定義
Lie代数
体を与える.
上のLie代数(Lie algebra)とは,以下のデータからなる.
- -線型空間
- Lie括弧(Lie bracket)(または括弧積)と呼ばれる上の二項演算
これらは以下の条件を満たす.
- Lie括弧は-双線型.つまり,
- Lie括弧は交代性を満たす.つまり,
- Lie括弧はJacobi恒等式を満たす.つまり,
Lie括弧の反交換律
を与えると,以下を満たす.
証明
準同型
を与える.
以下の条件を満たす-線型写像
を(Lie代数)準同型と呼ぶ.
-
同型
全単射なLie代数準同型をLie代数同型(isomorphism)と呼ぶ.
同型の逆射
Lie代数同型の逆写像もLie代数同型.
Lie代数の圏
対象を全てのLie代数の集まり,射を全ての準同型とする圏をLie代数の圏と呼び,
と表す.
自明Lie代数
体を与える.
零線型空間は,Lie括弧として唯一
を持ち得る.これを定義とするLie代数を自明なLie代数(trivial Lie algebra)や零Lie代数(zero Lie algebra)と呼ぶ.
包絡代数
交換子
を与える.
交換子(commutator)と呼ばれる上の二項演算
を定義すると,は交換子をLie括弧とするLie代数をなす.
このとき,結合代数準同型はLie代数準同型に写るから,結合代数の圏からLie代数の圏への函手をなす.
特にこの函手は左随伴を持つ.これにより任意のLie代数に対し,結合代数的な積を(同型を除いて)一意的に定めることができる:
包絡代数
を与える.
の(普遍)包絡代数((universal) enveloping algebra)とは,以下の2つのデータからなる
-
上の(単位的)結合代数
-
Lie代数準同型
で,以下を満たすもの,
これらは以下を満たす.
-
-
(普遍性)任意の(単位的)-結合代数および上式を満たす任意の線型写像
に対して,以下の図式を可換にする-代数の準同型
が一意的に存在する
同型定理
Lie代数の圏の部分対象,正規対象,商対象を確認し,同型定理を示す.
部分Lie代数
を与える.
部分集合で,と同じ演算に関してLie代数となるものを,の部分Lie代数(Lie subalgebra)と呼ぶ.つまり以下を満たす:
生成系
を与える.
はを含むの部分Lie代数のなかで最小.これをで生成される部分Lie代数と呼ぶ.
特にに一致するとき,をの生成系(generator)と呼ぶ.
イデアル
を与える.
部分集合がのイデアル(ideal)であるとは,以下を満たすことを言う.
自明なイデアル
を与える.
はのイデアルとなる.これらをの自明なイデアル(trivial ideal)と呼ぶ.
それ以外を非自明(nontrivial)と呼ぶ.
正規閉包
を与える.
を正規閉包(normal closure)と呼ぶ.
正規化代数
を与える.
で生成される部分Lie代数をとしたときの
をの正規化Lie代数(normalizer)と呼ぶ.
は,がイデアルとなるようなもののうち,最大なもの.
同型定理
を与えると,以下が成り立つ.
-
に対し,
-
の核
はのイデアル
-
の像
はの部分Lie代数
-
任意ののイデアルに対し,
を満たすとき,以下を満たす:
つまり以下の図式を可換にする.
特に,自然な同型
が存在する.
-
-
自由・忘却随伴
自由Lie代数
体を与える.
-線型空間上の自由Lie代数(free Lie algebra)とは,以下のデータからなる:
-
-線型空間
-
を線型に拡張したもの.
自由Lie代数の普遍性
を与えると,以下の自由Lie代数の普遍性を満たす:
に対し,Lie代数準同型
が一意的に存在し,以下を満たす:
つまり,以下の図式を可換にする.
証明
とすると,
より,
はLie代数準同型となる.特に,
を満たす.
可換図式を満たすLie代数準同型
に対し,自然同型
可換
可換
を与える.
-
が
を満たすとき,は互いに可換(Abelian)と呼ぶ.
-
を満たすとき,を可換(Abelian)と呼ぶ.
自由可換Lie代数
体を与える.
-線型空間上の可換Lie代数(commutative Lie algebra)とは,以下で定義されるLie代数のこと:
-
-線型空間
-
Lie括弧
可換Lie代数の普遍性
可換Lie代数の圏と線型空間の圏は自然同型.
証明
任意の-線型空間
に対し,それぞれの自由可換Lie代数を
とする.また,任意の線型同型写像
に対し,
中心化代数・中心
を与える.
-
を中心化代数(centralizer)と呼び,の部分Lie代数をなす.
-
をの中心(center)と呼び,のイデアルをなす.
部分Lie代数,イデアルになることの証明
トーラス
を与える.
の有限次元(?)部分線型空間が
-
の可換な部分Lie代数,あるいは同じことだが自分自身をの中心とする,つまり
を満たすものをトーラス(torus)と呼ぶ.
-
トーラスのうち極大,あるいは同じことだがの中心化代数がに一致するもの,つまり
を満たすものを極大トーラス(maximal torus)と呼ぶ.
ルート空間分解
を与える.
のに対するルート空間分解(root space decomposition)とは以下のデータからなる:
-
のルート格子(root lattice)と呼ばれるの双対線型空間
の部分集合
-
のルート空間(root space)と呼ばれるの部分空間の集まり
これらは以下を満たす:
-
ルート空間の直和がに等しい,つまり以下を満たす:
をのに対するルート(root)と呼ぶ.また,極大トーラスの定義より
である.
自己準同型
自己準同型・同型
を与える.
- 上の準同型のことを,自己準同型(endomorphism)と呼ぶ.自己準同型の集合をと書く.
- 上の同型のことを,自己同型(automorphism)と呼ぶ.自己同型の集合をと書く.
微分代数はLie代数準同型
微分代数は単位的結合代数だったから,交換子をLie括弧とするLie代数をなす.つまり,
内部微分
を与える.
に対し,
をの内部微分(inner derivation)と呼ぶ.
表現論の準備?
三角分解
を与える.
の三角分解(triangular decomposition)とは,以下のデータからなる.
これらは以下を満たす.
-
-
は極大トーラス.
-
ルート空間分解に関する何か