間 𝑉∕𝑊 が商 𝔤-加群()(または商表現(quotient representation))であるとは,以下の同値な定義で定まる左作用に関する𝔤-加群のこと:

  • 各 𝑥∈𝔤 , 𝑣+𝑊 ∈ 𝑉∕𝑊 に対し, 𝑥 ⁡ ( 𝑣+𝑊 ) ≔ 𝑥+𝑊
  • 各 𝑥∈𝔤 に対し,標準射影 𝑝 : 𝑉 → 𝑉∕𝑊 を合成した表現 𝑝 ∘ 𝜌 ⁡ (𝑥)

分裂補題・補 𝔤-加群

を与える.

短完全列 0 ↪ 𝑊 ↪𝑖 𝑉 ↠𝑝 𝑉∕𝑊 ↠ 0 が分裂する(split)とは,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:

条件の同値性の証明

  • 𝑖 が分裂モノ射のとき, id𝑉 = ( id𝑉 − 𝑖∘𝑟 ) + 𝑖∘𝑟 だが, 𝑟 ∘ ( id𝑉 − 𝑖∘𝑟 ) = 𝑟−𝑟 = 0 と 𝑟 の全射性より, ker⁡𝑟 + im⁡𝑖 = 𝑉 となる.ところで, ker ⁡ ( 𝑟∘𝑖 ) = ker ⁡ id𝑊 = 0 ⇔ ker⁡𝑟 ∩ im⁡𝑖 = {0} より,これは加群の直積となる.完全列の定義より, ker⁡𝑝 = im⁡𝑖 なので, ker ⁡ 𝑝| ker⁡𝑟 = {0} は全単射だから加群同型である.なので 𝑝|ker⁡𝑟 は逆準同型 𝑝| ker⁡𝑟 −1 : 𝑉∕𝑊 → ker⁡𝑟 が存在する.包含準同型 ker⁡𝑟 ↪ 𝑉 と合成したものを 𝑠 とすると,𝑠 は単射なので, 𝑝∘𝑠 = 𝑝| ker⁡𝑟 ∘ 𝑝| ker⁡𝑟 −1 = id 𝑉∕𝑊 となる.つまり, ker⁡𝑟 + im⁡𝑖 = 𝑉 は加群の双積となる. im⁡𝑖 ≃ 𝑊 , ker⁡𝑟 = im⁡𝑠 ≃ 𝑉∕𝑊 より, 𝑊 ⊕ ( 𝑉∕𝑊 ) は加群同型.𝑠 が分裂エピ射の場合も同様.
  • 𝑉 ≃ 𝑊 ⊕ ( 𝑉∕𝑊 ) ならば,𝑉∕𝑊 は明らかに 𝑊 の補 𝔤-加群となる.
  • 𝑊 が補 𝔤-加群 𝑊c を持つとき,
    • ker⁡𝑝 = im⁡𝑖 = 𝑊 より, 𝑝| 𝑊c : 𝑊c → 𝑉∕𝑊 は加群同型.よって逆写像 𝑉∕𝑊 → 𝑊c が存在する.包含準同型 𝑊c ↪ 𝑉 を合成したものを 𝑠 とすると, 𝑝∘𝑠 = id 𝑊∕𝑉 となる.つまり 𝑠 は分裂エピ射.
    • 同様に,包含準同型 𝑖 : 𝑊→𝑊 の逆写像と加群の双積 𝑊⊕𝑊c の射影 𝑉↠𝑊 と合成したものを 𝑟 とすると, 𝑟∘𝑖 = id𝑊 となる.つまり 𝑖 は分裂モノ射.

単純性

単純加群

を与える.

  • 𝔤-加群が単純(simple)であるとは,その部分加群が 0 と自分自身のちょうど二つであることを言う.
  • 𝔤-加群が半単純(semisimple)であるとは,単純加群の直和で表されることを言う.
証明
既約(分解不能)表現

を与える.

  • 𝔤-加群が既約(indecomposable)であるとは,非自明な部分加群の直和で表されないことを言う.
  • 𝔤-加群が完全可約(completely decomposable)であるとは,既約加群の直和で表されることを言う.
  • 𝔤-加群が可約(decomposable)であるとは,非自明な部分表現の直和で表されることを言う.
代数閉体上のSchurの補題

を与えると,𝑓 はスカラー倍: ∃ ⁡ 𝜆∈𝕂 , 𝑓 = 𝜆 ⁢ id𝑉 特に, ( dim⁡𝑉 ) ⁢ 1𝕂 ≠ 0 ならば, 𝑓 = tr⁡𝑓 dim⁡𝑉 ⁢ id𝑉

証明

Schurの補題より,𝑓 は加群同型か零.𝑉 が有限次元なので,必ず固有値 𝜆∈𝕂 を持つ.このとき, 𝑓 − 𝜆 ⁢ id𝑉 : 𝑉→𝑉 もまた 𝔤-加群準同型だが,固有値の定義より det ⁡ ( 𝑓 − 𝜆 ⁢ id𝑉 ) = 0 .よって, 𝑓 − 𝜆 ⁢ id𝑉 = 0 ⇔ 𝑓 = 𝜆 ⁢ id𝑉 .両辺の跡を取ると, tr⁡𝑓 = 𝜆 ⁢ dim⁡𝑉 となる.

代数閉体上の可換Lie代数上の有限次元単純表現

を与えると,任意の有限次元単純 𝔤-加群 𝑉 は1次元.

証明

𝔤-加群 𝑉 の対応する表現 を 𝜌 : 𝔤 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) とする.𝔤 が可換なので, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対し, ∀ ⁡ 𝑦∈𝔤 , ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 , 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁡ ( 𝑦⁡𝑣 ) = 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝜌 ⁡ (𝑦) ⁡ 𝑣 = 𝑦 ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁡ 𝑣 ) より, 𝜌 ⁡ (𝑥) : 𝑉→𝑉 は 𝔤-加群準同型.よって,代数閉体上のSchurの補題より,𝑓⁡(𝑥) はスカラー倍.よって, ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 に対する 𝕂⁢𝑣 は部分 𝔤-加群.𝑉は単純 𝔤-加群なので, ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 , 𝕂⁢𝑣 = 0,𝑉 ⇔ dim⁡𝑉 = 0,1 となる.単純 𝔤-加群は定義より非零なので, dim⁡𝑉 = 1 となる.

有限次元加群

跡形式

を与える.

𝜌 に関する跡形式(trace form)とは,以下の 𝔤 上の不変形式のこと: 𝛽𝜌 : 𝔤Π𝔤 → 𝕂 , ( 𝑥,𝑦 ) ↦ tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑦) )

不変形式になることの証明

跡の巡回性より対称双線型形式.再び跡の巡回性より 𝛽 ⁡ ( 𝑥 , [ 𝑦,𝑧 ] ) = tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ∘ 𝜌 ⁡ ( [ 𝑦,𝑧 ] ) ) = tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑦) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑧) ) − tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑧) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑦) ) = tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑦) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑧) ) − tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑦) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑥) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑧) ) = tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] ) ∘ 𝜌 ⁡ (𝑧) ) = 𝛽 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] , 𝑧 ) より不変形式となる.

Killing形式

を与える.

𝔤 のKilling形式(Killing form)とは,随伴表現に関する跡形式のこと: 𝜅 : 𝔤Π𝔤 → 𝕂 , ( 𝑥,𝑦 ) ↦ tr ⁡ ( ad ⁡ (𝑥) ∘ ad ⁡ (𝑦) )

三角分解を持つLie代数

可換Lie代数上のウェイト加群

Lie代数 𝔤 上の加群 𝑉 に対し,∀⁡𝑥∈𝔤 の作用が固有空間分解できるとは,対応する表現 𝜌 : 𝔤 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) が以下のような分解の直積になることと考えられる: 𝔤 → 𝕂 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉𝜆) この分解は線型写像としての分解だが,より性質の良いLie代数準同型としての分解となる場合を考える(所謂「同時対角化」に近いものだが,それよりも条件が強いことがあとで分かる).1次元Lie代数 𝕂 は可換なので,さらに可換Lie代数への準同型の分解が考えられる: 𝔤 ↠ 𝔤 ∕ [ 𝔤,𝔤 ] → 𝕂 → 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉𝜆) 特に, 𝔤 ∕ [ 𝔤,𝔤 ] → 𝕂 は双対線型空間のことであった.以下では,可換Lie代数の場合を考える.このとき, 𝔤 ≃ 𝔤 ∕ [ 𝔤,𝔤 ] となる.

可換Lie代数のウェイト

を与える.

  • 𝜌 のウェイト(weight) 𝜆∈𝔤∗ のウェイトベクトル(weight vector)とは,𝑣∈𝑉∖0 であって, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対し,固有値 𝜆⁡(𝑥) の固有ベクトルとなるもののこと.つまり,以下を満たすもののこと: ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁡ 𝑣 = 𝜆 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑣
  • 𝜌 のウェイト 𝜆 のウェイト空間(weight space)とは,ウェイトベクトルと零ベクトルの集合がなす 𝕂-線型空間のこと: 𝑉𝜆 ≔ { 𝑣∈𝑉 | ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁡ 𝑣 = 𝜆 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑣 }
  • 𝑉 がウェイト空間の直和になるとき,𝑉 をウェイト加群(weight module)と呼ぶ.

可換Lie代数のウェイト空間の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

証明

  • ウェイト 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝔤∗ に対し,共通のウェイトベクトル 𝑣 ∈ 𝑉𝜆 ∩ 𝑉 𝜆′ ∖ {0} をとると, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対し, 𝑥⁡𝑣 = 𝜆 ⁡ (𝑥) = 𝜆′ ⁡ (𝑥) ⇔ ( 𝜆 ⁡ (𝑥) − 𝜆′ ⁡ (𝑥) ) ⁢ 𝑣 = 0 となるから,𝑣≠0 より 𝜆=𝜆′ となる.
  • 𝑊 を 𝑉 の部分 𝔤-加群とする.
    • 𝑊 = 𝑊∩𝑉 = ⨁ 𝜆 ∈ 𝔤∗ ⁡ 𝑊 ∩ 𝑉𝜆 より,𝑊 はウェイト加群.
    • 標準射影 𝑝 : 𝑉 → 𝑉∕𝑊 は全射な 𝔤-加群準同型なので,𝑉∕𝑊 はウェイト加群.
    • 𝑉𝜆 が有限次元ならば, 𝑊𝜆 = 𝑉𝜆 ∩ 𝑊 , ( 𝑉∕𝑊 ) 𝜆 = 𝑝 ⁡ ( 𝑉𝜆 ) も有限次元.特に,全射な 𝔤-加群準同型から自然に定まる加群準同型 𝑝𝜆 : 𝑉𝜆 → ( 𝑉∕𝑊 ) 𝜆 の核は 𝑊𝜆 なので, 𝑉𝜆 ∕ 𝑊𝜆 ≃ ( 𝑉∕𝑊 ) 𝜆 となる.よって特に, dim ⁡ 𝑉𝜆 = dim ⁡ 𝑊𝜆 + dim ⁡ ( 𝑉∕𝑊 ) 𝜆
    • ウェイト加群の定義より自明.
    • 𝔦 ⊆ ker⁡𝜌 より,任意のウェイト 𝜆 ∈ 𝔤∗ = hom𝕂 ⁡ ( 𝔤,𝕂 ) に対し, 𝔦 ⊆ ker⁡𝜆 となる.よって,商線型空間の普遍性より以下を満たす: ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤∗ , ∃! ⁡ 𝜆‾ ∈ ( 𝔤∕𝔦 ) ∗ , ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , ∀ ⁡ 𝑣 ∈ 𝑉𝜆 , 𝜌‾ ⁡ ( 𝑥+𝔦 ) ⁡ 𝑣 = 𝜌 ⁡ (𝑥) ⁡ 𝑣 = 𝜆 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑣 = 𝜆‾ ⁡ ( 𝑥+𝔦 ) ⁢ 𝑣

証明

いずれの場合でも,𝑓 は線型写像なので, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝜆 ∈ 𝔤∗ , ∀ ⁡ 𝑣 ∈ 𝑉𝜆 , 𝜆 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑓 ⁡ (𝑣) = 𝑓 ⁡ ( 𝑥⁡𝑣 ) が成り立つ.𝑓 が加群 𝔤-準同型ならば, 𝑓 ⁡ ( 𝑥⁡𝑣 ) = 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑣) が言え,逆に, 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑣) = 𝜆 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑓 ⁡ (𝑣) が成り立つならば,𝑓 は加群 𝔤-準同型.

可換Lie代数上の局所有限ウェイト加群

を与えると,以下が成り立つ:

証明

  • 定義より明らか.
  • ゆえに,𝜌⁡(𝑥) が対角化可能ならば 𝑉 はウェイト 𝔤-加群となることを示せばよい.∀⁡𝑣∈𝑉 を一つ固定する.

    局所有限性の定義より,𝑉 の部分 𝔤-加群 𝑊 ≔ 𝑈 ⁡ (𝔤) ⁡ 𝑣 は有限次元だから, 𝜌 ⁡ (𝔤) | 𝑊 も高々 (dim⁡𝑊)2 次元.ゆえに有限次元(可換)部分Lie代数 𝔥⊆𝔤 であって, 𝜌 ⁡ (𝔥) | 𝑊 = 𝜌 ⁡ (𝔤) | 𝑊 を満たすものが存在する.𝑊 がウェイト 𝔥-加群となることを dim⁡𝔥 の数学的帰納法で示す:

    • dim⁡𝔥=0,1 のときは明らか.
    • 一般の dim⁡𝔥 に対し,𝔥 の基底 𝑋 を一つ与え,𝑥∈𝑋 を固定し, 𝜌 ⁡ (𝑥) | 𝑊 の固有値 𝑐∈𝕂 の 固有空間を 𝑊𝑐 とすると,仮定より 𝑊 は固有空間分解を持つ: 𝑊 = ⨁ 𝑐∈𝕂 ⁡ 𝑊𝑐 𝔥′ ≔ ⨁ 𝑦 ∈ 𝑋∖𝑥 ⁡ ( 𝕂⁢𝑦 ) とすると, ∀ ⁡ 𝑐∈𝕂 , ∀ ⁡ 𝑤 ∈ 𝑊𝑐 , ∀ ⁡ 𝑦 ∈ 𝔥′ , 𝑥 ⁡ 𝑦⁡𝑤 = 𝑦 ⁡ 𝑥⁡𝑤 = 𝑐 ⁢ 𝑦⁡𝑤 なので,各固有空間 𝑊𝑐 は部分 𝔥′-加群である. dim ⁡ 𝔥′ = dim⁡𝔥 − 1 なので,帰納法の仮定よりウェイト空間分解を持つ: 𝑊𝑐 = ⨁ 𝜇 ∈ 𝔥′ ∗ ⁡ 𝑊 𝑐,𝜇 よって, 𝜆 ∈ 𝔥∗ を 𝜆 ⁡ (𝑥) = 𝑐 , 𝜆| 𝔥′ = 𝜇 を線型に拡張したものとして定義できることに注意すると, 𝑊𝜆 ≔ 𝑊 𝜆 ⁡ (𝑥) , 𝜆| 𝔥′ によって 𝑊 はウェイト空間分解される.

    𝜌 ⁡ (𝔥) | 𝑊 は 𝜌 ⁡ (𝔤) | 𝑊 を張るから,𝑊 はウェイト 𝔤-加群にもなる.よって,𝑣∈𝑊⊂𝑉 は 𝑊 のウェイトベクトルの線型結合で表せるが,これは 𝑉 のウェイトベクトルでもある.つまり,𝑣∈𝑉 は 𝑉 のウェイトベクトルの線型結合で表せる.以上が ∀⁡𝑣∈𝑉 に対して成り立つので,𝑉 はウェイト 𝔤-加群

    𝔤 が有限次元のとき,対角化可能ならば局所有限であることに注意すると,𝑉 は局所有限 𝔤-加群となる.

    𝑉 が有限次元のときは明らかに,局所有限 𝔤-加群となる.

ウェイト加群・トーラスとルート

ウェイト

を与える.

ウェイト空間の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

ウェイト加群の指標

を与える.

𝑉 の指標(character)とは,以下の ℕ0 値の形式的冪級数のこと: ch⁡𝑉 ≔ ∑ 𝜆 ∈ 𝔤0∗ ⁡ ( dim ⁡ 𝑉𝜆 ) ⁢ 𝑒𝜆

トーラス

を与える.

  • 𝔤 のトーラス(toral subalgebra)であるとは,可換な(有限次元?)部分Lie代数 𝔥 であって, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔥 に対し, ad𝔤 ⁡ 𝑥 が半単純変換となるものを言う.
  • トーラスのうち極大なものを極大トーラス(maximal toral subalgebra)と呼ぶ.
  • 𝔤 の分裂トーラス(split toral subalgebra)であるとは,(有限次元?)部分Lie代数 𝔥 であって, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔥 に対し, ad𝔤 ⁡ 𝑥 が対角化可能なものを言う.
  • 分裂トーラスのうち極大なものを極大分裂トーラス(maximal split toral subalgebra)と呼ぶ.

証明

ルート

を与える.

  • 𝔤0 に関する随伴表現 ad のウェイトのことをルート(root)と呼ぶ.
  • 𝔤0 に関する随伴表現 ad のウェイト空間のことをルート空間(root space)と呼ぶ.
  • 𝔤0 が分裂トーラスとなるとき,随伴表現 ad により,𝔤 が 𝔤0 に関するルート空間の直和になる.この直和を(𝔤0 に関する) 𝔤 のルート空間分解(root space decomposition)と呼ぶ: 𝔤 = ⨁ 𝛼 ∈ 𝔤0 ∗ ⁡ 𝔤𝜆

ルートの性質

を与えると,以下が成り立つ:

証明

𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の有限次元表現

部分Lie代数 が 2 次元の特殊線型Lie代数 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) となった場合に備えて(?),その表現を考える.基本的には性質の良い有限次元表現を考える.

𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の基本性質

  • 体 𝕂
  • 𝕂 上の 2 次元特殊線型Lie代数 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)
  • 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の標準基底 { ℎ+ ≔ 𝑒 0,1 = ( 0 1 0 0 ) , ℎ− ≔ 𝑒 1,0 = ( 0 0 1 0 ) , ℎ ≔ ℎ0 = ( 1 0 0 −1 ) }

を与えると,以下が成り立つ:

  • [ ℎ , ℎ+ ] = 2 ⁢ ℎ+ , [ ℎ , ℎ− ] = − 2 ⁢ ℎ− , [ ℎ+ , ℎ− ] = ℎ
  • 𝔥≔𝕂⁢ℎ を極大分裂トーラスとするルート空間分解を持つ: 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) = { 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) −2 ⊕ 𝔥 ⊕ 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) 2 char⁡𝕂 ≠ 2 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) 0 char⁡𝕂 = 2 ただし, 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) ±2 ≔ 𝕂 ⁢ ℎ±
  • 線型写像 𝜃 : 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) → 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) を 𝜃 ⁡ ( ℎ± ) ≔ ℎ∓ , 𝜃 ⁡ (ℎ) ≔ −ℎ を線型に拡張したものとして定義すると,𝜃 はLie代数自己同型
  • ∀⁡𝑛∈ℕ0に対し, ℎ+ ⁢ ℎ− 𝑛 = ℎ− 𝑛 ⁢ ℎ+ + 𝑛 ⁢ ( ℎ+𝑛−1 ) ⁢ ℎ− 𝑛−1 = ℎ− 𝑛 ⁢ ℎ+ + 𝑛 ⁢ ℎ− 𝑛−1 ⁢ ( ℎ−𝑛+1 )
  • 𝑈 ⁡ ( 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) ) の中心を 𝑍 ⁡ ( 𝑈 ⁡ ( 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) ) ) とすると, 𝛺2 ≔ ℎ2 + 2⁢ℎ + 4 ⁢ ℎ− ⁢ ℎ+ = ℎ2 + 2 ⁢ ℎ+ ⁢ ℎ− + 2 ⁢ ℎ− ⁢ ℎ+ ∈ 𝑍 ⁡ ( 𝑈 ⁡ ( 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) ) )
  • 𝕂 の標数が 2 でないならば,𝔰𝔩⁡(2,𝕂) は単純Lie代数.

証明

  • ほぼ自明な計算
  • 明らか.
  • [ 𝑓 ⁡ (ℎ) , 𝑓 ⁡ ( ℎ± ) ] = [ −ℎ , ℎ∓ ] = ± 2 ⁢ ℎ∓ = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ , ℎ± ] ) [ 𝑓 ⁡ ( ℎ+ ) , 𝑓 ⁡ ( ℎ− ) ] = [ ℎ− , ℎ+ ] = −ℎ = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ+ , ℎ− ] )
  • 𝑛=0,1 は明らか. [ ℎ+ , ℎ− 𝑛 ] = ℎ ⁢ ℎ− 𝑛−1 + ℎ− ⁢ [ ℎ+ , ℎ− 𝑛−1 ] = ℎ ⁢ ℎ− 𝑛−1 + ℎ− ⁢ ( 𝑛−1 ) ⁢ ( ℎ+𝑛−2 ) ⁢ ℎ− 𝑛−2 = ℎ ⁢ ℎ− 𝑛−1 + ( 𝑛−1 ) ⁢ ( ℎ+2 ) ⁢ ℎ− 𝑛−1 + ( 𝑛−1 ) ⁢ ( 𝑛−2 ) ⁢ ℎ− 𝑛−1 = 𝑛 ⁢ ℎ ⁢ ℎ− 𝑛−1 + ( 𝑛−1 ) ⁢ 𝑛 ⁢ ℎ− 𝑛−1 = 𝑛 ⁢ ( ℎ+𝑛−1 ) ⁢ ℎ− 𝑛−1 より最初の等号は一般に成り立つ.また, [ ℎ , ℎ± 𝑛 ] = ∑ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℎ± 𝑖 ⁢ [ ℎ , ℎ± ] ⁢ ℎ± 𝑛−1−𝑖 = ± 2 ⁢ ∑ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℎ± 𝑛−1 = ± 2 ⁢ ( 𝑛−1 ) ⁢ ℎ± 𝑛−1 より後ろの等号も成り立つ.
  • [ ℎ , 𝛺2 ] = 4 ⁢ ( ℎ ⁢ ℎ− ⁢ ℎ+ − ℎ− ⁢ ℎ+ ⁢ ℎ ) = 4 ⁢ ( ( ℎ− ⁢ ℎ ⁢ ℎ+ − 2 ⁢ ℎ− ⁢ ℎ+ ) − ( ℎ− ⁢ ℎ ⁢ ℎ+ − 2 ⁢ ℎ− ⁢ ℎ+ ) ) = 0 [ ℎ± , 𝛺2 ] = ( [ ℎ± , ℎ ] ⁢ ℎ + ℎ ⁢ [ ℎ± , ℎ ] ) + 2 ⁢ ℎ± ⁢ [ ℎ± , ℎ∓ ] + 2 ⁢ [ ℎ± , ℎ∓ ] ⁢ ℎ± = ( − 2 ⁢ ℎ+ ⁢ ℎ − 2 ⁢ ℎ ⁢ ℎ+ ) + 2 ⁢ ℎ± ⁢ ℎ + 2 ⁢ ℎ ⁢ ℎ± = 0
  • 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) の任意の非零なイデアル 𝔦 を一つとる. ∀ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔦 ∖ {0} に対し,基底で展開する: 𝑥 = 𝑎 ⁢ ℎ+ + 𝑏⁢ℎ + 𝑐 ⁢ ℎ− 𝑥≠0 より,𝑎,𝑏,𝑐 のいずれかは 0 でない.ゆえに,よってイデアルの定義より, 𝑎 ⁢ ℎ+ , [ ℎ+ , 𝑥 ] = − 2 ⁢ 𝑏 ⁢ ℎ+ , [ ℎ+ , [ ℎ+ , 𝑥 ] ] = − 2 ⁢ 𝑐 ⁢ ℎ+ , ∈ 𝔦 の少なくともいずれかが成り立つ. 𝕂 の標数は奇素数または 0 なので, ℎ+ ∈ 𝔦 となる.ゆえに, − 12 ⁢ [ ℎ− , ℎ+ ] = ℎ , 12 ⁢ [ ℎ− , ℎ ] = ℎ− ∈ 𝔦 となるから,𝔦=𝔤.よって単純Lie代数となる.

極大分裂トーラス 𝔥 が1次元だから 𝔥∗≃𝕂 であり,𝔥 に関するウェイトを考える代わりに,ℎ の固有値を考えれば十分である.

2次元特殊線型Lie代数の有限次元単純ウェイト加群

  • 体 𝕂
  • 𝕂 上の 2 次元特殊線型Lie代数 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)
  • 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の標準基底 { ℎ+ ≔ 𝑒 0,1 = ( 0 1 0 0 ) , ℎ− ≔ 𝑒 1,0 = ( 0 0 1 0 ) , ℎ ≔ ℎ0 = ( 1 0 0 −1 ) }
  • 𝕂 上の2変数多項式環 𝕂 ⁡ [ 𝑥,𝑦 ]

を与えると,以下が成り立つ:

  • 線型写像 𝜌 : 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) → 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝕂 ⁡ [ 𝑥,𝑦 ] ) を 𝜌 ⁡ (ℎ) ≔ − 𝑥 ⁢ ∂𝑥 + 𝑦 ⁢ ∂𝑦 , 𝜌 ⁡ ( ℎ+ ) ≔ 𝑦 ⁢ ∂𝑥 , 𝜌 ⁡ ( ℎ− ) ≔ 𝑥 ⁢ ∂𝑦 を線型に拡張したものとして定義すると,𝜌 はLie代数準同型.つまり,𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の表現.
  • 𝑛 次斉次多項式空間を 𝑉 ⁡ (𝑛) ≔ span𝕂 ⁡ { 𝑥𝑖 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖 | 𝑖 ∈ 𝑛+1 } とする.
    • ∀ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝑉 ⁡ (𝑛) は 𝕂 ⁡ [ 𝑥,𝑦 ] の部分 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群.
    • char⁡𝕂 = 0 の ∀ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 または, ∀ ⁡ 𝑛 < char⁡𝕂 に対し,𝑉⁡(𝑛) は単純 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群
    • 𝛺2 の 𝑉⁡(𝑛) 上の作用は 𝛺2 = ( 𝑛2 + 2⁢𝑛 ) ⁢ id 𝑉 ⁡ (𝑛)
  • 線型写像 𝑓 : 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) → 𝑉 ⁡ (2) を ℎ− ↦ 𝑥2 , ℎ ↦ 2⁢𝑥⁢𝑦 , ℎ+ ↦ − 𝑦2 線型に拡張したものとして定義したものは,随伴表現から 𝑉 ⁡ (2) への加群準同型.特に, char⁡𝕂 ≠ 2 のとき,加群同型.

証明

  • [ 𝜌 ⁡ (ℎ) , 𝜌 ⁡ ( ℎ± ) ] = 𝑦 ⁢ ∂𝑥 + 𝑦 ⁢ ∂𝑥 = ± 2 ⁢ 𝜌 ⁡ ( ℎ± ) = 𝜌 ⁡ ( [ ℎ , ℎ± ] ) [ 𝜌 ⁡ ( ℎ+ ) , 𝜌 ⁡ ( ℎ− ) ] = 𝑦 ⁢ ∂𝑦 − 𝑥 ⁢ ∂𝑥 = 𝜌 ⁡ (ℎ) = 𝜌 ⁡ ( [ ℎ+ , ℎ− ] )
    • ∀ ⁡ 𝑖 ∈ 𝑛+1 に対し, ℎ ⁡ ( 𝑥𝑖 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖 ) = ( 𝑛 − 2⁢𝑖 ) ⁢ 𝑥𝑖 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖 ℎ+ ⁡ ( 𝑥𝑖 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖 ) = { 𝑖 ⁢ 𝑥 𝑖−1 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖+1 𝑖≠0 0 𝑖=0 ℎ− ⁡ ( 𝑥𝑖 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖 ) = { ( 𝑛−𝑖 ) ⁢ 𝑥 𝑖+1 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖−1 𝑖≠𝑛 0 𝑖=𝑛 となるから, 𝑉 ⁡ (𝑛) は部分 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群.
    • 𝑉 ⁡ (𝑛) の非零な部分 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群 𝑊 の非零なベクトル 𝑣∈𝑊∖0 を取り,これを 𝑉 ⁡ (𝑛) の基底で展開する: 𝑣 = ∑ 𝑖 ∈ 𝑛+1 ⁡ 𝑐𝑖 ⁢ 𝑥𝑖 ⁢ 𝑦 𝑛−𝑖 𝑣≠0 より, 𝑚 ∈ 𝑛+1 を 𝑐𝑚 ≠ 0 となるものの最大値に取れ, ℎ+ 𝑚 ⁡ 𝑣 = 𝑐𝑚 ⁢ 𝑚! ⁢ 𝑦𝑛 より, 𝑦𝑛 ∈ 𝑊 となる.よって, span𝕂 ⁡ { ℎ− 𝑖 ⁡ 𝑦𝑛 | 𝑖∈ℕ } = span𝕂 ⁡ { 𝑥𝑖 ⁡ 𝑦 𝑛−𝑖 | 𝑖 ∈ 𝑛+1 } = 𝑉 ⁡ (𝑛) ⊆ 𝑊 が必要.よって, 𝑊 = 𝑉 ⁡ (𝑛)
    • 𝛺2 ⁡ ( 𝑥𝑖 𝑦 𝑛−𝑖 ) = ( ( 𝑛 − 2⁢𝑖 ) 2 + 2 ⁢ ( 𝑛 − 2⁢𝑖 ) + 4 ⁢ 𝑖 ⁢ ( 𝑛−𝑖+1 ) ) ⁢ 𝑥𝑖 𝑦 𝑛−𝑖 = ( 𝑛2 + 2⁢𝑛 ) ⁢ 𝑥𝑖 𝑦 𝑛−𝑖
  • { 𝜌 ⁡ ( ℎ+ ) ⁡ 𝑓 ⁡ ( ℎ+ ) = 0 = 𝑓 ⁡ (0) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ+ , ℎ+ ] ) 𝜌 ⁡ ( ℎ+ ) ⁡ 𝑓 ⁡ (ℎ) = 2 ⁢ 𝑦2 = − 2 ⁢ 𝑓 ⁡ ( ℎ+ ) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ+ , ℎ ] ) 𝜌 ⁡ ( ℎ+ ) ⁡ 𝑓 ⁡ ( ℎ− ) = 2⁢𝑥⁢𝑦 = 𝑓 ⁡ (ℎ) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ+ , ℎ− ] ) { 𝜌 ⁡ (ℎ) ⁡ 𝑓 ⁡ ( ℎ± ) = ± 2 ⁢ 𝑓 ⁡ ( ℎ± ) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ , ℎ± ] ) 𝜌 ⁡ (ℎ) ⁡ 𝑓 ⁡ (ℎ) = 0 = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ,ℎ ] ) { 𝜌 ⁡ ( ℎ− ) ⁡ 𝑓 ⁡ ( ℎ+ ) = − 2⁢𝑥⁢𝑦 = − 𝑓 ⁡ (ℎ) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ− , ℎ+ ] ) 𝜌 ⁡ ( ℎ− ) ⁡ 𝑓 ⁡ (ℎ) = 2 ⁢ 𝑥2 = 2 ⁢ 𝑓 ⁡ ( ℎ− ) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ− , ℎ ] ) 𝜌 ⁡ ( ℎ− ) ⁡ 𝑓 ⁡ ( ℎ− ) = 0 = 𝑓 ⁡ (0) = 𝑓 ⁡ ( [ ℎ− , ℎ− ] ) より,𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群準同型. char⁡𝕂 ≠ 2 のとき,明らかに全単射なので,𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群同型

標数 0 の体上の 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の有限次元加群

  • 標数 0 の体 𝕂
  • 𝕂 上の 2 次元特殊線型Lie代数 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)
  • 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の標準基底 { ℎ+ ≔ 𝑒 0,1 = ( 0 1 0 0 ) , ℎ− ≔ 𝑒 1,0 = ( 0 0 1 0 ) , ℎ ≔ ℎ0 = ( 1 0 0 −1 ) }

を与えると,任意の有限次元 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群 𝑊 に対し,

  • ℎ の作用の固有値は整数.
  • 特に,その最大値は非負整数.

証明

有限次元 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群 𝑊 に対応する表現を 𝜌 とする.また,𝕂 の代数閉包を 𝕂‾ とすると, 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) , 𝑊 より自然な 𝕂‾ 上のLie代数 𝔰𝔩 ⁡ ( 2 , 𝕂‾ ) , 𝑊‾ が誘導され,自然なLie代数準同型 𝜌‾ : 𝔰𝔩 ⁡ ( 2 , 𝕂‾ ) → 𝑊‾ が誘導される.つまり,𝑊‾ は有限次元 𝔰𝔩⁡(2,𝕂‾)-加群となる.𝕂‾ は代数閉体なので, ∃ ⁡ 𝑐 ∈ 𝕂‾ に対し,固有値 𝑐 の固有ベクトル 𝑤∈𝑊⊆𝑊‾ が存在する.ルートの性質より, 𝜌 ⁡ ( ℎ+ ) は 𝜌 ⁡ (ℎ) の固有値を +2 する.よって, 𝑤 , ℎ+ ⁡ 𝑤 , ℎ+ 2 ⁡ 𝑤 , … は相異なる固有値を持つベクトルの列だから,零でないものは全て線型独立.𝑊‾ の有限次元性より,この列は有限で零となる.よって 𝑐 は, ∀ ⁡ 𝑚 ∈ ( 𝑐 + 2⁢ℕ ) に対して, 𝜌⁡(ℎ) の固有値にならないものに取れる.すると, ℎ+ ⁡ 𝑤 = 0 だから,𝑊‾ の部分 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群 𝑈 ⁡ ( 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) ) ⁡ 𝑤 は, 𝑈 ⁡ ( 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) ) ⁡ 𝑤 = ( 𝑈 ⁡ ( 𝕂 ⁢ ℎ− ) ⊗ 𝑈 ⁡ ( 𝕂⁢ℎ ) ⊗ 𝑈 ⁡ ( 𝕂 ⁢ ℎ+ ) ) ⁡ 𝑤 = 𝑈 ⁡ ( 𝕂 ⁢ ℎ− ) ⁡ 𝑤 と表せる. 𝑤 , ℎ− ⁡ 𝑤 , ℎ− 2 ⁡ 𝑤 , … についても同様に, ℎ− 𝑝+1 ⁡ 𝑤 = 0 となる最小の 𝑝∈ℕ0 が存在する.これに対し, 0 = ℎ+ ⁢ ℎ− 𝑝+1 ⁡ 𝑤 = ( ℎ− 𝑝+1 ⁢ ℎ+ + ( 𝑝+1 ) ⁢ ℎ− 𝑝 ⁢ ( ℎ−𝑝 ) ) ⁡ 𝑤 = ( 𝑝+1 ) ⁢ ( 𝑐−𝑝 ) ⁢ ℎ− 𝑝 ⁡ 𝑤 であり,𝑝≥0 かつ ℎ− 𝑝 ⁡ 𝑤 ≠ 0 より,𝑐=𝑝 となる.

つまり,𝑊‾ の固有値は 𝑝 ∈ ℕ0 に対する { 𝑝 , 𝑝−2 , … , −𝑝 } の和集合となりいずれも整数.ところで, ℤ ⊆ 𝕂 ⊆ 𝕂‾ なので,𝑊 も同じ固有値を持つ.

標数 0 の体上の 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の有限次元加群の構造定理

を与えると,以下が成り立つ:

証明

  • 先の補題より,有限次元単純 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群は,ℎ の作用に関する固有値を持つが,有限次元ゆえに高々有限個.よって,最大値 𝑛∈ℕ0 を持つ.
  • 有限次元 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群 𝑉 を与える.𝑉 は有限次元なので,極大部分 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群の有限鎖 0 = 𝑉0 ⊂ 𝑉1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝑉𝑟 = 𝑉 が取れる. 𝑖∈𝑟 に対し, 𝑉 が半単純 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)-加群となることを数学的帰納法で示す.

    まず, 𝑉0 = 0 は(0個の単純加群の直和なので)半単純.

    次に, 𝑖 ∈ 𝑟−1 に対し, 𝑉𝑖 が半単純加群となるとき, 𝑣 ∈ 𝑉 𝑖+1 ∖ 𝑉𝑖 をとり, 𝑊 = 𝑈 ⁡ ( 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) ) ⁡ 𝑣 とすると,𝑊は単純. 𝑉𝑖 ∩ 𝑊 は 𝑊 の部分加群なので, 𝑉𝑖 ∩ 𝑊 = 𝑊,0 だが, 𝑣 ∉ 𝑉𝑖 より, 𝑉𝑖 ∩ 𝑊 = 0 となる.よって, 𝑉𝑖 ⊂ 𝑉𝑖 ⊕ 𝑊 ⊆ 𝑉 𝑖+1 だが, 𝑉𝑖 は 𝑉 𝑖+1 の極大部分加群だったから, 𝑉 𝑖+1 = 𝑉𝑖 ⊕ 𝑊 となる. 𝑉𝑖 は帰納法の仮定より半単純加群なので, 𝑉 𝑖+1 も半単純.

三角分解を持つLie代数とVerma加群

三角分解

を与える.

  • 𝔤の三角分解(triangular decomposition)とは,以下のデータからなる: これらは以下を満たす:
    • 𝔤0 は 𝔤 の極大分裂トーラス.
    • 𝔤 = 𝔤− ⊕ 𝔤0 ⊕ 𝔤+
    • [ 𝔤0 , 𝔤+ ] ⊆ 𝔤+
    • 𝔤+ は, 𝔤0 に関するルート空間分解を持ち,そのルートの集合は ⨁ 𝑗∈𝐽 ℕ ⁢ 𝛼𝑗 に含まれる.
    • 𝜎 ⁡ ( 𝔤+ ) = 𝔤− , 𝜎| 𝔥 = − id𝔥 , 𝜎2 = id𝔤
  • 𝛬 ≔ ⨁ 𝑗∈𝐽 ℤ ⁢ 𝛼𝑗 をルート格子(root lattice)と呼ぶ.
  • 𝛬+ ≔ ⨁ 𝑗∈𝐽 ℕ ⁢ 𝛼𝑗 の元を正ルート(positive root)と呼ぶ.
  • − 𝛬+ の元を負ルート(negative root)と呼ぶ.
三角分解の基本性質
  • 体 𝕂
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤
  • 𝔤 の三角分解 ( ( 𝔤− , 𝔤0 , 𝔤+ ) , { 𝛼𝑗 } 𝑗∈𝐽 , 𝜎 )

を与えると,以下を満たす:

  • [ 𝔤0 , 𝔤− ] ⊆ 𝔤−
  • 𝔤− は, 𝔤0 に関する 𝛼≠0 のルート空間分解を持つ.
  • 任意のルート 𝛼 ∈ 𝛬+ に対し, 𝔤 − −𝛼 = 𝜎 ⁡ 𝔤+𝛼

最高ウェイト加群

を与える.

𝑉 が最高ウェイト(highest weight) 𝜆 ∈ 𝔤0 ∗ の最高ウェイト加群(highest weight module)であるとは,最高ウェイトベクトル(highest weight vector)と呼ばれるウェイト 𝜆 のウェイト空間の元 𝑣 ∈ 𝑉𝜆 ∖ 0 が存在し,以下を満たすことを言う:

  • 𝑉 = 𝑈 ⁡ (𝔤) ⁡ 𝑣
  • 𝔤+ ⁡ 𝑣 = 0

Verma加群

を与える.

最高ウェイト 𝜆 ∈ 𝔤0∗ のVerma加群(Verma module)とは,以下のデータのこと: 𝑀 ⁡ (𝜆) ≔

Verma加群の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

証明

標準形式とWeyl群

三角分解を持つLie代数には,もはや 𝔤+⊕𝔤− が可換なものすら含まれる.もう少し非自明で扱いやすいLie代数を考える.

標準形式

を与える.

  • 標準形式(standard form)とは,𝐸 上の双線型形式 (,) : 𝐸Π𝐸 → 𝕂 であって,以下を満たすものを言う:
  • 𝛼∈𝛥 が,
    • ( 𝛼,𝛼 ) > 0 を満たすものを,実ルート(real root)と呼ぶ.
    • ( 𝛼,𝛼 ) ≤ 0 を満たすものを,虚ルート(imaginary root)と呼ぶ.
    • 実ルート 𝛼∈𝛥 に対し, 𝛼∨ ≔ 2 ( 𝛼,𝛼 ) ⁢ 𝛼 を 𝛼 の余ルート(coroot)と呼ぶ.
    • 実ルートの集合を 𝛥re と表す.
    • 虚ルートの集合を 𝛥im と表す.

Weyl群

を与える.

𝔤 のWeyl群(Weyl group) 𝑊 とは,以下のように,写像の合成を積として生成される 𝔤0∗ 上の線型写像からなる群のこと: 𝑊 ≔ ⟨ { 𝜎𝛼 : 𝜆 ↦ 𝜆 − ( 𝜆 , 𝛼∨ ) ⁢ 𝛼 = 𝜆 − 2 ⁢ ( 𝜆,𝛼 ) ( 𝛼,𝛼 ) ⁢ 𝛼 } 𝛼 ∈ 𝛥re ⟩

Weyl群の性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • ∀ ⁡ 𝜎∈𝑊 に対し, 𝜎2 = id 𝔤0∗
  • 𝑊 は群.
  • (,) は 𝑊 不変.

証明

  • ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤0∗ に対し, 𝜎𝛼2 ⁡ (𝜆) = 𝜆 − 2 ⁢ ( 𝜆,𝛼 ) ( 𝛼,𝛼 ) ⁢ 𝛼 + 2 ⁢ ( 𝜆,𝛼 ) ( 𝛼,𝛼 ) ⁢ ( 𝛼,𝛼 ) ( 𝛼,𝛼 ) ⁢ 𝛼 = 𝜆
  • 明らか.
  • ∀ ⁡ 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝔤0∗ と ∀ ⁡ 𝛼 ∈ 𝛥re に対し, ( 𝜎𝛼 ⁡ (𝜆) , 𝜎𝛼 ⁡ ( 𝜆′ ) ) = ( 𝜆 , 𝜆′ ) + 2 ⁢ 2 ⁢ ( 𝜆,𝛼 ) ⁢ ( 𝜆′ , 𝛼 ) − ( 𝜆,𝛼 ) ⁢ ( 𝜆′ , 𝛼 ) − ( 𝜆,𝛼 ) ⁢ ( 𝛼 , 𝜆′ ) ( 𝛼,𝛼 ) 2 = ( 𝜆 , 𝜆′ )

標準不変形式

を与える.

  • 𝔤 の標準不変形式(standard invariant form)とは,𝔤 上の(対称)双線型形式 𝜅 : 𝔤Π𝔤 → 𝕂 であって,以下を満たすものを言う:
    • 𝜅 は 𝔤 上の不変形式
    • 𝜅 は非退化.つまり,以下を満たす: ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤0∗ , ∃! ⁡ 𝑡𝜆 ∈ 𝔤0 , 𝜅 ⁡ ( 𝑡𝜆 , ⋅ ) = 𝜆 ⁡ (⋅)
  • 𝜅 の誘導する(線型)同型とは, 𝔤0∗ → 𝔤0 , 𝜆 ↦ 𝑡𝜆 のこと.
標準不変形式の性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • ∀ ⁡ 𝛼,𝛽 ∈ 𝔤0∗ と ∀ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔤𝛼 , ∀ ⁡ 𝑦 ∈ 𝔤𝛽 , ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤0 に対し,以下を満たす: 𝜅 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] , ℎ ) = 𝛿 𝛼+𝛽 ⁢ 𝛼 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 )
  • ∀ ⁡ 𝛼 ∈ 𝔤0∗ に対し,以下を満たす: [ 𝔤𝛼 , 𝔤 −𝛼 ] ⊆ 𝕂 ⁢ 𝑡𝛼

証明

  • 𝜅 は不変形式なので, 𝜅 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] , ℎ ) = 𝜅 ⁡ ( 𝑥 , [ 𝑦,ℎ ] ) = − 𝛽 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) Lie括弧の反交換律より, 𝜅 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] , ℎ ) = 𝛼 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) も成り立つ. 𝜆 ∈ 𝔤0∗ に対し, ker⁡𝜆 = 0 ⇔ 𝜆=0 より, 𝛼 ≠ −𝛽 のとき, 𝜅 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] , ℎ ) = 0 となる.
  • ゆえに, ∀ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔤𝛼 , ∀ ⁡ 𝑦 ∈ 𝔤 −𝛼 に対し, 𝜅 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] , ℎ ) = 𝛼 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) = 𝜅 ⁡ ( 𝑡𝛼 , ℎ ) ⁢ 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) となる.𝜅 の双線型性と 𝔤0 上の非退化性より, [ 𝑥,𝑦 ] = 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) ⁢ 𝑡𝛼

可積分表現

可積分表現

を与える.

定義の修正が必要

𝔤0 に関する ウェイト 𝔤-加群であって,全てのウェイト空間が有限次元なもの 𝑉 が可積分(interable)であるとは, ∀ ⁡ 𝑗∈𝐽 に対し, ∀ ⁡ ℎ+ ∈ 𝔤 𝛼𝑗 ∖ {0} であって, { ℎ+ , ℎ− ≔ 𝜎 ⁡ ( ℎ+ ) , ℎ ≔ [ ℎ+ , ℎ− ] } が 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の標準基底となるならば,これより定まる部分Lie代数 𝔞 ≔ 𝕂 ⁢ ℎ− ⊕ 𝕂⁢ℎ ⊕ 𝕂 ⁢ ℎ+ が ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 に対して,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:

  • 𝑉 のウェイト ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤0 ∗ に対し,𝑉 の部分線型空間 𝑊 ≔ ⨁ 𝑘∈ℤ ⁡ 𝑉 𝜆 + 𝑘⁢𝛼 は有限次元
  • 𝑉 のウェイト ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤0 ∗ の ウェイト空間 𝑉𝜆 に対し, 𝑈 ⁡ (𝔞) ⁡ 𝑉𝜆 は有限次元
  • ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 に対し, 𝑈 ⁡ (𝔞) ⁡ 𝑣 は有限次元

条件の同値性の証明

  • ルートの性質より 𝑈 ⁡ (𝛼) ⁡ 𝑉𝜆 ⊆ 𝑊 .
  • ウェイト加群の定義より, ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 はウェイトベクトルの有限和なので, 𝑈 ⁡ (𝛼) ⁡ 𝑉𝜆 が有限次元ならば, 𝑈 ⁡ (𝛼) ⁡ 𝑣 も有限次元.
  • 𝑊 は明らかに部分 𝔞-加群となる.ここで,部分 𝔞-加群の昇鎖 { 𝑊𝑖 } を 𝑊0 = 0 とし,また, 𝑤𝑖 ∈ 𝑊 ∖ 𝑊𝑖 を一つ取ったものに対する 𝑊𝑖 ≔ 𝑊 𝑖+1 + 𝑈 ⁡ (𝔞) ⁡ 𝑤𝑖 と定義する.各 𝑊𝑖 は可積分 𝔞-加群なので,単純加群.特に, dim ⁡ ( 𝑊𝑖 ) 𝜀 = 1 となる.ゆえに { 𝑊𝑖 } は 0 = 𝑊0 ⊂ 𝑊1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝑊 dim ⁡ 𝑉0 + dim ⁡ 𝑉1 = 𝑊 なる有限鎖となるから,𝑊 は有限次元.

可積分表現の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • ∀ ⁡ 𝜆 ∈ wt ⁡ (ℎ) に対し, 𝜆 ⁡ (ℎ) は整数.
  • ∀ ⁡ 𝜆 ∈ wt ⁡ (ℎ) に対し,非負整数 𝑝,𝑞 が存在し,
    • ∀ ⁡ 𝑘∈ℤ , ( 𝜆 + 𝑘⁢𝛼 ∈ wt ⁡ (𝑀) ⇔ −𝑝 ≤ 𝑘 ≤ 𝑞 )
    • 𝑝−𝑞 = 𝜆 ⁡ (ℎ)
  • dim ⁡ 𝑉𝜆 = dim ⁡ 𝑉 𝜆 − 𝜆 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝛼

証明

  • { ℎ± , ℎ } は 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) の標準基底の交換関係を満たすから, 𝜆 ⁡ (ℎ) は整数.

BGG圏 𝒪

BGG圏

を与える.

BGG(Bernstein-Gel’fand-Gel’fand)圏(BGG category) 𝒪 とは,対象 を 𝔤-加群 であって,以下の全てを満たすものの集まりとする,𝔤-加群の圏の充満部分圏のこと:

  • 𝑈⁡(𝔤)に関して有限生成
  • 𝔥 に関するウェイト加群
  • 局所的に 𝔤+ の作用に関して有限: ∀ ⁡ 𝑣∈𝑉 に対し,𝑉 の部分線型空間 𝑈 ⁡ ( 𝔤+ ) ⁡ 𝑣 は有限次元.
BGG圏の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 全てのウェイト空間は有限次元.
  • 有限集合 ∃ ⁡ 𝛬′ ⊆ 𝔥∗ に対し,ウェイト空間の次元が 0 でないウェイトの集合は, ∐ 𝜆 ∈ 𝛬′ ⁡ ( 𝜆 − 𝛬+ ) に含まれる.
  • 𝒪 はNoether圏
  • 𝒪 は部分加群,商加群,直和を取る操作に対して閉じる.
  • 𝒪 はAbel圏
  • 𝑈⁡(𝔤) の中心 𝑍 ⁡ ( 𝑈 ⁡ (𝔤) ) の作用に対して(局所的に?)有限: ∀ ⁡ 𝑣∈𝑀 に対し, 𝑍 ⁡ ( 𝑈 ⁡ (𝔤) ) ⁡ 𝑣 は有限次元.
  • 𝑈 ⁡ ( 𝔤− ) -加群として有限生成.

Kac-Moody代数

生成系と基本関係式を使って定義されるため,抽象的に感じるかもしれないが,有限次元半単純Lie代数の一般化になっている.

Cartan行列とKac-Moddy代数の定義

Cartan行列

𝑛∈ℕ を与える.

  • 𝑛 次のCartan行列(Cartan matrix)とは,整数成分の 𝑛 次正方行列 𝐴 = ( 𝑎 𝑖,𝑗 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 であって,以下を満たすものを言う:
    • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝑎 𝑖,𝑖 = 2
    • ∀ ⁡ 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 , 𝑎 𝑖,𝑗 ∈ − ℕ0
    • ∀ ⁡ 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 , 𝑎 𝑖,𝑗 = 0 ⇔ 𝑎 𝑗,𝑖 = 0
  • 𝑛 次のCartan行列に対し,Dynkin図形(Dynkin daigram)とは,以下で描いたもの:
    • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 に対し,頂点 ○ を書き,その上に 𝑖 と書く.
    • ∀ ⁡ 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 に対し, 𝑎 𝑖,𝑗 ⁢ 𝑎 𝑗,𝑖 ≠ 0 ならば,頂点 𝑖,𝑗 を線分で結び,その線分の 𝑖 側に −𝑎𝑖,𝑗と書き,𝑗 側に −𝑎𝑗,𝑖 と書く: Dynkin図形の例

基本ルート系

を与える.

  • 𝐴 をCartan行列とする基本ルート系(fundamental root system) 𝛷とは,以下のデータからなる: これらは以下を満たす: ( 𝛼𝑗 ⁡ ( ℎ𝑖 ) ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 = 𝐴
  • 基本ルート系が既約(irreducible)であるとは,以下を満たすことを言う:
    • Cartan行列 𝐴 がCartan行列の直和で表されない
    • dim ⁡ 𝔤0 = 2⁢𝑛 − rank ⁡ (𝐴)
基本ルート系の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • dim ⁡ 𝔤0 ≥ 2⁢𝑛 − rank ⁡ (𝐴)
  • dim ⁡ 𝔤0 = 2⁢𝑛 − rank ⁡ (𝐴) を満たす基本ルート系は同型を除いて一意的に存在する.
  • 𝔤0 の 2⁢𝑛 − rank ⁡ (𝐴) 次元部分線型空間 𝔤0′ であって, ( 𝔤0′ , { ℎ𝑖 } 𝑖∈𝑛 , { 𝛼𝑖 | 𝔤0′ } 𝑖∈𝑛 ) が基本ルート系となるものが存在する.

証明

𝔥 ≔ span𝕂 ⁡ { ℎ𝑖 } 𝑖∈𝑛 とする.

  • span𝕂 ⁡ { 𝛼𝑖 | 𝔥 } 𝑖∈𝑛 の次元は rank ⁡ (𝐴) なので, { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 が線型独立となるには, dim ⁡ 𝔤0 ≥ dim⁡𝔥 + ( 𝑛 − rank ⁡ (𝐴) ) = 2⁢𝑛 − rank ⁡ (𝐴) が必要.
  • 存在については明らか. ( 𝔤0 , { ℎ𝑖 } 𝑖∈𝑛 , { 𝛼𝑖′ } 𝑖∈𝑛 ) も基本ルート系であるとする.直和分解 𝔤0 = 𝔥+𝑈 を一つ固定する. { 𝛼𝑖 | 𝑈 } 𝑖∈𝑛 , { 𝛼𝑖′ | 𝑈 } 𝑖∈𝑛 は線型独立なので,直積 𝜙 ≔ 𝛼1 | 𝑈 Π ⋯ Π 𝛼𝑛 | 𝑈 : 𝑈 → 𝕂𝑛 , 𝜙′ ≔ 𝛼1′ | 𝑈 Π ⋯ Π 𝛼𝑛′ | 𝑈 : 𝑈 → 𝕂𝑛 は単射. 𝜙 ⁡ (𝑈) = 𝜙′ ⁡ (𝑈) なので(?) ( 𝜙′ ) −1 ∘ 𝜙 : 𝑈→𝑈 が定義され,これは線型同型.よって,線型同型 𝑓 ≔ id𝔥 ⊕ ( ( 𝜙′ ) −1 ∘ 𝜙 ) : 𝔤0 → 𝔤0 に対して, ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝛼𝑖′ ∘ 𝑓 = 𝛼𝑖 を満たす.
  • 自明

Chevalley関係式

を与える.

線型空間 𝔤0 ⊕ span𝕂 ⁡ { ℎ𝑖+ } 𝑖∈𝑛 ⊕ span𝕂 ⁡ { ℎ𝑖− } 𝑖∈𝑛 で生成される自由Lie代数に対し,Chevalley関係式(Chevalley relation)とは,以下のデータのこと:

  • ∀ ⁡ ℎ , ℎ′ ∈ 𝔤0 , [ ℎ , ℎ′ ] = 0
  • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤0 , ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , [ ℎ , ℎ𝑖+ ] = 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ ℎ𝑖+
  • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤0 , ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , [ ℎ , ℎ𝑖− ] = − 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ ℎ𝑖−
  • ∀ ⁡ 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 , [ ℎ𝑖+ , ℎ𝑗− ] = 𝛿 𝑖,𝑗 ⁢ ℎ𝑖
Chevalley関係式の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝔤∼ 上の自己同型 𝜃∼ : 𝔤∼ → 𝔤∼ が,以下をLie代数的に拡張したものとして定義される:
    • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤∼ 0 , 𝜃∼ ⁡ (ℎ) = −ℎ
    • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜃∼ ⁡ ( ℎ𝑖+ ) = ℎ𝑖−
    • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜃∼ ⁡ ( ℎ𝑖− ) = ℎ𝑖+
    特に, 𝜃∼ ∘2 = id 𝔤∼
  • 𝔤∼ ± をそれぞれ { ℎ𝑖± } 𝑖∈𝑛 で生成される 𝔤∼ の部分Lie代数とすると,以下が成り立つ:
  • ( ( 𝔤− , 𝔤0 , 𝔤+ ) , { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 , 𝜃∼ ) は 𝔤∼ の三角分解.
  • ゆえに, 𝔤∼ は 𝔤0 に関するルート空間分解を持つ.特に, 𝑄+ ≔ ⨁ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℤ ≥0 ⁢ 𝛼𝑖 とすると,
    • ルートの集合は 𝑄+ ∪ ( − 𝑄+ )
    • 𝔤∼ 𝛼=0 = 𝔤∼ 0
    • ∀ ⁡ 𝛼 ∈ ( ± 𝑄+ ) ∖ 0 , 𝔤∼ ±𝛼 = ∑ ∑ 𝑝∈𝑟 ⁡ 𝛼 𝑖𝑝 = 𝛼 𝕂 ⁢ ( ∏ 𝑗 ∈ 𝑟−1 ⁡ ad ⁡ ℎ 𝑖𝑗 ± ) ⁡ ( ℎ 𝑖𝑟 ± )
    • 𝔤∼ ± = ⨁ 𝛼 ∈ 𝑄+ ∖ 0 𝔤∼ ±𝛼
    • ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤∼ 0 + , 𝜃∼ ⁡ ( 𝔤∼ 𝜆 ) = 𝔤∼ −𝜆

証明

  • まず,自己準同型であることを示すが,Chevalley関係式が成り立つことを示せばよい:
    • ∀ ⁡ ℎ , ℎ′ ∈ 𝔤0 , 𝜃∼ ⁡ ( [ ℎ , ℎ′ ] ) = [ −ℎ , − ℎ′ ] = 0 = 𝜃∼ ⁡ (0)
    • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤0 , ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜃∼ ⁡ ( [ ℎ , ℎ𝑖+ ] ) = [ −ℎ , ℎ𝑖− ] = 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ ℎ𝑖− = 𝜃∼ ⁡ ( 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ ℎ𝑖+ )
    • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤0 , ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜃∼ ⁡ ( [ ℎ , ℎ𝑖− ] ) = [ −ℎ , ℎ𝑖+ ] = − 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ ℎ𝑖+ = 𝜃∼ ⁡ ( − 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ ℎ𝑖+ )
    • ∀ ⁡ 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 , 𝜃∼ ⁡ ( [ ℎ𝑖+ , ℎ𝑖− ] ) = [ ℎ𝑖+ , ℎ𝑖- ] = − 𝛿 𝑖,𝑗 ⁢ ℎ𝑖 = 𝜃∼ ⁡ ( 𝛿 𝑖,𝑗 ⁢ ℎ𝑖 )
    以上より,Lie代数自己準同型.明らかに 𝜃∼ ∘2 = id 𝔤∼ なので, 𝜃∼ は全単射.つまりLie代数自己同型
  • 割と長い
  • atode

Chevalley関係式によるLie代数のイデアル 𝔯

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝔤∼ のイデアルであって, 𝔯 ∩ 𝔤∼ 0 = {0} を満たすもののうち,最大のもの 𝔯 が存在する.
  • 𝔯± ≔ 𝔯 ∩ 𝔤∼ ± とすると,
    • 𝔯 = 𝔯+ ⊕ 𝔯−
    • 𝔯± は共に 𝔤∼ のイデアル
    • 𝜃∼ ⁡ (𝔯) = 𝔯
    • 𝜃∼ ⁡ ( 𝔯± ) = 𝔯∓

証明

  • 𝔤∼ は 𝔤∼ = 𝔤∼ − ⊕ 𝔤∼ 0 ⊕ 𝔤∼ + を持つ.𝔯 を 𝔤 のイデアル 𝔦 であって 𝔦 ∩ 𝔤∼ 0 = {0} を満たすもの全ての和とすると,これも 𝔤 のイデアルであり,かつ 𝔦⊆𝔯 を満たす.
  • 非自明なのは, 𝔯± が共に 𝔤∼ のイデアルとなることくらいだろう. 𝔤∼ のルート空間分解を 𝔤∼ ≔ ⨁ 𝜆 ∈ 𝔤∼ 0 ∗ ⁡ 𝔤∼ 𝜆 とすると, 𝔯− = ⨁ 𝛼 ∈ 𝑄+ ∖ 0 ⁡ ( 𝔯 ∩ 𝔤∼ −𝛼 ) を満たす.まず, [ 𝔤∼ − ⊕ 𝔤∼ 0 , 𝔯− ] ⊆ 𝔯 ∩ 𝔤∼ − = 𝔯− となるから,あとは [ 𝔤∼ + , 𝔯− ] ⊆ 𝔯− を示せばよい.それには, ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , ∀ ⁡ 𝛼 ∈ 𝑄+ , [ ℎ𝑖+ , 𝔯 ∩ 𝔤∼ −𝛼 ] ⊆ 𝔯− を示せばよい. [ ℎ𝑖+ , 𝔯 ∩ 𝔤∼ −𝛼 ] ⊆ 𝔯 ∩ 𝔤∼ − 𝛼 + 𝛼𝑖 だが, 𝑄+ = ⨁ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℤ ≥0 ⁢ 𝛼𝑖 でありルートの集合は 𝑄+ ∪ ( − 𝑄+ ) であったから, 𝔤∼ − 𝛼 + 𝛼𝑖 ⊆ {0} ∪ 𝔤∼ − = 𝔤∼ − .つまり, [ ℎ𝑖+ , 𝔯 ∩ 𝔤∼ −𝛼 ] ⊆ 𝔯 ∩ 𝔤∼ − = 𝔯− なので, 𝔯− は 𝔤∼ のイデアル. 𝜃∼ は自己同型なので, 𝔯+ = 𝜃∼ ⁡ ( 𝔯− ) も 𝔤∼ のイデアル.

Serre関係式

を与える.

線型空間 𝔤0 ⊕ span𝕂 ⁡ { ℎ𝑖+ } 𝑖∈𝑛 ⊕ span𝕂 ⁡ { ℎ𝑖− } 𝑖∈𝑛 で生成される自由Lie代数における,Serre関係式(Serre relation)とは,以下の集合のこと: { ad ⁡ ( ℎ𝑖+ ) 1 − 𝑎 𝑖,𝑗 ⁡ ( ℎ𝑗+ ) | 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 } ∪ { ad ⁡ ( ℎ𝑖− ) 1 − 𝑎 𝑖,𝑗 ⁡ ( ℎ𝑗− ) | 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 }

Kac-Moody代数

を与える.

Kac-Moody代数(Kac-Moody algbra)とは,以下の(一般に等しいとは限らない)2種類のLie代数のことを指す:

単にKac-Moody代数と呼んだときは,いずれを考えた場合でも問題ない.

Kac-Moody代数の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝔤 上の自己同型 𝜃 : 𝔤→𝔤 が,以下をLie代数的に拡張したものとして定義される:
    • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔤0 , 𝜃 ⁡ (ℎ) = −ℎ
    • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜃 ⁡ ( ℎ𝑖+ ) = ℎ𝑖−
    • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜃 ⁡ ( ℎ𝑖− ) = ℎ𝑖+
    特に, 𝜃 ∘2 = id𝔤
  • 𝔤 はルート空間分解を持つ.そのルートの集合を 𝛥 とし, 𝑄+ ≔ ⨁ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℤ ≥0 ⁢ 𝛼𝑖 に対して 𝛥± ≔ 𝛥 ∩ ( ± 𝑄± ) とすると,
    • 𝛥 ⊆ 𝑄+ ∪ {0} ∪ ( − 𝑄+ ) .つまり, 𝛥 = 𝛥+ ⊔ 𝛥−
    • 𝔤 𝛼=0 = 𝔤0
    • ∀ ⁡ 𝛼 ∈ 𝛥∖0 , 𝔤 ±𝛼 = ∑ ∑ 𝑝∈𝑟 ⁡ 𝛼 𝑖𝑝 = 𝛼 𝕂 ⁢ ( ∏ 𝑗 ∈ 𝑟−1 ⁡ ad ⁡ ℎ 𝑖𝑗 ± ) ⁡ ( ℎ 𝑖𝑟 ± )
    • 𝔤± = ⨁ 𝛼 ∈ 𝑄+ ∖ 0 𝔤 ±𝛼
    • ∀ ⁡ 𝜆 ∈ 𝔤0 ∗ , 𝜃 ⁡ ( 𝔤𝜆 ) = 𝔤 −𝜆
  • 𝔤± で生成される 𝔤 の部分Lie代数 を 𝔞 とすると, 𝔞 = 𝔤− ⊕ ∑ 𝑖∈𝑛 ⁡ 𝕂 ⁢ ℎ𝑖 ⊕ 𝔤+ = [ 𝔤,𝔤 ] = [ 𝔞,𝔞 ]
  • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , dim ⁡ 𝕂 ⁢ ℎ𝑖± = 1

可積分表現

証明

𝑖∈𝑛 に対し, 𝔞𝑖 ≔ 𝕂 ⁢ ℎ 𝑖,+ ⊕ 𝕂⁢ℎ ⊕ 𝕂 ⁢ ℎ 𝑖,− とし,𝔤 の部分線型空間 𝔤′ ≔ { 𝑥∈𝔤 | dim ⁡ ( 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ 𝑥 ) < ∞ } を定義する.まず, 𝔥 + 𝕂 ⁢ ℎ 𝑖,+ + 𝕂 ⁢ ℎ 𝑖,− は 𝔞𝑖 を含む有限次元部分Lie代数であり 𝔞𝑖 の作用に関して不変.つまり, 𝔥 + 𝕂 ⁢ ℎ 𝑖,+ + 𝕂 ⁢ ℎ 𝑖,− ⊆ 𝔤′ となる.次に,𝑗≠𝑖∈𝑛 に対し,Chevalley関係式とSerre関係式より, ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ ( ℎ 𝑗,± ) = ( ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( ℎ 𝑖,± ) ∘ ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( ℎ 𝑖,∓ ) ∘ ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( ℎ𝑖 ) ) ⁡ ( 𝕂 ⁢ ℎ 𝑗,± ) = ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( ℎ 𝑖,± ) ⁡ ( 𝕂 ⁢ ℎ 𝑗,± ) = ∑ 𝑘=0 − 𝑎 𝑖,𝑗 𝕂 ⁢ ( ad ⁡ ℎ 𝑖,± ) 𝑘 ⁡ ( ℎ 𝑗,± ) を満たす.つまり, ℎ 𝑗,± ∈ 𝔤′ となる.最後に ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤′ に対し, ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ ( 𝑥+𝑦 ) ⊆ ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ (𝑥) + ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ (𝑦) ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] ) ⊆ [ ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ (𝑥) + ad ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔞𝑖 ) ⁡ (𝑦) ] なので, 𝔤′ は 𝔤 の生成系で生成される部分Lie代数なので, 𝔤′ = 𝔤

標準形式

対称化可能Cartan行列

を与える.

  • Cartan行列 𝐴 が対称化可能(symmetrizable)であるとは,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:
    • 𝑛 次の正有理数成分の対角行列 𝐷 が存在し,𝐷⁢𝐴 は対称行列.
    • 𝐸 上の標準形式 (,) : 𝐸Π𝐸 → 𝕂 が存在し, ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ∈ ℚ >0 を満たす.
    • 𝐸 上の標準形式 (,) : 𝐸Π𝐸 → 𝕂 が存在し, ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ≠ 0 を満たす.
    • 𝔤 の標準不変形式 𝜅:𝔤Π𝔤→𝕂 が存在する.
  • 特に,𝐷⁢𝐴 が
    • 正定値のとき,有限型(finite type)と呼ぶ.
    • 半正定値のとき,アフィン型(affine type)と呼ぶ.
    • 不定値かつ主小行列が有限型またはアフィン型のとき,双曲型(hyperbolic type)と呼ぶ.

条件の同値性の証明

𝔥 ≔ ⨁ 𝑖∈𝑛 ⁡ 𝕂 ⁢ ℎ𝑖 とおき,まずは正有理数に関する仮定を外した条件の同値性を証明する:

  • 𝐷⁢𝐴 が対称行列になるとき,標準不変形式 𝜅 : 𝔤Π𝔤 → 𝕂 を具体的に定める.まず, 𝜅 ⁡ ( ℎ𝑖 , ℎ ) = 𝐷𝑖 ⁢ 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) とし,これを線型に拡張して, 𝔥 Π 𝔤0 上の双線型写像とする.これは 𝔥Π𝔥 上対称なので, 𝔥 Π 𝔤0 + 𝔤0 Π 𝔥 上の双線型写像に拡張できる.ここで, { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 は線型独立なので, 𝔤0 Π 𝔤0 上の非退化対称双線型写像であって, 𝜅 ⁡ ( ℎ𝑖 , ℎ ) = 𝐷𝑖 ⁢ 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) を満たすものが存在するので,適当に一つとる.

    次に, ∀ ⁡ 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 , 𝜅 ⁡ ( ℎ𝑖+ , ℎ𝑖− ) = 𝐷𝑖 ⁢ 𝛿 𝑖,𝑗 , 𝜅 ⁡ ( ℎ𝑖+ , ℎ𝑖+ ) = 𝜅 ⁡ ( ℎ𝑖− , ℎ𝑖− ) = 0 を満たし,かつ 𝔤 上の不変形式となるものが一意的に存在する.ゆえに,𝜅 は標準不変形式となる.

  • 標準不変形式は自然に 𝐸 上の標準形式を誘導する.
  • 標準形式の定義より, 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 に対し, 𝑎 𝑖,𝑗 = 𝛼𝑗 ⁡ ( ℎ𝑖 ) = 2 ⁢ ( 𝛼𝑗 , 𝛼𝑖 ) ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) より, ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) 2 ⁢ 𝑎 𝑖,𝑗 = ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑗 ) = ( 𝛼𝑗 , 𝛼𝑗 ) 2 ⁢ 𝑎 𝑗,𝑖 となる.つまり,ℝ∖0 値の対角行列 𝐷 ≔ ( 𝛿 𝑖,𝑗 ⁢ ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) 2 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 が存在し,𝐷⁢𝐴 は対称行列となる.

Cartan行列は ℤ-値なので,対称化する行列 𝐷 は,ℚ>0-値に取れる.このとき標準形式は, ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑗 ) = 𝐷𝑖 ⁢ 𝑎 𝑖,𝑗 = 𝐷𝑗 ⁢ 𝑎 𝑗,𝑖 と定義していたから, ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ∈ ℚ >0 となる.

Kac-Moody代数のWeyl群,実ルート・虚ルート

を与えると,以下が成り立つ:

  • ∀ ⁡ 𝛼,𝛽 ∈ 𝛥 , ( 𝛼,𝛽 ) ∈ ℚ
  • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 に対し, 𝛼𝑖 は実ルート
  • ∀ ⁡ 𝛼∈𝛥 に対し,以下は同値:
    • 𝛼 は実ルート
    • ∃ ⁡ 𝑤∈𝑊 , ∃ ⁡ 𝑖∈𝑛 に対し, 𝛼 = 𝑤 ⁡ ( 𝛼𝑖 )
    同様に,以下は同値:
    • 𝛼 は虚ルート
    • 𝛼 ∉ 𝑊 ⁡ ( { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 )
  • 任意の実ルート 𝛼∈𝛥re と ∀⁡𝑤∈𝑊 に対し, 𝑤 ⁢ 𝜎𝛼 ⁢ 𝑤 −1 = 𝜎 𝑤 ⁡ (𝛼)
  • { 𝜎 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 は 𝑊 の生成系.

証明

  • ( 𝛼,𝛽 ) ∈ ( ℤ ⁢ { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 , ℤ ⁢ { 𝛼𝑗 } 𝑗∈𝑛 ) = ℤ ⁢ { ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑗 ) } 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 ⊆ ℚ
  • 𝔤 の標準形式 の定義より ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ∈ ℚ >0
  • 標準形式は 𝑊 不変なので, 𝛼 = 𝑤 ⁡ ( 𝛼𝑖 ) ⇒ ( 𝛼,𝛼 ) = ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ⇒ 𝛼 ∈ 𝛥re となる.逆に, 𝛼 ∉ 𝑊 ⁡ ( { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 ) のとき,まず,𝑤∈𝑊 を 𝑤⁡𝛼 の基底での展開 𝑤⁢𝛼 = ∑ 𝑖∈𝑛 ⁡ 𝑛𝑖 ⁢ 𝛼𝑖 のうち, ∑ 𝑖= ⁡ 𝑛𝑖 が,𝛼∈𝛥+ ならば最小,𝛼∈𝛥− ならば最大のものとする.すると,∀⁡𝑖∈𝑛 に対し, 𝑠𝑖 ⁡ ( 𝑤⁡𝛼 ) = 𝑤⁡𝛼 − 2 ⁢ ( 𝑤⁡𝛼 , 𝛼𝑖 ) ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ⁢ 𝛼𝑖 より最小(最大)性から 𝑛𝑖 ⁢ ( 𝑤 ⁡ 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) ≤ 0 となる.よって, ( 𝛼,𝛼 ) = ( 𝑤⁡𝛼 , 𝑤⁡𝛼 ) = ∑ 𝑖=1 ⁡ 𝑛𝑖 ⁢ ( 𝑤⁡𝛼 , 𝛼𝑖 ) ≤ 0
  • 𝑤 ⁢ 𝜎𝛼 ⁢ 𝑤 −1 ⁡ (𝜆) = 𝑤 ⁡ ( 𝑤 −1 ⁡ (𝜆) − ( 𝑤 −1 ⁡ (𝜆) , 𝛼 ) ( 𝛼,𝛼 ) ⁢ 𝛼 ) = 𝜆 − ( 𝜆 , 𝑤 ⁡ (𝛼) ) ( 𝑤 ⁡ (𝛼) , 𝑤 ⁡ (𝛼) ) ⁢ 𝑤 ⁡ (𝛼) = 𝜎 𝑤 ⁡ (𝛼) ⁡ (𝜆)
  • 上で示した実ルートの条件の同値性は,𝑊 を { 𝜎 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 で生成される 𝑊 の部分群 𝑊′ に直しても成り立つ.つまり,𝛼 が実ルートならば, ∃ ⁡ 𝑤 ∈ 𝑊′ , ∃ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝛼 = 𝑤 ⁡ 𝛼𝑖 となる.このとき, 𝜎 𝑤 ⁡ ( 𝛼𝑖 ) = 𝑤 ⁢ 𝜎 𝛼𝑖 ⁢ 𝑤 −1 であった.

対称化可能Cartan行列,ひいてはその上のKac-Moody代数の分類は,有限型,アフィン型,双曲型の場合で終わっている.その出発点となる有限型の場合について,有限次元Lie代数のテクニックを用いるので,次章は有限次元Lie代数を扱う.

表現論

ウェイト格子・整ウェイト・優整ウェイト

を与える.

  • 整ウェイト(integral weight)とは,以下の集合の元のこと: 𝛥w ≔ { 𝜆 ∈ 𝔤0∗ | ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜆 ⁡ ( ℎ𝑖 ) ∈ ℤ }
  • 優整ウェイト(dominant integral weight)とは,以下の集合の元のこと: 𝛥w≥ ≔ { 𝜆 ∈ 𝔤0∗ | ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜆 ⁡ ( ℎ𝑖 ) ∈ ℕ0 }
  • 強い優整ウェイト(strongly dominant integral weight)とは,以下の集合の元のこと: 𝛥w+ ≔ { 𝜆 ∈ 𝔤0∗ | ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜆 ⁡ ( ℎ𝑖 ) ∈ ℕ }

Kac-Moody代数のCasimir元

を与える.

(2次の)Casimir元(Casimir element)とは,以下の形式和のこと: 𝛺2 ≔ 特に,𝔤 が有限次元であれば, 𝛺2 ∈ 𝑈 ⁡ (𝔤) となる.

BGG圏の対象であれば,Casimir元の作用は有限個を除いて零なので,well-definedな線型写像となる.

Kac-Moody代数のBGG圏とCasimir元の関係

を与えると,以下が成り立つ:

  • ∀ ⁡ 𝑀,𝑁 ∈ 𝒪 と,𝔤-加群準同型 ∀ ⁡ 𝑓 : 𝑀→𝑁 に対し, 𝑓 ∘ 𝛺2 = 𝛺2 ∘ 𝑓
  • ∀ ⁡ 𝑀∈𝒪 と, ∀ ⁡ 𝑢 ∈ 𝑈 ⁡ (𝔤) に対し, ∀ ⁡ 𝑚∈𝑀 , 𝛺2 ⁡ 𝑢 ⁡ 𝑚 = 𝑢 ⁡ 𝛺2 ⁡ 𝑚
  • 最高ウェイト 𝜆∈𝔤0∗ のVerma加群 𝑀⁡(𝜆) に対し,𝛺2 の作用は ( 𝜆 , 𝜆 + 2⁢𝜌 ) ⁢ id𝑀 に等しい.

有限次元Lie代数

Adoの定理

有限次元表現

証明

dim⁡𝑉 に関する数学的帰納法により示す.dim⁡𝑉 のときは自明.

次に, dim⁡𝑉 > 0 とする.仮定より,ウェイト 𝜆∈𝔤∗ のウェイトベクトルが存在する: ∃ ⁡ 𝑣1 ∈ 𝑉 ∖ {0} , ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝑥 ⁡ 𝑣1 = 𝜆 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑣1 つまり, 𝑉1 ≔ 𝕂 ⁢ 𝑣1 は 𝑉 の部分加群となる.仮定より,その商加群 𝑊 ≔ 𝑉 ∕ 𝑉1 も仮定よりウェイトベクトルを持つ.また同型定理より,𝑊 の商加群もウェイトベクトルを持つ. dim ⁡ ( 𝑉 ∕ 𝑉1 ) = dim⁡𝑉 − 1 < dim⁡𝑉 より,帰納法の仮定から,𝔥 で安定化される 𝑊 の旗 {0} = 𝑊0 ⊂ 𝑊1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝑊 dim⁡𝑉 − 1 = 𝑉 ∕ 𝑉1 が存在する.標準射影 𝑝 : 𝑉 → 𝑉 ∕ 𝑉1 により定まる 𝑉 の部分線型空間の増大列 {0} ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊1 ) ⊂ ⋯ ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊 dim⁡𝑉 − 1 ) = 𝑉 は 𝑉 の旗となる.さらに, ∀ ⁡ 𝑗 ∈ ℕ ≤ dim⁡𝑉 − 1 に対し,商加群の普遍性より 𝑝 ⁡ ( 𝑥 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ) = 𝑥 ⁡ ( 𝑝 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ) = 𝑥 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ⊆ 𝑊𝑗 となるから,𝔤 で安定化される.

冪零・可解Lie代数

Engelの定理

証明

dim⁡𝔤 に関する数学的帰納法により2つの主張を同時に示す. dim⁡𝔤 = 0 のときは, 𝔤 = {0} より,いずれの主張も自明.

次に, dim⁡𝔤 > 0 とする.

証明

dim⁡𝑉 に関する数学的帰納法により示す.dim⁡𝑉 のときは自明.

次に, dim⁡𝑉 > 0 とする.このときウェイト 0∈𝔤∗ のウェイトベクトルが存在する: ∃ ⁡ 𝑣1 ∈ 𝔤 ∖ {0} , 𝔤 ⁡ 𝑣1 = {0} ここで, 𝑉1 ≔ 𝕂 ⁢ 𝑣1 , 𝑊 ≔ 𝑉 ∕ 𝑉1 とする.各 𝑥 ∈ 𝔤 ⊆ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) に対し,商線型空間の普遍性が誘導する自然な線型変換 𝑥‾ ∈ 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝑉 ∕ 𝑉1 ) は冪零.部分Lie代数 𝔤‾ ⊆ 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝑉 ∕ 𝑉1 ) に対し, dim ⁡ ( 𝑉 ∕ 𝑉1 ) = dim⁡𝑉 − 1 < dim⁡𝑉 なので,帰納法の仮定から,𝔤‾ で安定化される 𝑊 の旗 {0} = 𝑊0 ⊂ 𝑊1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝑊 dim⁡𝑉 − 1 = 𝑉 ∕ 𝑉1 が存在する.標準射影を 𝑝:𝑉→𝑊 とすると,これより定まる𝑉 の部分線型空間の増大列 {0} ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊1 ) ⊂ ⋯ ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊 dim⁡𝑉 − 1 ) = 𝑉 は 𝑉 の旗となる.さらに, ∀ ⁡ 𝑗 ∈ ℕ ≤ dim⁡𝑉 − 1 に対し, 𝑥 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑝 ⁡ ( 𝑥 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ) ) = 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑥‾ ⁡ ( 𝑝 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ) ) = 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑥‾ ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) より,𝔤 で安定化される.

冪零Lie代数のイデアルと中心の共通部分

を与えると,以下は同値:

  • 𝔦 ≠ {0}
  • 𝔦 ∩ 𝑍 ⁡ (𝔤) ≠ {0}
証明

𝔦 ∩ 𝑍 ⁡ (𝔤) ≠ {0} のとき, 𝔦 ≠ {0} となるのは自明.逆を示す.

𝔦 ≠ {0} のとき,イデアルの定義より, ad ⁡ (𝔤) ⁡ (𝔦) = [ 𝔤,𝔦 ] ⊆ 𝔦 を満たす.よって, ad ⁡ (𝔤) | 𝔦 ⁡ (𝔦) は 𝔤𝔩 ⁡ (𝔦) の部分Lie代数と見做せる.𝔤 が冪零Lie代数だったから, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対し, ad ⁡ (𝑥) | 𝔦 は冪零変換となる.よって,𝔤 のウェイト 0∈𝔤∗ のウェイトベクトルが存在し, ∃ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔦 ∖ {0} , ad ⁡ (𝔤) | 𝔦 ⁡ (𝑥) = [ 𝔤,𝑥 ] = 0 となる.つまり, 𝑥 ∈ 𝔦 ∩ 𝑍 ⁡ (𝔤) .

証明

冪零Lie代数の定義より,𝔤が冪零Lie代数ならば, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対し, ad⁡𝑥 ∈ 𝔤𝔩⁡𝔤 が冪零変換となることは自明.逆を dim⁡𝔤 に関する数学的帰納法により示す. dim⁡𝔤 = 0,1 のとき,一般に 𝔤 は可換なので,冪零Lie代数で, ad⁡𝔤 = {0} である.

次に, dim⁡𝔤 > 1 とする.このとき 𝔤 の中心 𝑍⁡(𝔤) は非零.よって, dim ⁡ ( 𝔤 ∕ 𝑍 ⁡ (𝔤) ) < dim⁡𝔤 であり,かつ ∀ ⁡ 𝑥 + 𝑍 ⁡ (𝔤) ∈ 𝔤 ∕ 𝑍 ⁡ (𝔤) に対し, ad ⁡ ( 𝑥 + 𝑍 ⁡ (𝔤) ) は冪零変換となるから,帰納法の仮定より, 𝔤 ∕ 𝑍 ⁡ (𝔤) は冪零Lie代数である.一般に,このとき 𝔤 自身も冪零Lie代数となる.

イデアルの旗を持つLie代数の導来Lie代数は冪零

を与え,𝔤 の旗 𝔤0 ≔ {0} ⊂ 𝔤1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝔤 dim⁡𝔤 ≔ 𝔤 であって, ∀ ⁡ 𝑖 ∈ ℕ0 ≤ dim⁡𝔤 に対して 𝔤𝑖 が 𝔤 のイデアルとなるものが存在するとすると,𝔤 の導来Lie代数 [ 𝔤,𝔤 ] は冪零.

証明

𝔤 の基底 { 𝑥1 , … , 𝑥 dim⁡𝔤 } を, ∀ ⁡ 𝑖 ∈ ℕ ≤ dim⁡𝔤 に対し, { 𝑥1 , … , 𝑥𝑖 } が 𝑥𝑖 の基底となるように取ると, ad⁡𝔤 の表現行列は(上)三角行列となる. よって, [ ad⁡𝔤 , ad⁡𝔤 ] = ad ⁡ [ 𝔤,𝔤 ] の表現行列は冪零行列となるから, ∀ ⁡ 𝑥 ∈ [ 𝔤,𝔤 ] に対し, ad⁡𝑥 は冪零.Engelの定理より, [ 𝔤,𝔤 ] は冪零.

根基の存在

Lieの定理

証明

𝐷 : ( 2𝔤 ) Π2 → 2𝔤 , ( 𝑋,𝑌 ) ↦ [ 𝑋,𝑌 ] とする.

dim ⁡ 𝑉1 = 1 なので,これが ∀⁡𝑥∈𝔤 で安定化されるならば,𝑉1 はあるウェイト 𝜆∈𝔤∗ のウェイト空間.ゆえに, [ 𝔤,𝔤 ] ⁡ 𝑉1 = {0} なので, dim ⁡ [ 𝔤,𝔤 ] ⁡ 𝑉2 ≤ 1 となる.帰納的に繰り返すと, ( 𝐷 dim⁡𝑉 ⁡ 𝔤 ) ⁡ 𝑉 = {0} が分かるから, 𝐷 dim⁡𝑉 ⁡ 𝔤 = {0} .つまり可解.

可解線型Lie代数のウェイトベクトルの存在

を与え,𝕂の標数について,

  • char⁡𝕂 = 0
  • dim⁡𝑉 < char⁡𝕂

のいずれかを満たすとすると,𝑉 はウェイト 𝜆 ∈ 𝔤∗ のウェイトベクトル 𝑣∈𝑉∖0 を持つ.

ここでいうウェイトは,1次元Lie代数 𝕂 への準同型のこと.
証明

dim⁡𝔤 に関する数学的帰納法により示す. dim⁡𝔤 = 0 のときは, 𝔤 = {0} より自明.

次に, dim⁡𝔤 > 0 とする.可解性の定義より,𝔤 の導来Lie代数は 𝔤 より真に小さい: [ 𝔤,𝔤 ] ⊊ 𝔤 .よってその商Lie代数 𝔤 ∕ [ 𝔤,𝔤 ] は非零.さらに,その商Lie代数 𝔤∕[𝔤,𝔤] は可換.よって,極大イデアル 𝔦 ⊃ [ 𝔤,𝔤 ] を取ると,𝔤∕𝔦 も可換.さらに極大性より 𝔤∕𝔦 は単純Lie代数でもあるので1次元.よって, ∀ ⁡ 𝑧 ∈ 𝔤∖𝔦 ≠ {0} に対し,線型空間の直和分解 𝔤 = 𝔦 ⊕ 𝕂⁢𝑧 を持つ.

帰納法の仮定より,ウェイト 𝜆 ∈ 𝔦∗ のウェイトベクトル 𝑣∈𝑉∖{0} が存在する.そのウェイト空間を 𝑊⊆𝑉 とする.ここで, ∀ ⁡ 𝑤∈𝑊 と ∀ ⁡ 𝑦∈𝔦 と ∀ ⁡ 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝑦 ⁡ ( 𝑧𝑛 ⁡ (𝑤) ) = 𝑧 ⁡ ( 𝑦 ⁡ ( 𝑧 𝑛−1 ⁡ (𝑤) ) ) − [ 𝑧,𝑦 ] ⁡ ( 𝑧 𝑛−1 ⁡ (𝑤) ) = 𝑧2 ⁡ ( 𝑦 ⁡ ( 𝑧 𝑛−2 ⁡ (𝑤) ) ) − 2 ⁢ 𝑧 ⁡ ( [ 𝑧,𝑦 ] ⁡ ( 𝑧 𝑛−2 ⁡ (𝑤) ) ) + [ 𝑧 , [ 𝑧,𝑦 ] ] ⁡ ( 𝑧 𝑛−2 ⁡ (𝑤) ) = ⋯ = ∑ 𝑚∈𝑛 ⁡ ( 𝑛 𝑚 ) ⁢ 𝜆 ⁡ ( ( − ad⁡𝑧 ) 𝑚 ⁡ (𝑦) ) ⁢ 𝑧 𝑛−𝑚 ⁡ (𝑤) となる. 𝑈 ≔ span𝕂 ⁡ { 𝑤 , 𝑧⁡𝑤 , 𝑧2 ⁡ 𝑤 , … } とすると,これは高々 dim⁡𝑉 次元.よって 𝑈 は有限次元で, { 𝑤 , 𝑧⁡𝑤 , … , 𝑧 dim ⁡ (𝑈) − 1 ⁡ 𝑤 } は 𝑈 の基底をなす.跡の定義の一つより tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑦) | 𝑈 ) = dim ⁡ (𝑈) ⁢ 𝜆 ⁡ (𝑦) となるが,𝔦 はイデアルだったから, [ 𝑧,𝑦 ] ∈ 𝔦 より, tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ ( [ 𝑧,𝑦 ] ) | 𝑈 ) = dim ⁡ (𝑈) ⁢ 𝜆 ⁡ ( [ 𝑧,𝑦 ] ) となるが,跡の巡回性よりこれは零.𝕂 の標数に関する仮定より, dim⁡𝑈 ≠ 0 なので, 𝜆 ⁡ ( [ 𝑧,𝑦 ] ) = 0 となる.ゆえに, 𝑦 ⁡ ( 𝑧 ⁡ (𝑤) ) = 𝑧 ⁡ ( 𝑦 ⁡ (𝑤) ) = 𝜆 ⁡ (𝑦) ⁢ ( 𝑧 ⁡ ⁡ (𝑤) ) となるから,𝑊 は部分 𝔤-加群となる.

𝕂 は代数閉体で,𝑧 の作用は 𝑊 上の線型写像なので,固有値 𝜆′⁡(𝑧) の固有ベクトル 𝑣∈𝑊⊆𝑉 を持つ.線型写像の直和 𝜆⊕𝜆′:𝔦⊕𝕂⁢𝑧→𝕂 は 𝜆 ⊕ 𝜆′ ⁡ ( [ 𝔤,𝔤 ] ) = 𝜆 ⁡ ( [ 𝔦,𝔦 ] ) = 0 を満たすからLie代数準同型となり,𝑉 はウェイト 𝜆⊕𝜆′∈𝔤∗=(𝔦+𝕂⁢𝑧)∗ のウェイトベクトル 𝑣∈𝑉∖{0} を持つ.

Lieの定理

を与え,𝕂の標数について,

  • char⁡𝕂 = 0
  • dim⁡𝑉 < char⁡𝕂

のいずれかを満たすとすると,以下は同値:

証明

旗を持つならば可解は証明済み.逆を dim⁡𝑉 に関する数学的帰納法により示す.dim⁡𝑉=0 ならば明らか.

次に, dim⁡𝑉 > 0 とする.このときあるウェイト 𝜆∈𝔤∗ のウェイトベクトルが存在する: ∃ ⁡ 𝑣1 ∈ 𝔤 ∖ {0} , 𝔤 ⁡ 𝑣1 = {0} ここで, 𝑉1 ≔ 𝕂 ⁢ 𝑣1 , 𝑊 ≔ 𝑉 ∕ 𝑉1 とする.各 𝑥 ∈ 𝔤 ⊆ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) に対し,商線型空間の普遍性が誘導する自然な線型変換 𝑥‾ ∈ 𝔤𝔩 ⁡ ( 𝑉 ∕ 𝑉1 ) を得る操作はLie代数準同型.ゆえにその像である { 𝑥‾ | 𝑥 ∈ 𝔤 ⊆ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) } も可解.帰納法の仮定より,𝔤‾ で安定化される 𝑊 の旗 {0} = 𝑊0 ⊂ 𝑊1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝑊 dim⁡𝑉 − 1 = 𝑉 ∕ 𝑉1 が存在する.標準射影を 𝑝:𝑉→𝑊 とすると,これより定まる𝑉 の部分線型空間の増大列 {0} ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊0 ) ⊂ ⋯ ⊂ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊 dim⁡𝑉 − 1 ) = 𝑉 は 𝑉 の旗となる.さらに, ∀ ⁡ 𝑗 ∈ ℕ ≤ dim⁡𝑉 − 1 に対し, 𝑥 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ⊆ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑝 ⁡ ( 𝑥 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ) ) = 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑥‾ ⁡ ( 𝑝 ⁡ ( 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ) ) = 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑥‾ ⁡ ( 𝑊𝑗 ) ) ⊆ 𝑝 −1 ⁡ ( 𝑊𝑗 ) より,𝔤 で安定化される.

可解Lie代数の導来Lie代数は冪零

を与え,𝕂の標数について,

  • char⁡𝕂 = 0
  • dim⁡𝔤 < char⁡𝕂

のいずれかを満たすとすると,以下が成り立つ:

  • 𝔤 の旗 𝔤0 ≔ {0} ⊂ 𝔤1 ⊂ ⋯ ⊂ 𝔤 dim⁡𝔤 ≔ 𝔤 であって, ∀ ⁡ 𝑖 ∈ ℕ0 ≤ dim⁡𝔤 に対して 𝔤𝑖 が 𝔤 のイデアルとなるものが存在する.
  • 𝔤 の導来Lie代数 [ 𝔤,𝔤 ] は冪零.

Cartanの判定条件

Cartanの判定条件のための補題

を与えると,𝑥∈𝑀 が tr ⁡ ( 𝑥∘𝑀 ) = 0 を満たすならば,𝑥 は冪零変換

証明

標数 0 の体は完全体なので,𝑥 はJordan-Chevalley分解 𝑥=𝑥s+𝑥nを持つ.跡や冪零性は代数閉で保たれるので,𝕂 が代数閉体の場合を考えれればよい.𝑥s の固有値の集合を 𝛬⊂𝕂 とし,固有値 𝜆∈𝛬 の固有空間を 𝑉𝜆 とする.このとき, end ⁡ (𝑉) も双積分解を持つ: end ⁡ (𝑉) = ⨁ 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝛬 ⁡ hom𝕂 ⁡ ( 𝑉𝜆 , 𝑉 𝜆′ ) さらに, hom𝕂 ⁡ ( 𝑉𝜆 , 𝑉 𝜆′ ) の任意の元は ad ⁡ 𝑥s の固有値 𝜆′ − 𝜆 ∈ 𝕂 の固有ベクトルだから,これは固有空間分解(の細分)でもある.

𝐸 ≔ spanℚ ⁡ 𝛬 としたとき,示すべきは 𝐸={0}.𝐸 は有限次元なので,双対空間について 𝐸∗ = {0} を示せばよい. ∀ ⁡ 𝑓 ∈ 𝐸∗ を一つとり,𝑦∈end⁡(𝑉) を ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝑦| 𝑉𝜆 ≔ 𝑓 ⁡ (𝜆) ⁢ id 𝑉𝜆 を線型に拡張したものとして定める.すると, ∀ ⁡ 𝑧 ∈ hom𝕂 ⁡ ( 𝑉𝜆 , 𝑉 𝜆′ ) に対し, ad⁡𝑦 ⁡ (𝑧) = ( 𝑓 ⁡ ( 𝜆′ ) − 𝑓 ⁡ (𝜆) ) ⁢ 𝑧 = 𝑓 ⁡ ( 𝜆′ − 𝜆 ) ⁢ 𝑧 ∝ ( 𝜆′ − 𝜆 ) ⁢ 𝑧 = ad ⁡ 𝑥s ⁡ (𝑧) を満たす.Lagrange補完より,多項式 𝑝 ⁡ (𝑡) ∈ ℚ ⁢ [𝑡] を ∀ ⁡ 𝜆 , 𝜆′ ∈ 𝛬 , 𝑟 ⁡ ( 𝜆′ − 𝜆 ) = 𝑓 ⁡ ( 𝜆′ − 𝜆 ) を満たすように取れる.ところで, ad ⁡ 𝑥s は ad⁡𝑥 の定数項を持たない多項式で書けるので, 𝑥s ∈ 𝑀 .よって,𝑦∈𝑀となる.

仮定より, tr ⁡ ( 𝑥∘𝑦 ) = ∑ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝜆 ⁢ 𝑓 ⁡ (𝜆) = 0 となる.𝑓 を作用させると, ∑ 𝜆∈𝛬 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝜆) 2 = 0 となる. 𝑓 ⁡ (𝜆) ∈ ℚ より, ∀ ⁡ 𝜆∈𝛬 , 𝑓 ⁡ (𝜆) = 0 となり,𝑓=0なので, 𝐸∗ = {0} が示された.

Cartanの判定条件

標数 0 の体 𝕂 を与えると,以下が成り立つ:

証明

まず, [ 𝔤,𝔤 ] が冪零ならば,一般に冪零ならば可解なので, [ 𝔤,𝔤 ] は可解.可解性の定義より明らかに 𝔤 も可解.

残りの条件を示す:

    • 𝕂 の代数閉包を 𝕂‾ とすると,𝔤 が可解ならば 𝔤‾ ≔ 𝔤 ⊗𝕂 𝕂‾ も可解.Lieの定理より,𝑉⊗𝕂𝕂‾ の基底であって ∀⁡𝑥∈𝔤‾ の表現行列が上三角なものが存在する.ゆえに, [ 𝔤‾ , 𝔤‾ ] は対角成分が零の上三角行列となるので, tr ⁡ ( 𝔤‾ ∘ [ 𝔤‾ , 𝔤‾ ] ) = 0 より, tr ⁡ ( 𝔤 ∘ [ 𝔤,𝔤 ] ) = 0
    • 𝑀 ≔ { 𝑥 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) | [ 𝑥,𝔤 ] ⊆ [ 𝔤,𝔤 ] } とする. ∀ ⁡ 𝑥∈𝑀 , ∀ ⁡ 𝑝,𝑞 ∈ 𝔤 に対し, [ 𝑞,𝑥 ] ∈ [ 𝔤,𝔤 ] に注意すると, tr ⁡ ( 𝑥 , [ 𝑝,𝑞 ] ) = tr ⁡ ( [ 𝑞,𝑥 ] , 𝑝 ) = tr ⁡ ( 𝑝 , [ 𝑞,𝑥 ] ) = 0 となる.ゆえに上の補題より, ∀ ⁡ 𝑥 ∈ [ 𝔤,𝔤 ] は冪零変換.Engelの定理より [ 𝔤,𝔤 ] は冪零Lie代数.
  • ad の核は中心 𝑍⁡(𝔤) なので,準同型定理より ad⁡𝔤 ≃ 𝔤 ∕ 𝑍 ⁡ (𝔤) となることに注意.
    • 𝔤 が可解ならば,内部微分はLie代数準同型であったから, [ ad⁡𝔤 , ad⁡𝔤 ] = ad ⁡ [ 𝔤,𝔤 ] ゆえに, 𝔤 ↦ [ 𝔤,𝔤 ] と帰納的に適用することで, ad⁡𝔤 も可解とわかる.よって, 𝜅 ⁡ ( 𝔤 , [ 𝔤,𝔤 ] ) = 0 となる.
    • 𝜅 ⁡ ( 𝔤 , [ 𝔤,𝔤 ] ) = 0 ならば, [ ad⁡𝔤 , ad⁡𝔤 ] = ad ⁡ [ 𝔤,𝔤 ] ≃ [ 𝔤,𝔤 ] ∕ 𝑍 ⁡ ( [ 𝔤,𝔤 ] ) は冪零.冪零性の基本性質より,[𝔤,𝔤] は冪零.

無中心半単純Lie代数

証明

証明

Weylの定理

前Casimir元

  • 体 𝕂
  • 𝕂 上の有限次元Lie代数 𝔤
  • 有限次元 𝔤-加群 𝑉 と対応する表現 𝜌
  • 𝔤 上の非退化不変形式 𝛽 : 𝔤Π𝔤 → 𝕂
  • 𝔤 の基底 { 𝑒𝑖 } 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 と 𝛽 に関する双対基底 { 𝑒𝑖 } 𝑖 ∈ dim⁡𝔤
  • 𝔤 の包絡代数 𝑈 ⁡ (𝔤) の元 𝑐𝛽 ≔ ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝑥𝑖 ⁢ 𝑥𝑖

を与える.

  • 𝜌,𝛽 の誘導する前Casimir元() 𝑐 𝜌,𝛽 とは,𝕂-線型変換 𝑐 𝜌,𝛽 ≔ 𝜌 ⁡ ( 𝑐𝛽 ) = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) のこと:
  • 𝛽 が 𝜌 の跡形式のとき(,それが非退化であるならば),𝜌,𝛽 の誘導する前Casimir元とのことを,単に 𝜌 の誘導する前Casimir元()と呼び,𝑐𝜌 と表す.
前Casimir元の性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝜌,𝛽 の誘導する前Casimir元 𝑐𝜌,𝛽 に対し, 𝑐 𝜌,𝛽 は 𝑉 上の加群準同型
  • 𝜌 が忠実で,𝜌 の誘導する前Casimir元 𝑐𝜌 が存在するならば,以下が成り立つ: tr ⁡ 𝑐𝜌 = ( dim⁡𝔤 ) ⁢ 1𝕂
  • 𝕂 が代数閉体で,𝜌 が忠実かつ単純ならば,∃⁡𝜆∈𝕂 に対し,𝜌 の誘導する前Casimir元 𝑐𝜌 は 𝑐𝜌 = 𝜆 ⁢ id𝑉 と書ける.特に ( dim⁡𝑉 ) ⁢ 1𝕂 ≠ 0 ならば, 𝑐𝜌 = dim⁡𝔤 dim⁡𝑉 ⁢ id𝑉 と書ける.

証明

  • [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝑐 𝜌,𝛽 ] = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ] ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) + ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ∘ [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ] = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ] ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) + ∑ 𝑖,𝑗 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝛽 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑒𝑖 ] , 𝑒𝑗 ) ⁢ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑗 ) = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ] ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) − ∑ 𝑖,𝑗 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝛽 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑒𝑗 ] , 𝑒𝑖 ) ⁢ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑗 ) = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ] ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) − ∑ 𝑗 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝜌 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑒𝑗 ] ) ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑗 ) = 0
  • 双対基底の定義に注意すると, tr ⁡ 𝑐𝜌 = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ tr ⁡ ( 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ∘ 𝜌 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ) = ∑ 𝑖 ∈ dim⁡𝔤 ⁡ 𝛽 ⁡ ( 𝑒𝑖 , 𝑒𝑖 ) = ( dim⁡𝔤 ) ⁢ 1𝕂
  • 代数閉体上のSchurの補題より明らか.

証明

Whiteheadの補題

を与えると,𝕂-線型写像 𝑓 ∈ hom𝕂 ⁡ ( 𝔤,𝑉 ) が ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 , 𝑓 ⁡ ( [ 𝑥,𝑦 ] ) = 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑦) − 𝑦 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) を満たすならば,以下が成り立つ: ∃ ⁡ 𝑣∈𝑉 , ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝑓 ⁡ (𝑥) = 𝑥⁡𝑣

証明

𝜌 の核 ker⁡(𝜌) は 𝔤 のイデアルで,𝔤 は有限次元無中心半単純Lie代数なので,𝔤 の無中心半単純イデアル 𝔤1 が存在し,𝔤 は直和分解される: 𝔤 = ker ⁡ (𝑓) ⊕ 𝔤1 𝜌 の跡形式を 𝛽 : 𝔤⊗𝔤 → 𝕂 とすると,これは 𝔤1 ⊗ 𝔤1 上忠実なので非退化.𝔤1 の基底 { 𝑒𝑖 } 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 を任意に一つとり,𝛽 に関する双対基底を { 𝑒𝑖 } 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 とする.これに対し, 𝑐𝜌 ≔ ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁢ 𝑒𝑖 ∈ 𝑈 ⁡ ( 𝔤1 ) とすると,前Casimir元 𝜌 ⁡ ( 𝑐𝜌 ) は一般に加群準同型なので,Fittingの補題より,𝑉 の 𝔤-加群の直和分解 𝑉=𝑉0⊕𝑉1 が存在し, 𝜌 ⁡ ( 𝑐𝜌 ) は 𝑉0 上冪零,𝑉1 上自己同型となる.

𝑉0 上では,前Casimir元の性質 より dim ⁡ ( 𝔤 ∕ ker ⁡ ( 𝜌| 𝑉0 ) ) = tr ⁡ ( 𝜌| 𝑉0 ⁡ ( 𝑐𝜌 ) ) = 0 となる.つまり, 𝔤 = ker ⁡ ( 𝜌| 𝑉0 ) なので, 𝜌| 𝑉0 = 0 となる.ゆえに, 𝑓| 𝑉0 = 0 .

ゆえに, 𝑤 ≔ ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) ∈ 𝑉1 となる.これに対し, 𝑥⁡𝑤 = ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁢ 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) + ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ [ 𝑥 , 𝑒𝑖 ] ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) = ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁢ 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) + ∑ 𝑖,𝑗 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝛽 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑒𝑖 ] , 𝑒𝑗 ) ⁢ 𝑒𝑗 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) = ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁢ 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) − ∑ 𝑖,𝑗 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝛽 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑒𝑗 ] , 𝑒𝑖 ) ⁢ 𝑒𝑗 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) = ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁢ 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ ( 𝑒𝑖 ) − ∑ 𝑗 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑗 ⁡ 𝑓 ⁡ ( [ 𝑥 , 𝑒𝑗 ] ) = ∑ 𝑖 ∈ dim ⁡ 𝔤1 ⁡ 𝑒𝑖 ⁢ 𝑒𝑖 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) = 𝑐𝜌 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) となる.ゆえに, 𝑣 ≔ 𝜌 ⁡ ( 𝑐𝜌 ) −1 ⁡ 𝑤 とすればよい.

証明

有限次元 𝔤-加群 𝑉 と対応する表現 𝜌 を与え,𝑉 の任意の単純部分加群 𝑊 を一つとる. 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) の部分線型空間を 𝑈𝑊 ≔ { 𝑡 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) | 𝑡 ⁡ (𝑉) ⊆ 𝑊 , 𝑡 ⁡ (𝑊) = 0 } と定め,これを 𝔤-加群の hom の 𝔤-加群と見做す.つまり,𝑥∈𝔤 に対し, 𝑥⁡𝑡 ≔ [ 𝜙 ⁡ (𝑥) , 𝑡 ] を満たす.

𝑊 への射影 𝑝:𝑉→𝑉 を任意に一つとり, 𝑓 ∈ hom𝕂 ⁡ ( 𝔤 , 𝑈𝑊 ) を 𝑓 ⁡ (𝑥) ≔ [ 𝑝 , 𝜌 ⁡ (𝑥) ] と定める.Jacobi恒等式より, ∀ ⁡ 𝑥,𝑦 ∈ 𝔤 に対し, 𝑓 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) = [ 𝑝 , [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝜌 ⁡ (𝑦) ] ] = [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , [ 𝑝 , 𝜌 ⁡ (𝑦) ] ] − [ 𝜌 ⁡ (𝑦) , [ 𝑝 , 𝜌 ⁡ (𝑥) ] ] = 𝑥 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑦) − 𝑦 ⁡ 𝑓 ⁡ (𝑥) となるから,Whiteheadの補題より, ∃ ⁡ 𝑡 ∈ 𝑈𝑊 に対して, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 , 𝑓 ⁡ (𝑥) = 𝑥⁡𝑡 = [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝑡 ] を満たす.よってこのとき, ∀ ⁡ 𝑥∈𝔤 に対して, [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝑝+𝑡 ] = [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝑝 ] [ 𝜌 ⁡ (𝑥) , 𝑡 ] = − 𝑓 ⁡ (𝑥) + 𝑓 ⁡ (𝑥) = 0 となるから,𝑝+𝑡 は 𝔤-加群準同型.ところで,𝑝,𝑡 の定義をそれぞれ思い出すと, 𝑊 = 𝑝 ⁡ (𝑉) ⊆ ( 𝑝+𝑡 ) ⁡ (𝑉) ⊆ 𝑊 より ( 𝑝+𝑡 ) ⁡ (𝑉) = 𝑊 となる. 𝑝+𝑡 の像の制限を 𝑝′ とすると, 𝑝′ ∘ ( 𝑝+𝑡 ) | 𝑊 = id𝑊 が満たされるから,分裂補題より, 𝑉 = 𝑊 ⨁ ker ⁡ ( 𝑝′ ) となる.𝑉 は有限次元だから半単純となる.

Jordan-Chevalley分解と抽象Jordan分解の一致

標数 0 の体 𝕂 を与えると,以下が成り立つ:

証明

    • 𝕂 の代数閉包を 𝕂‾ とすると,𝔤 のスカラー拡大 𝔤‾ ≔ 𝔤 ⊗𝕂 𝕂‾ も無中心半単純Lie代数.また,Jordan-Chevalley分解も保たれるから, 𝑥s ⊗𝕂 1 𝕂‾ , 𝑥n ⊗𝕂 1 𝕂‾ ∈ 𝔤‾ を満たすならば, 𝑥s , 𝑥n ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) ∩ 𝔤‾ = 𝔤 も言える.ゆえに,𝕂 が代数閉体の場合のみ示せばよい.

      𝔤 の正規化Lie代数を 𝑁 ≔ 𝑁 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) ⁡ (𝔤) とすると,𝔤 はLie代数だから,𝔤⊆𝑁 .𝔤 は 𝔤𝔩⁡(𝑉) の部分Lie代数だから, ad 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) ⁡ 𝑥 ⁡ (𝔤) = [ 𝑥,𝔤 ] ⊆ 𝔤 より 𝑥∈𝑁. 𝑥s , 𝑥𝑛 は 𝑥 の多項式で書けるから,同様な理由により 𝑥s , 𝑥n ∈ 𝑁 となる.

      包含準同型 𝑖 : 𝔤 ↪ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) によって,𝑉 を 𝔤-加群 と見做し,𝑉 の部分 𝔤-加群の集合を submod𝔤 ⁡ (𝑉) とする.各 𝑊 ∈ submod𝔤 ⁡ (𝑉) に対し, 𝐿𝑊 ≔ { 𝑦 ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝑉) | 𝑦 ⁡ (𝑊) ⊆ 𝑊 , tr ⁡ ( 𝑦| 𝑊 ) = 0 } と定義すると,跡の巡回性よりこれは 𝑉 上の線型Lie代数.さらに, 𝔤 = [ 𝔤,𝔤 ] なので, 𝔤 ⊆ 𝐿𝑊 となる.同様に, 𝑥s , 𝑥n ∈ 𝐿𝑊 となる.

      ここで, 𝔤′ ≔ 𝑁 ∩ ( ⋂ 𝑊 ∈ submod𝔤 ⁡ (𝑉) ⁡ 𝐿𝑊 ) と定義すると,これは 𝔤 をイデアルとして持つ 𝑁 の部分Lie代数であり, 𝑥s , 𝑥n ∈ 𝔤′ となる.𝔤′ の随伴表現 ad 𝔤′ の 𝔤 への制限 ad 𝔤′ | 𝔤 により 𝔤-加群と見做すと,𝔤 はその部分 𝔤-加群と見做せるから,半単純性に関するWeylの定理より,部分 𝔤-加群 𝔥 が存在し,加群の直和 𝔤′ = 𝔤⊕𝔥 が成り立つ.部分 𝔤-加群の定義と [ 𝔤 , 𝔤′ ] ⊆ [ 𝔤,𝑁 ] ⊆ 𝔤 より [ 𝑖 ⁡ (𝔤) , 𝔥 ] = [ 𝔤,𝔥 ] = 𝔤∩𝔥 = {0} となる.ゆえに,∀ ⁡ 𝑦∈𝔥 は 𝑉 上の加群準同型.代数閉体上のSchurの補題より,𝑉 の任意の単純部分 𝔤-加群 𝑊 に対し, 𝑦| 𝑊 = tr ⁡ 𝑦| 𝑊 dim⁡𝑊 ⁢ id𝑊 となる.𝐿𝑊 より, 𝑦| 𝑊 = 0 となる.半単純性に関するWeylの定理より 𝑉 は単純部分 𝔤-加群の直和なので,𝑦=0 となる.つまり, 𝑥s , 𝑥n ∈ 𝔤′ = 𝔤⊕𝔥 = 𝔤 が示された.

    • 抽象Jordan分解の一意性より明らか.
  • 抽象Jordan分解の定義より, ad𝔤 ⁡ (𝑥) = ad𝔤 ⁡ ( 𝑥s ) + ad𝔤 ⁡ ( 𝑥n ) はJordan-Chevalley分解となる.𝕂 の代数閉包を 𝕂‾ とすると, 𝑦 ∈ 𝔤 ⊗𝕂 𝕂‾ が ( ad ⁡ 𝑥s ) ⊗𝕂 1 𝕂‾ の固有値 𝜆∈𝕂‾ の固有ベクトルならば, 𝜌 ⁡ (𝑦) ∈ 𝜌 ⁡ ( 𝔤 ⊗𝕂 𝕂‾ ) は ad 𝜌 ⁡ ( 𝔤 ⊗𝕂 𝕂‾ ) ⁡ 𝜌 ⁡ ( 𝑥s ) ⊗𝕂 1 𝕂‾ の固有値 𝜆∈𝕂‾ の固有ベクトルとなる.つまり半単純変換.同様に, ad 𝜌 ⁡ (𝔤) ⁡ 𝜌 ⁡ ( 𝑥n ) は冪零変換なので, ad 𝜌 ⁡ (𝔤) ⁡ ( 𝜌 ⁡ (𝑥) ) = ad 𝜌 ⁡ (𝔤) ⁡ ( 𝜌 ⁡ ( 𝑥s ) ) + ad 𝜌 ⁡ (𝔤) ⁡ ( 𝜌 ⁡ ( 𝑥n ) ) は 𝜌⁡(𝔤) におけるJordan-Chevalley分解となる.ゆえに, 𝜌 ⁡ (𝑥) = 𝜌 ⁡ ( 𝑥s ) + 𝜌 ⁡ ( 𝑥n ) は抽象Jordan分解となるので,これはJordan-Chevalley分解に等しい.

有限型Kac-Moody代数

標数 0 の体上の性質の良い有限次元無中心半単純Lie代数が,実はKac-Moody代数

証明

𝔥 の中心化Lie代数を 𝑍𝔤 ⁡ (𝔥) ,正規化Lie代数を 𝑁𝔤 ⁡ (𝔥) とする.

  • ルート空間分解:明らか
  • 𝔥∗=span⁡𝛷
  • 多分 𝛷=−𝛷 を示す
  • 正ルートと負ルートに分割
  • 単純ルート:正ルートの和で書けない正ルート.あとはこれが基底となることを示す.定義より正ルートは単純ルートの正係数線型結合.
  • 𝛼𝑗 ⁡ ( ℎ𝑖 ) = ( 𝛼𝑗 𝛼𝑖∨ ) とし,これがCartan行列となることを示す.対角成分は自明.非対角成分は𝛼-string through 𝛽 の話から,整数となり, 𝛼𝑖 − 𝛼𝑗 ∉ −𝛷 より非正整数となる.
  • 生成系:まずは,単純ルートのルート空間が1次元であることを確認.単純ルート系からなる.生成されることは [ 𝔤𝛼 , 𝔤𝛽 ] = 𝔤 𝛼+𝛽
  • Chevalley関係式:最初と最後の式は明らか.残りはCartan行列そのもの
  • Serre関係式:𝛼-string through 𝛽
  • 都合よく標準形式がいるので,対称化可能だとわかる.
  • Kac-Moody代数の非零な商Lie代数となるが,単純成分それぞれ考えれば,Kac-Moody代数そのものになる.

以上より必要な補題は,

  • dim ⁡ 𝔤𝛼 = 1
  • 𝛷=−𝛷
  • 𝔥∗=span⁡𝛷
  • 𝔤𝛼 ⊕ 𝔤 −𝛼 ⊕ 𝕂 ⁢ 𝑡𝛼 が 𝔰𝔩⁡(2,𝕂)と同型.
  • 𝛼-string through 𝛽
  • 𝛽 ⁡ ( ℎ𝛼 ) ∈ ℤ

有限次元無中心半単純Lie代数のルート空間分解

を与えると,以下が成り立つ:

  • ∀ ⁡ 𝛼 ∈ 𝛷∖0 に対し, ad ⁡ (𝑥) ∈ 𝔤𝔩 ⁡ (𝔤) は冪零変換.
  • ∀ ⁡ 𝛼,𝛽 ∈ 𝛷∖0 に対し, 𝛼+𝛽 ≠ 0 ならば,𝜅 について 𝔤𝛼 と 𝔤𝛽 は直交する: 𝜅| 𝔤𝛼 ⊗ 𝔤𝛽 = 0
  • 𝜅 に関する 𝔤𝛼 の直交補空間は 𝔤𝛼 ⊥ = ⨁ 𝛽 ∈ 𝛷 ∖ { −𝛼 } ⁡ 𝔤𝛽
  • 𝜅| 𝔥⊗𝔥 は非退化.ゆえに,線型同型 𝔥 → 𝔥∗ , ℎ ↦ ( 𝑥 ↦ 𝜅 ⁡ ( ℎ,𝑥 ) ) が存在し,その逆写像を 𝔥∗ → 𝔥 , 𝛼 ↦ 𝑡𝛼 とすると,以下を満たす: 𝛼 ⁡ (-) = 𝜅 ⁡ ( 𝑡𝛼 , - )
  • 𝔥∗ = span⁡𝛷
  • ∀⁡𝛼∈𝛷 に対し,−𝛼∈𝛷
  • ∀ ⁡ 𝛼∈𝛷 に対し, [ 𝔤𝛼 , 𝔤 −𝛼 ] = 𝕂 ⁢ 𝑡𝛼
  • ∀ ⁡ 𝛼∈𝛷 に対し, 𝛼 ⁡ ( 𝑡𝛼 ) = 𝜅 ⁡ ( 𝑡𝛼 , 𝑡𝛼 ) ≠ 0
  • ∀ ⁡ 𝛼∈𝛷 および ∀ ⁡ 𝑥𝛼 ∈ 𝔤𝛼 ∖ {0} に対し, ∃ ⁡ 𝑦𝛼 ∈ 𝔤 −𝛼 となり, ℎ𝛼 ≔ [ 𝑥𝛼 , 𝑦𝛼 ] ∈ 𝔥 とおき,これらを𝔰𝔩⁡(2,𝕂) の標準基底へ写す写像 𝑥𝛼 ↦ ℎ+ , 𝑦𝛼 ↦ ℎ− , ℎ𝛼 ↦ ℎ を線型に拡張した線型写像 span ⁡ { 𝑥𝛼 , ℎ𝛼 , 𝑦𝛼 } → 𝔰𝔩⁡(2,𝕂) はLie代数同型.
  • ∀ ⁡ 𝛼∈𝛷 に対し, dim ⁡ 𝔤𝛼 = 1 となる.

有限型対称化可能Cartan行列・有限次元Kac-Moody代数

を与えると,以下は同値:

さらに,これらの条件を満たすとき,以下が成り立つ:

  • 𝐴 は正則.
  • 𝔥 ≔ ⨁ 𝑖∈𝑛 ⁡ 𝕂⁢ℎ𝑖 = 𝔤0

証明

まずは,最初の2条件以外の同値性を示す:

  • 𝛥 が有限⇒𝑊 が有限は明らか.
  • 𝑊 が有限のとき,𝔼 は有限次元なので,内積 (,) ′ : 𝔼⊗𝔼 → ℝ が定義できる.それを任意に一つ取り,新たな双線型形式を (,) : 𝔼⊗𝔼 → ℝ , ( 𝜆,𝜇 ) ≔ ∑ 𝑤∈𝑊 ⁡ ( 𝜆,𝜇 ) ′ とすると,これは 𝑊-不変な正定値対称双線型形式.ところで,𝔼 上の 𝑊-不変な対称双線型形式は既約成分の同型を除いて一意なので,𝔤 の標準形式は正定値.
  • 𝔤 の標準形式は正定値であることと,𝔤 が (,) に関する虚ルートを持たないことは明らかに同値.
  • 虚ルートを持たないとき,標準形式の 𝑊-不変性と,Kac-Moody代数における実ルートの条件より, ∀ ⁡ 𝛼∈𝛥 に対し, ( 𝛼,𝛼 ) ∈ { ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) | 𝑖∈𝑛 } となり,つまり ( 𝛼,𝛼 ) の取り得る値は高々有限個となる.これらの最大値を 𝑁∈ℚ とすると, { ( 𝛼,𝛼 ) ≤ 𝑁 | 𝛼 ∈ ∑ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℤ ⁢ 𝛼𝑖 } は離散コンパクト集合なので有限.𝛥 はこれに含まれるので,有限集合.

以上の条件において, det ⁡ (𝐴) = det ⁡ ( 𝐷 −1 ) ⁢ det ⁡ (𝐷⁢𝐴) > 0 なので,𝐴 は正則.ゆえに,𝔥=𝔤0 となる.

残りの条件の同値性を示す:

  • 𝔤 が有限次元⇒𝛥 が有限は明らか.逆に 𝛥 が有限なとき, ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 に対し, dim ⁡ 𝔤 𝛼𝑖 = 1 なので, ∀ ⁡ 𝛼 ∈ 𝛥 = 𝛥re に対し, dim ⁡ 𝔤𝛼 = 1 となる.ゆえに, dim⁡𝔤 = 𝑛 + |𝛥| < ∞ を満たし,𝔤 は有限次元.
  • 𝔤 が有限次元のとき,𝔤 の非零なイデアル 𝔦 に対し,Kac-Moody代数の定義より, 𝔦∩𝔥 ≠ {0} となる. ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔦 ∩ 𝔤0 ∖ {0} に対し, ∃ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ≠ 0 を満たす.この 𝑖 に対し, ℎ 𝑖,± = [ ℎ , ± ( 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ) −1 ⁢ ℎ 𝑖,± ] ∈ 𝔦 , ℎ𝑖 = [ ℎ 𝑖,+ , ℎ 𝑖,− ] ∈ 𝔦 となる.さらに, ∀ ⁡ 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 に対し, ℎ 𝑖,± , ℎ𝑖 ∈ 𝔦 かつ 𝑎 𝑖,𝑗 ≠ 0 ならば, ℎ 𝑗,± = [ ℎ𝑖 , ± 𝑎 𝑖,𝑗 −1 ⁢ ℎ 𝑗,± ] ∈ 𝔦 , ℎ𝑗 = [ ℎ 𝑗,+ , ℎ 𝑗,− ] ∈ 𝔦 となる.よって,𝐴 が既約ならば,𝔦 は 𝔤 の生成系を全て含むから,𝔦=𝔤 となり,𝔤 は無中心単純Lie代数となる.一般の 𝐴 に対しては,𝔦 は無中心単純Lie代数の直和となるから,有限次元無中心半単純Lie代数となる.逆にこのとき,𝔤 が有限次元となることは明らか.

𝑋𝑙 型Cartan行列

  • 𝑙∈ℕ に対する 𝐴𝑙 型Cartan行列(type 𝐴𝑙)とは,以下で定義されるCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −1 ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ −1 −1 2 ) = ( 𝑎 𝑖,𝑗 ≔ { 2 𝑖=𝑗 −1 𝑖 = 𝑗±1 0 他 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑙
  • 𝑙∈ℕ に対する 𝐶𝑙 型Cartan行列(type 𝐶𝑙)とは,以下で定義されるCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −1 ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ −1 ⋱ ⋱ −2 −1 2 ) = ( 𝑎 𝑖,𝑗 ≔ { 2 𝑖=𝑗 −1 𝑖 ∈ 𝑙−2 , 𝑗 = 𝑖+1 ∪ 𝑗 ∈ 𝑙−1 , 𝑖 = 𝑗+1 −2 𝑖 = 𝑙−2 , 𝑗 = 𝑙−1 0 他 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛
  • 𝑙∈ℕ に対する 𝐵𝑙 型Cartan行列(type 𝐵𝑙)とは,以下で定義されるCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −1 ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ −1 ⋱ −1 −2 2 ) = ( 𝑎 𝑖,𝑗 ≔ { 2 𝑖=𝑗 −1 𝑖 ∈ 𝑙−1 , 𝑗 = 𝑖+1 ∪ 𝑗 ∈ 𝑙−2 , 𝑖 = 𝑗+1 −2 𝑖 = 𝑙−1 , 𝑗 = 𝑙−2 0 他 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛
  • 𝑙∈ℕ に対する 𝐷𝑙 型Cartan行列(type 𝐷𝑙)とは,以下で定義されるCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −1 ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ −1 −1 −1 ⋱ 0 −1 0 2 ) = ( 𝑎 𝑖,𝑗 ≔ { 2 𝑖=𝑗 −1 𝑖 ∈ 𝑙−2 , 𝑗 = 𝑖+1 ∪ 𝑗 ∈ 𝑙−2 , 𝑖 = 𝑗+1 ∪ 𝑖+2 = 𝑗 = 𝑙−1 ∪ 𝑖 = 𝑗+2 = 𝑙−1 −2 𝑖 = 𝑛−1 , 𝑗=𝑛 0 他 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛
  • 𝑙∈ℕ≥3 に対する 𝐸𝑙 型Cartan行列(type 𝐸𝑙)とは,以下で定義されるCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −1 2 −1 −1 2 −1 −1 −1 ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ −1 −1 2 0 −1 0 2 ) = ( 𝑎 𝑖,𝑗 ≔ { 2 𝑖=𝑗 −1 𝑖 ∈ 𝑙−2 , 𝑗 = 𝑖+1 ∪ 𝑗 ∈ 𝑙−2 , 𝑖 = 𝑗+1 ∪ 𝑖=2 , 𝑗 = 𝑙−1 ∪ 𝑗=2 , 𝑖 = 𝑙−1 0 他 ) 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛
  • 𝐹4 型Cartan行列(type 𝐹4)とは,以下で定義される 4 次のCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −1 2 −2 −1 2 −1 −1 2 )
  • 𝐺2 型Cartan行列(type 𝐺2)とは,以下で定義されるCartan行列のこと: 𝐴 ≔ ( 2 −1 −3 −1 )
𝑋𝑙 型Cartan行列の同型

𝑋𝑙 型Cartan行列に対し,以下が成り立つ:

  • 𝐴1 = 𝐶1 = 𝐵1 = 𝐷1
  • 𝐵2 = 𝐶2 T
  • 𝐷2 = 𝐴1 ⊕ 𝐴1
  • 𝐷3 = 𝐴3
  • 𝐸3 = 𝐴2 ⊕ 𝐴1
  • 𝐸4 = 𝐴4
  • 𝐸5 = 𝐷5

逆に,これら以外の 𝑋𝑙 型Cartan行列は互いに相異なる.

有限次元Kac-Moody代数の分類

標数 0 の体 𝕂 を与えると,以下が成り立つ:

それぞれの 𝑋𝑙 型Cartan行列 に対するKac-Moody代数の詳細は,専用のページを設ける(予定)

名前 次元 正ルート数 Weyl群 中心の生成系の次数 Cartan行列式
𝔰𝔩 ⁡ ( 𝑛+1 , 𝕂 ) 𝑛 ⁢ ( 𝑛+2 ) 𝑛 ⁢ ( 𝑛+1 ) 2 𝔖 𝑛+1 2,…,𝑛+1 𝑛+1
𝔰𝔭 ⁡ ( 2⁢𝑛 , 𝕂 ) 𝑛 ⁢ ( 2⁢𝑛 + 1 ) 𝑛2 ℤ2 𝑛 ⋊ 𝔖𝑛 2 , 4 , … , 2⁢𝑛 2
𝔰𝔬 ⁡ ( 2⁢𝑛 + 1 , 𝕂 )
𝔰𝔬 ⁡ ( 2⁢𝑛 , 𝕂 ) 𝑛 ⁢ ( 2⁢𝑛 − 1 ) 𝑛 ⁢ ( 𝑛−1 ) ℤ2 𝑛−1 ⋊ 𝔖𝑛 2 , 4 , … 2⁢𝑛 − 2 , 𝑛 4
𝐸6 78 36 2,5,6,8,9,12 3
𝐸7 133 63 2,6,8,10,12,14,18 2
𝐸8 248 120 2,8,12,14,18,20,24,30 1
𝐹4 52 24 ( ℤ2 3 ⋊ 𝔖4 ) ⋊ 𝔖3 2,6,8,12 1
𝐺2 14 6 𝐷6 2,6 1
(標数 0 の体上の)既約有限型Kac-Moody代数の一覧

包絡代数の中心

Duflo同型(余裕の未整理)

Duflo同型

  • 標数 0 の体 𝕂
  • 𝕂 上のLie代数 𝔤
  • 𝔤 上の包絡代数 𝑈 ⁡ (𝔤)
  • 𝔤 上の対称代数 𝑆 ⁡ (𝔤)
  • 𝔤 の内部微分 ad を微分となるように 𝑈 ⁡ (𝔤) および 𝑆 ⁡ (𝔤) に拡張したもの.
  • 対称化写像 𝐼PBW : 𝑆 ⁡ (𝔤) → 𝑈 ⁡ (𝔤) ( sym ⁡ ( 𝑥1 ⁢ ⋯ ⁢ 𝑥𝑛 ) ≔ 1 𝑛! ⁢ ∑ 𝜎 ∈ 𝑆𝑛 ⁡ 𝑥 𝜎 ⁡ (1) ⁢ ⋯ ⁢ 𝑥 𝜎 ⁡ (𝑛) )
  • 包絡代数の中心 𝑍 ⁡ ( 𝑈 ⁡ (𝔤) ) (ad で不変な部分(結合)代数に等しい).
  • 𝑆 ⁡ (𝔤) の ad で不変な元全体のなす部分(結合)代数 𝑆 ⁡ (𝔤) 𝔤
  • 𝑥∈𝔤 に対する形式的冪級数 𝑗 ⁡ (𝑥) ≔ det𝔤 ⁡ ( sinh ⁡ ( ad⁡𝑥 2 ) ad⁡𝑥 2 ) の平方根 𝑗 12

を与える.

  • Duflo写像(Duflo map)とは,𝕂-線型写像 𝐼PBW ∘ 𝑗 12 : 𝑆 ⁡ (𝔤) → 𝑈 ⁡ (𝔤) のこと.
  • Duflo同型(Duflo isomorphism)とは,Duflo写像の制限 𝐼PBW ∘ 𝑗 12 : 𝑆 ⁡ (𝔤) 𝔤 → 𝑍 ⁡ ( 𝑈 ⁡ (𝔤) ) のこと.

Harish-Chandra同型

アフィンLie代数

拡大Dynkin図形

アフィンLie代数

アフィンLie代数・ループ代数

  • 𝑙∈ℕ に対する 𝑋𝑙 型Cartan行列 𝐴
  • 𝐴 に対する有限次元Kac-Moody代数 𝔤
  • 単純ルートを保つ自己同型 𝜎:𝑛→𝑛 と対応する 𝔤 の自己同型 𝜎:𝑛→𝑛
  • 𝜎 の位数 𝑟=1,2,3
  • 1 の原始 𝑟 乗根 𝜁𝑟 を含む標数 0 の体 𝕂
  • 𝑚∈ℤ に対する 𝔤 ⁡ (𝑚) ≔ { 𝑥∈𝔤 | 𝜎 ⁡ (𝑥) = 𝜁𝑟 𝑚 ⁢ 𝑥 }

を与える.

  • アフィンLie代数(affine Lie algebra)とは,線型空間 𝔤^ ≔ ( ⨁ 𝑛∈ℤ ⁡ 𝑡𝑛 ⁢ 𝔤 ⁡ (𝑛) ) ⊕ 𝕂⁢𝑐 ⊕ 𝕂⁢𝑑 に対し,Lie括弧を以下で定めたLie代数のこと:
    • ∀ ⁡ 𝑚,𝑛 ∈ ℤ , ∀ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔤 ⁡ (𝑛) , ∀ ⁡ 𝑦 ∈ 𝔤 ⁡ (𝑚) , [ 𝑡𝑛 ⁢ 𝑥 , 𝑡𝑚 ⁢ 𝑦 ] = 𝑡 𝑚+𝑛 ⁢ [ 𝑥,𝑦 ] + 𝑛 ⁢ 𝛿 𝑛+𝑚 ⁢ 𝜅 ⁡ ( 𝑥,𝑦 ) ⁢ 𝑐
    • [ 𝑐 , 𝔤^ ] = 0
    • ∀ ⁡ 𝑛∈ℤ , ∀ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔤 ⁡ (𝑛) , [ 𝑑 , 𝑡𝑛 ⁢ 𝑥 ] = 𝑛 ⁢ 𝑡𝑛 ⁢ 𝑥
  • 𝔤^ ′ ≔ ( ⨁ 𝑛∈ℤ ⁡ 𝑡𝑛 ⁢ 𝔤 ⁡ (𝑛) ) ⊕ 𝕂⁢𝑐 とすると, 𝔤^ の部分Lie代数となる.
  • ループ代数(loop algebra)とは, 𝔤^ ′ の中心 𝕂⁢𝑐 による商Lie代数 𝔤^ L ≔ 𝔤^ ′ ∕ ( 𝕂⁢𝑐 ) = ⨁ 𝑛∈ℤ ⁡ 𝑡𝑛 ⁢ 𝔤 ⁡ (𝑛) のこと.𝔤^L のLie括弧は以下を線型に拡張したもの: ∀ ⁡ 𝑚,𝑛 ∈ ℤ , ∀ ⁡ 𝑥 ∈ 𝔤 ⁡ (𝑛) , ∀ ⁡ 𝑦 ∈ 𝔤 ⁡ (𝑚) , [ 𝑡𝑛 ⁢ 𝑥 , 𝑡𝑚 ⁢ 𝑦 ] = 𝑡 𝑚+𝑛 ⁢ [ 𝑥,𝑦 ]

双曲型Kac-Moody代数

双曲型Kac-Moody代数についてわかっていること[要出典]のメモ:

  • 階数 2 の場合は,有限型でもアフィン型でもないもの全てが双曲型
  • 階数 3 以上 10 以下のものが 238 個
  • 階数は 11 以上のものは存在しない.

量子化包絡代数

端的には,Kac-Moody代数の包絡代数の 𝑞 類似のこと.

定義

整基本ルートデータ

を与える.

整基本ルートデータ(integral fundamental root data)とは,以下のデータのこと:

これらは以下を満たす:

  • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) 2 ∈ ℤ
  • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝛼𝑖 ⁡ ( 𝔥ℤ ) ⊂ ℤ
  • ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝑡𝑖 ≔ ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) 2 ⁢ ℎ𝑖 ∈ 𝔥ℤ

量子化包絡代数

  • 標数 0 の体 𝕂
  • 𝕂 上の有理函数体 𝕂⁡(𝑞)
  • 𝑛∈ℕ 次の対称化可能Cartan行列 𝐴
  • 𝐴 をCartan行列とする整基本ルートデータ 𝛷 = ( 𝔤0 , { ℎ𝑖 } 𝑖∈𝑛 , { 𝛼𝑖 } 𝑖∈𝑛 , (,) , 𝔥ℤ )
  • 集合 { 𝐾ℎ } ℎ ∈ 𝔥ℤ ∪ { 𝐻 𝑖,+ , 𝐻 𝑖,− } 𝑖∈𝑛
  • 𝑚∈ℤ の 𝑞 類似 [𝑚] 𝑞 ≔ 𝑞𝑚 − 𝑞 −𝑚 𝑞 − 𝑞 −1
  • 𝑚∈ℕ0 の階乗の 𝑞 類似 [𝑚] 𝑞 ! ≔ ∏ 𝑖=1 𝑚 ⁡ [𝑖] 𝑞
  • 𝑚≥𝑛∈ℕ0 に対する二項係数の 𝑞 類似 [ 𝑚 𝑛 ] 𝑞 ≔ [𝑚] 𝑞 ! [𝑛] 𝑞 ! ⁢ [𝑚−𝑛] 𝑞 !
  • 𝐾𝑖 ≔ 𝐾 𝑡𝑖 , 𝑞𝑖 ≔ 𝑞 ( 𝛼𝑖 , 𝛼𝑖 ) 2

を与える.

𝛷 に付随する量子化包絡代数(quantized enveloping algebra)(または量子群(quantum group)) 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) とは, { 𝐾ℎ } ℎ ∈ 𝔥ℤ ∪ { 𝐻𝑖+ , 𝐻𝑖− } 𝑖∈𝑛 を生成系とし,以下を基本関係式とする 𝕂 ⁡ (𝑞) 上の単位的結合代数のこと:

  • Chevalley関係式の 𝑞 類似
    • ∀ ⁡ ℎ , ℎ′ ∈ 𝔥ℤ , 𝐾ℎ ⁢ 𝐾 ℎ′ = 𝐾 ℎ + ℎ′
    • 𝐾0 = 1
    • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔥ℤ , ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝐾ℎ ⁢ 𝐻 𝑖,+ ⁢ 𝐾 −ℎ = 𝑞 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝐻 𝑖,+
    • ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔥ℤ , ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝐾ℎ ⁢ 𝐻 𝑖,− ⁢ 𝐾 −ℎ = 𝑞 − 𝛼𝑖 ⁡ (ℎ) ⁢ 𝐻 𝑖,−
    • ∀ ⁡ 𝑖,𝑗 ∈ 𝑛 , 𝐻 𝑖,+ ⁢ 𝐻 𝑗,− − 𝐻 𝑗,− ⁢ 𝐻 𝑖,+ = 𝛿 𝑖,𝑗 ⁢ 𝐾𝑖 − 𝐾 𝑖 −1 𝑞𝑖 − 𝑞 𝑖 −1
  • Serre関係式の 𝑞 類似
    • ∀ ⁡ 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 , ∑ 𝑝 ∈ 2 − 𝑎 𝑖,𝑗 ⁡ ( −1 ) 𝑝 ⁢ [ 1 − 𝑎 𝑖,𝑗 𝑝 ] 𝑞𝑖 ⁢ 𝐻 𝑖,+ 1 − 𝑎 𝑖,𝑗 − 𝑝 ⁢ 𝐻 𝑗,+ ⁢ 𝐻 𝑖,+ 𝑝 = 0
    • ∀ ⁡ 𝑖≠𝑗 ∈ 𝑛 , ∑ 𝑝 ∈ 2 − 𝑎 𝑖,𝑗 ⁡ ( −1 ) 𝑝 ⁢ [ 1 − 𝑎 𝑖,𝑗 𝑝 ] 𝑞𝑖 ⁢ 𝐻 𝑖,− 1 − 𝑎 𝑖,𝑗 − 𝑝 ⁢ 𝐻 𝑗,− ⁢ 𝐻 𝑖,− 𝑝 = 0
量子化包絡代数の基本性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤− ) ⊗ 𝕂 ⁡ (𝑞) 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤0 ) ⊗ 𝕂 ⁡ (𝑞) 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤+ ) → は線型同型.
  • { 𝐾ℎ | ℎ ∈ 𝔥ℤ } は 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤0 ) の基底.
  • 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤± ) は, { 𝐻 𝑖,± } 𝑖∈𝑛 を生成系とし,Serre関係式の 𝑞 類似(のそれぞれ上・下)を基本関係式とするLie代数と同型.
  • 𝛾 ∈ ∑ 𝑖∈𝑛 ⁡ ℕ0 ⁢ 𝛼𝑖 に対し,単項式 𝐸 𝑖1 ⁢ ⋯ ⁢ 𝐸 𝑖𝑟 であって, ∑ 𝑗=1 𝑟 ⁡ 𝛼 𝑖𝑗 = 𝛾 を満たすもので張られる 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤± ) の部分線型空間を 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤± ) ±𝛾 とすると, dim 𝕂 ⁡ (𝑞) ⁡ 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔤± ) ±𝛾 = dim𝕂 ⁡ 𝑈 ⁡ ( 𝔤± ) ±𝛾

量子化包絡代数は準三角Hopf代数

を与え,

  • 余双線型写像 𝛥 : 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) → 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) ⊗ 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) を { ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔥ℤ , 𝛥 ⁡ ( 𝐾ℎ ) ≔ 𝐾ℎ ⊗ 𝐾ℎ ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,+ ) ≔ 𝐻 𝑖,+ ⊗ 𝐾 𝑖 −1 + 1 ⊗ 𝐻 𝑖,+ ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,− ) ≔ 𝐻 𝑖,− ⊗ 1 + 𝐾𝑖 ⊗ 𝐻 𝑖,− を単位的結合代数的に拡張したものとして定義したもの
  • 線型写像 𝜀 : 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) → 𝕂 ⁡ (𝑞) を { ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔥ℤ , 𝜀 ⁡ ( 𝐾ℎ ) ≔ 1 ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝜀 ⁡ ( 𝐻 𝑖,± ) ≔ 0 を単位的結合代数的に拡張したものとして定義したもの
  • 線型写像 𝑆 : 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) → 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) を { ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔥ℤ , 𝑆 ⁡ ( 𝐾ℎ ) ≔ 𝑆 −ℎ ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝑆 ⁡ ( 𝐻 𝑖,+ ) ≔ − 𝐻 𝑖,+ ⁢ 𝐾𝑖 ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 , 𝑆 ⁡ ( 𝐻 𝑖,− ) ≔ − 𝐾 𝑖 −1 ⁢ 𝐻 𝑖,− を反変単位的結合代数的に拡張したものとして定義したもの
  • うまい 𝑅 ∈ 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) ⊗ 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤)

と定義すると, ( 𝑈𝑞 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 , 𝑆 , 𝑅 ) は準三角Hopf代数

当然 𝐾→1,𝑞→0で,包絡代数が準三角Hopf代数となることに対応する.

証明

  • 𝛥,𝜀 が単位的代数準同型になることは,定義より明らか.よって, ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 ) は双単位的双結合双代数
  • まず. ∀ ⁡ ℎ ∈ 𝔥ℤ に対し, ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐾ℎ ) = 𝐾ℎ ⊗ 𝐾 −ℎ ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐾ℎ ) = 𝐾 −ℎ ⊗ 𝐾ℎ となるから, 𝑚 ∘ ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐾ℎ ) = 𝑚 ∘ ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐾ℎ ) = 1 = 𝜂 ⁡ (1) = 𝜂∘𝜀 ⁡ ( 𝐾ℎ ) となる.また, ∀ ⁡ 𝑖∈𝑛 に対し, ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,+ ) = 𝐻 𝑖,+ ⊗ 𝐾𝑖 − 1 ⊗ 𝐻 𝑖,+ ⁢ 𝐾𝑖 ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,+ ) = 1 ⊗ 𝐻 𝑖,+ − 𝐻 𝑖,+ ⁢ 𝐾𝑖 ⊗ 𝐾 𝑖 −1 ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,− ) = 𝐻 𝑖,− ⊗ 1 − 𝐾𝑖 ⊗ 𝐾 𝑖 −1 ⁢ 𝐻 𝑖,− ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,− ) = 𝐾 𝑖 −1 ⊗ 𝐻 𝑖,− − 𝐾 𝑖 −1 ⁢ 𝐻 𝑖,− ⊗ 1 となるから, 𝑚 ∘ ( id⊗𝑆 ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,± ) = 𝑚 ∘ ( 𝑆⊗id ) ∘ 𝛥 ⁡ ( 𝐻 𝑖,± ) = 0 = 𝜂 ⁡ (0) = 𝜂∘𝜀 ⁡ ( 𝐻 𝑖,± ) となる.つまり ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 ) はHopf代数
  • 𝜎∘𝛥 ⁡ (𝑥) = 𝑅 ⁢ 𝛥 ⁡ (𝑥) ⁢ 𝑅 −1 と ( 𝛥 ⊗ id𝐴 ) ⁡ (𝑅) = 𝑅 1,3 ⁢ 𝑅 2,3 と ( id𝐴 ⊗ 𝛥 ) ⁡ (𝑅) = 𝑅 1,3 ⁢ 𝑅 1,2 を示せば, ( 𝑈 ⁡ (𝔤) , 𝑚 , 𝜂 , 𝛥 , 𝜀 , 𝑅 ) は三角Hopf代数.

有限型量子化包絡代数

を与える.

𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂)) の表現

𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂)) の基本性質

  • 標数 0 の体 𝕂
  • 𝕂 上の有理函数体 𝕂⁡(𝑞)

を与えると, { 𝐾 , 𝐾 −1 , 𝐻± } で生成され,以下の関係式を満たす 𝕂⁡(𝑞) 上の結合代数は,𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂)) と結合代数同型:

  • 𝐾 ⁢ 𝐾 −1 = 𝐾 −1 ⁢ 𝐾 = 1
  • 𝐾 ⁢ 𝐻± ⁢ 𝐾 −1 = 𝑞 ±2 ⁢ 𝐻±
  • 𝐻+ ⁢ 𝐻− − 𝐻− ⁢ 𝐻+ = 𝐾 − 𝐾 −1 𝑞 − 𝑞 −1

𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂)) の有限次元単純加群

  • 標数 0 の体 𝕂
  • 𝕂 上の有理函数体 𝕂⁡(𝑞)
  • 𝑚∈ℤ の 𝑞 類似 [𝑚] 𝑞 ≔ 𝑞𝑚 − 𝑞 −𝑚 𝑞 − 𝑞 −1

を与えると,以下が成り立つ:

  • 𝑛 ∈ ℕ0 に対し, 𝑉 ⁡ (𝑛) ≔ ⨁ 𝑚=0 𝑛 ⁡ 𝕂 ⁡ (𝑞) ⁢ 𝑣𝑚 への作用を, 𝐾 ⁡ 𝑣𝑚 = 𝑞 𝑛 − 2⁢𝑚 ⁢ 𝑣𝑚 𝐾 −1 ⁡ 𝑣𝑚 = 𝑞 − ( 𝑛 − 2⁢𝑚 ) ⁢ 𝑣𝑚 𝐻+ ⁡ 𝑣𝑚 = [ 𝑛−𝑚+1 ] 𝑞 ⁢ 𝑣 𝑚−1 𝐻− ⁡ 𝑣𝑚 = [ 𝑚+1 ] 𝑞 ⁢ 𝑣 𝑚+1 を結合代数的に拡張したものと定義すると,𝑉⁡(𝑛) は単純 𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂))-加群.
  • 1次元 𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂))-加群 𝜒 : 𝑈𝑞 ⁡ ( 𝔰𝔩 ⁡ ( 2,𝕂 ) ) → 𝕂 を 𝜒 ⁡ ( 𝐻± ) = 0 , 𝜒 ⁡ (𝐾) = −1 を拡張したものとして定めると, 𝑉 ⁡ (𝑛) 𝜔 ≃ 𝜒 ⊗ 𝑉 ⁡ (𝑛) 𝜔
  • 任意の有限次元単純 𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂))-加群は,ある 𝑛 ∈ ℕ0 に対する 𝑉 ⁡ (𝑛) または 𝑉 ⁡ (𝑛) 𝜔 と 𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂))-加群同型.
  • 任意の有限次元 𝑈𝑞⁡(𝔰𝔩⁡(2,𝕂))-加群は半単純.

量子化包絡代数の可積分最高ウェイト加群

ここのページの外のfuture-work のメモ

参考文献