単位的代数

定義

代数・余代数と準同型

単位的代数・余単位的余代数

可換環 𝕂 を与える.

  • 𝕂上の単位的代数(unital algebra)とは,以下のデータからなる.
    • 𝕂-加群 𝐴
    • 𝐴 上の 𝕂-双線型写像 : 𝐴𝐴 𝐴
    • 単位(unit)と呼ばれる 𝕂-線型写像 𝜂 : 𝕂𝐴
    これらは以下を満たす: 𝑎𝐴 , 𝜂 (1) 𝑎 = 𝑎 = 𝑎 𝜂 (1)
  • 𝕂上の余単位的余代数(counital coalgebra)とは,以下のデータの組のこと:
    • 𝕂-加群 𝐴
    • 𝐴 上の 𝕂-余双線型写像 𝛥 : 𝐴 𝐴𝐴
    • 余単位(counit)と呼ばれる 𝕂-線型写像 𝜀 : 𝐴𝕂
    これらは以下を満たす: 𝑎𝐴 , ( id𝜀 ) ( 𝛥 (𝑎) ) = 𝑎 = ( 𝜀id ) ( 𝛥 (𝑎) )

準同型

可換環 𝕂 を与える.

  • 𝕂-単位的代数 𝐴,𝐴 に対し,
    • 𝕂-単位的代数)準同型(homomorphism)とは,写像 𝑓 : 𝐴𝐴 であって以下を満たすもの:
      • 𝑓𝕂-線型写像
      • 𝑥,𝑦 𝐴 , 𝑓 ( 𝑥𝑦 ) = 𝑓 (𝑥) 𝑓 (𝑦)
    • 𝐴 から 𝐴 への自己準同型全体の集合を hom ( 𝐴 , 𝐴 ) と表す.
  • 𝕂-余単位的余代数 𝐴,𝐴 に対し,
    • 𝕂-余単位的余代数)準同型(homomorphism)とは,写像 𝑓 : 𝐴𝐴 であって以下を満たすもの:
      • 𝑓𝕂-線型写像
      • 𝑥𝐴 , 𝛥 𝐴 ( 𝑓 (𝑥) ) = 𝑓𝑓 ( 𝛥𝐴 (𝑥) )
  • 全単射な準同型同型(isomorphism)と呼ぶ.

直積等

同型定理

部分単位的代数・部分余単位的余代数

可換環 𝕂 を与える.

  • 単位的代数 𝐴単位的部分代数(unital subalgebra)とは,部分 𝕂-加群 𝑆 であって,以下を満たすものを言う:
    • 𝑆𝑆 𝑆
    • 𝜂 (𝕂) 𝑆
  • 余単位的余代数 (𝐴,𝛥)余単位的部分余代数(counital subcoalgebra)とは,部分 𝕂-加群 𝑆 であって,以下を満たすものを言う:
    • 𝛥 (𝑆) 𝑆𝑆

イデアルの定義は,代数の場合と同様.

自己準同型

自己準同型・同型

を与える.

  • 𝐴 上の代数準同型のことを,自己準同型(endomorphism)と呼ぶ.自己準同型の集合をend𝐴と書く.
  • 𝐴 上の代数同型のことを,自己同型(automorphism)と呼ぶ.自己同型の集合をaut𝐴と書く.

自由代数

自由単位的代数

可換環 𝕂 を与える.

自由単位的代数(free algebra)とは,以下のデータのこと:

テンソル代数

を与える.

𝑉テンソル代数(tensor algebra)とは,以下のデータのこと:

  • 𝑇 (𝑉) 𝑘 0 𝑉 𝑘
  • 𝕂-双線型写像 𝑉 𝑘 Π 𝑉 𝑘 𝑉 ( 𝑘 + 𝑘 ) , ( 𝑣,𝑤 ) 𝑣𝑤 𝑇 (𝑉) 上に線型に拡張したもの.

単位的代数上の加群・表現

単位的代数上の加群と準同型

線型変換の集合は単位的結合代数

単位的代数上の加群・表現

を与える.

  • 𝐴 上の加群(module over 𝐴),または 𝐴-加群(𝔤-module)とは,以下の組のこと:
    • 𝕂-線型空間 𝑉
    • 双線型写像 𝐴𝑉 𝑉 であって,以下を満たすもの:
      • 𝑥,𝑦 𝔤 , 𝑣𝑉 , ( 𝑥𝑦 ) 𝑣 = 𝑥 ( 𝑦𝑣 )
      • 単位元の作用は恒等写像.
  • 𝐴表現(representation)とは,以下の組のこと:

これらは以下の対応によって同じ構造を持つ:

  • 𝐴-加群 𝑉 に対し, 𝐴 end (𝑉) , 𝑥 ( 𝑣 𝑥𝑣 ) は表現.
  • 表現 𝜌 に対し, 𝐴𝑉 𝑉 , 𝑥𝑣 𝜌 (𝑥) 𝑣 𝐴-加群.

忠実表現

単射表現のことを忠実(faithful)と呼ぶ.

𝐴-加群・表現準同型

を与える.

  • 線型写像 𝑓 : 𝑉𝑊 𝐴-加群の準同型(homomorphism of 𝔤-module)(または表現の準同型(homomorphism of representation))であるとは,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:
    • 𝑥𝐴 , 𝑣𝑉 , 𝑓 ( 𝑥𝑣 ) = 𝑥 𝑓 (𝑣)
    • 𝑥𝐴 , 𝑓 𝜌𝑉 (𝑥) = 𝜌𝑊 (𝑥) 𝑓
  • 全単射な準同型を同型(isomorphism)と呼ぶ.

部分Lie代数上の加群・商Lie代数上の加群

を与える.

  • 𝐴部分Lie代数 𝑆誘導する 𝑆-加群() とは,包含写像 𝑖 : 𝑆𝐴 に対する表現 𝜌𝑖 : 𝑆 end (𝑉) のこと.
  • 𝐴イデアル 𝐼 であって, 𝐼 ker𝜌 を満たすものによる商(単位的)代数 𝐴𝐼誘導する 𝐴𝐼-加群() とは,商単位的代数の普遍性により定まる表現 𝜌 : 𝐴𝐼 end (𝑉) のこと.

加群の圏の極限

𝐴-加群の直和

を与える.

  • { 𝑉𝜆 } 𝜆𝛬 直和(direct sum)とは,以下のデータのこと:
    • 以下で定まる 𝐴-加群
      • 直和線型空間 𝜆𝛬 𝑉𝜆
      • 𝐴-作用 𝐴 𝜆𝛬 𝑉𝜆 𝜆𝛬 𝑉𝜆 , 𝑥 ( 𝑣𝜆 ) 𝜆𝛬 ( 𝑥 𝑣𝜆 ) 𝜆𝛬
    • 𝐴-加群準同型 𝜄𝜆 : 𝑉𝜆 𝜆 𝛬 𝑉 𝜆 , 𝑣 ( 𝑣 𝜆 { 𝑣 𝜆 = 𝜆 0 𝜆 𝜆 ) 𝜆 𝛬
  • 𝐴-加群 𝑊 を終域とする 𝐴-加群準同型の集合 { 𝑓𝜆 : 𝑉𝜆 𝑊 } 𝜆𝛬 直和(direct sum)とは,以下の 𝐴-加群準同型のこと: 𝜆𝛬 𝑓𝜆 : 𝜆𝛬 𝑉𝜆 𝑊 , ( 𝑣𝜆 ) 𝜆𝛬 𝜆𝛬 𝑓𝜆 ( 𝑣𝜆 )
直和の普遍性

を与えると,以下を満たす𝐴-加群準同型 𝑓 : 𝜆𝛬 𝑉𝜆 𝑊 直和 𝜆𝛬 𝑓𝜆 に限られる: 𝜆𝛬 , 𝑓 𝜄𝜆 = 𝑓𝜆

同型定理

同型定理

部分 𝐴-加群・部分表現

を与える.

部分線型空間 𝑊𝑉部分 𝐴-加群(𝐴-submodule)(または部分表現(subrepresentation))であるとは,以下の同値な条件のいずれか(ゆえに全て)を満たすことを言う:

  • 𝐴𝑊 𝑊
  • 𝜌 (𝐴) (𝑊) 𝑊

𝐴-加群・商表現

を与える.

𝑉 の(𝑊 による)𝐴-加群()(または商表現(quotient representation))であるとは,商線型空間 𝑉𝑊 に対し,以下の同値な定義で定まる左作用に関する 𝐴-加群のこと:

  • 𝑥𝐴 , 𝑣+𝑊 𝑉𝑊 に対し, 𝑥 ( 𝑣+𝑊 ) 𝑥+𝑊
  • 𝑥𝐴 に対し,標準射影 𝑝 : 𝑉 𝑉𝑊 を合成した表現 𝑝 𝜌 (𝑥)

単純性

単純加群

を与える.

  • 𝐴-加群単純(simple)であるとは,その部分加群0 と自分自身のちょうど二つであることを言う.
  • 𝐴-加群半単純(semisimple)であるとは,単純加群の直和で表されることを言う.
既約(分解不能)表現

を与える.

  • 𝐴-加群既約(indecomposable)であるとは,非自明な部分加群直和で表されないことを言う.
  • 𝐴-加群完全可約(completely decomposable)であるとは,既約加群の直和で表されることを言う.
  • 𝐴-加群可約(decomposable)であるとは,非自明な部分表現の直和で表されることを言う.

コンパクト加群は半単純

を与える.

𝑉 の部分単純加群で生成される完備束が 𝑉 を含み,かつコンパクトなとき(?),𝑉半単純 𝐴-加群

証明

仮定より,有限集合 𝛬 上の単純𝑉部分 𝐴-加群の族 { 𝑊𝜆 } 𝜆𝛬 が存在し, 𝑉 = 𝜆𝛬 𝑊𝜆 を満たす.𝛬 の部分集合 𝛬 であって, 𝛬 に関する和が直和となるもののうち,極大なものを一つとると, 𝑉 = 𝜆 𝛬 𝛬 𝑊𝜆 + 𝜆 𝛬 𝑊𝜆 = 𝜆 𝛬 𝑊𝜆 を満たす.つまり,𝑉半単純 𝐴-加群

Hopf代数

双代数とHopf代数

双単位的双代数

可換環 𝕂 を与える.

Hopf代数

可換環 𝕂 を与える.

  • Hopf代数(Hopf algebra)とは,以下のデータからなる: これらは以下を満たす: 𝑚 ( id𝑆 ) 𝛥 = 𝜂𝜀 = 𝑚 ( 𝑆id ) 𝛥
  • Hopf代数 ( 𝐴,𝑚,𝜂,𝛥,𝜀,𝑆 ) 対合的(involutive)であるとは, 𝑆𝑆 = id を満たすことを言う.

証明

準三角双代数

を与える.

  • 準三角双代数(quasitriangular bialgebra)とは,以下のデータからなる: これらは以下を満たす:
    • 𝑎𝐴 , 𝜎𝛥 (𝑎) = 𝑅 𝛥 (𝑎) 𝑅 1
    • ( 𝛥 id𝐴 ) (𝑅) = 𝑅 1,3 𝑅 2,3
    • ( id𝐴 𝛥 ) (𝑅) = 𝑅 1,3 𝑅 1,2
  • 三角双代数(triangular bialgebra)とは,準三角双代数 ( 𝐴,𝑚,𝜂,𝛥,𝜀,𝑅 ) であって, 𝜎 (𝑅) = 𝑅 1 を満たすものを言う.
準三角双代数の性質

を与えると,以下が成り立つ:

  • ( 𝜀 id𝐴 ) 𝑅 = 1
  • ( id𝐴 𝜀 ) 𝑅 = id𝐴
  • Yang-Baxter方程式(Yang-Baxter equation) 𝑅 1,2 𝑅 1,3 𝑅 2,3 = 𝑅 2,3 𝑅 1,3 𝑅 1,2